日本発エビデンス|page:62

日本のがん患者に対する多職種せん妄対応プログラムの有用性に関する研究

 国立がん研究センター東病院の小川 朝生氏らは、せん妄の高リスク群のスクリーニングおよびその予防のためのシステマティック・マネジメント・プログラムである、多職種せん妄対応(DELirium Team Approach:DELTA)プログラムが、がん入院患者のケアの質を向上させるかについて検討を行った。Supportive Care in Cancer誌オンライン版2018年7月17日号の報告。

日米における心血管代謝疾患のBMIカットオフ値

 日本人と米国人を対象とした横断研究から、日米とも高BMIが高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の有病率増加と関連すること、有病率が増加するBMIカットオフ値は日本人のほうが有意に低いことを、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。米国における過体重/肥満の定義が日本では適用できない可能性が示唆される。Nutrients誌2018年8月3日号に掲載。

日本人統合失調症患者に対するオランザピン使用と安静時心拍数への影響

 抗精神病薬(ATP)が頻脈を引き起こすことは、ずいぶん前から知られていたが、ATPの違いによってどのような変化が生じるかなどの詳細は、よくわかっていない。近年、一般集団において、安静時心拍数(RHR)の上昇と死亡リスクの増加との関連が注目されている。新潟大学の田尻 美寿々氏らは、オランザピン(OLZ)とアリピプラゾール(ARP)がRHRに与える作用の違いについて調査を行った。PLOS ONE誌2018年7月17日号の報告。

日本紅斑熱とツツガムシ病、知っておきたい臨床・疫学的特徴

 日本紅斑熱とツツガムシ病は、ともにダニが媒介する感染症で、日本を含むアジアの特定の地域でみられる。治療が遅れると重症化し、死亡することもあるため早期の診断が重要だが、両者の臨床的・疫学的特徴とその違いについて正確なことは明らかになっていなかった。長崎大学熱帯医学研究所/亀田総合病院の山藤 栄一郎氏らは、この2つのリケッチア症が同時に流行している、世界的にもまれな地域の1つである千葉県南房総で、2004~15年の間に3つの医療機関を受診した患者のデータを分析した。Emerging Infectious Diseases誌2018年9月号掲載の報告。

新規糖尿病治療薬imeglimin、日本での第III相試験の患者登録完了

 代謝性疾患の革新的な治療薬の研究開発に取り組んでいるフランスのバイオ医薬品企業POXEL SA(以下Poxel社)は、開発中の2型糖尿病治療薬imegliminの日本における第III相試験であるTIMES 1試験の患者登録が2018年7月3日に完了したことを発表した。本剤に関して、今年6月の第78回米国糖尿病学会(ADA)のサイエンスセッションで、前臨床モデルにおけるimeglimin独自の作用機序に関連した新規知見が発表されている。

日本の心房細動患者に多い死亡原因

 わが国のコミュニティベースの心房細動(AF)コホートである伏見AFレジストリにおいて死因を調べたところ、悪性腫瘍や感染症などの非心血管死が全死亡の半分以上を占めていた。また、死亡に関連する臨床的因子をみると、心血管死では脳卒中より心不全に主に関連していたことを、国立病院機構京都医療センターの安 珍守氏らが報告した。European heart journal/Quality of care & clinical outcomes誌オンライン版2018年7月18日号に掲載。

抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。

スボレキサントの日本人高齢不眠症患者に対する費用対効果分析

 日本で最も幅広く使用されている睡眠薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬ゾルピデムとオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの費用対効果について、MSD株式会社の西村 晋一氏らが、比較検討を行った。Journal of Medical Economics誌2018年7月号の報告。  本研究では、不眠症と高齢者に多大な影響を及ぼす股関節骨折リスクを考慮したモデルを用いて検討を行った。公表された論文より、データを収集した。65歳以上の日本人高齢不眠症患者の仮想コホートを対象として研究を実施した。費用対効果の評価には、質調整生存年(QALY)と増分費用効果比を用いた。調査は、医療従事者の視点で行った。  スボレキサントとゾルピデムの費用対効果を検討した主な結果は以下のとおり。

anamorelin、日本人消化器がんの悪液質にも効果(ONO-7643-05)/日本臨床腫瘍学会

 がん悪液質は、進行がんの約70%に認められ、とくに進行消化器がんでは多くみられる。予後不良でQOLを低下させるが、現在有効な治療法はない。anamorelinは選択的グレリン受容体作動薬であり、肺がん悪液質における無作為化二重盲検比較試験(ONO-7643-04)で有効性が認められている。神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会では、消化器がんにおける悪液質に対するanamorelinの有効性と安全性を評価する多施設非無作為化オープンラベル試験ONO-7643-05の結果について杏林大学 古瀬 純司氏が発表した。

子どもに対する抗精神病薬の処方前後における血糖・プロラクチン検査実施率に関する研究

 多くの国で、抗精神病薬(主に統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられる薬剤)による治療を受ける子供が増加している。大人と同様に、子供に対する抗精神病薬の使用は、糖尿病発症リスクの増大と関連している。このような点から、米国やカナダの診療ガイドラインでは、子供に対して抗精神病薬を処方する際、定期的に血糖検査を実施することが推奨されている。また、一部の抗精神病薬の使用はプロラクチンの上昇と関連しており、高プロラクチン血症による無月経、乳汁漏出、女性化乳房などの有害事象が、短期間のうちに発現する可能性もある。しかし、子供にとってこのような有害事象の徴候を適切に訴えることは難しいため、抗精神病薬を処方する際には、血糖検査と同時に、プロラクチン検査も実施すべきと考えられる。

切除後NSCLCの再発および生存に対する体細胞変異の影響(JME)/ASCO2018

 次世代シークエンス(NGS)により、手術後の非小細胞肺がん(NSCLC)における体細胞変異を検討した、本邦の多施設前向き肺がん分子疫学研究JME(Japan Molecular Epidemiology for lung cancer)。副次評価項目である、体細胞変異と無再発生存期間(RFS)および全生存期間(OS)との関係について、近畿中央胸部疾患センター 田宮 朗裕氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会ASCO2018で発表した。

糖尿病での心理的負担が全死亡に影響~日本人男性

 2型糖尿病の日本人男性において、糖尿病に特異的な心理的負担感が全死因死亡と有意に関連することがわかった。天理よろづ相談所病院(奈良県)に通院する糖尿病患者を対象とした大規模レジストリ(Diabetes Distress and Care Registry in Tenri:DDCRT18)を用いた前向きコホート研究の結果を、天理よろづ相談所病院内分泌内科の林野 泰明氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年6月8日号に掲載。

細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。

ベンゾジアゼピン依存に対するラメルテオンの影響

 一般的に、ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬の減量が困難な患者では、長期間BZ系睡眠薬が処方される。ラメルテオンは、BZ受容体を介する睡眠薬とは異なる作用機序を有しており、生理的な睡眠を促す睡眠薬である。宮崎大学の長友 慶子氏らは、不眠症患者におけるラメルテオンとBZ依存について調査を行った。Asian journal of psychiatry誌オンライン版2018年6月7日号の報告。