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好評!肺音(呼吸音)研究会、肺聴診セミナー今年も開催

 2015年10月17日、第40回肺音(呼吸音)研究会および第5回肺聴診セミナーが東京のJA共済ビルで開催される。フィジカル・アセスメントの重要性が再認識されている今、若手医師をはじめとした医療従事者に人気のこのイベントについて、同研究会当番幹事およびセミナー講習会長を努める福島県立医科大学 呼吸器内科 教授 棟方充氏に聞いた。

レビー小体型とアルツハイマー型を見分ける、PETイメージング

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の鑑別診断において、PETイメージングによる脳内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を測定する方法が有用である可能性が示された。国立研究開発法人放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの島田 斉氏らが検討を行った結果、AD患者と比較してDLB患者では一貫して顕著な脳内コリン作動性障害がみられたという。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2015年8月17日号の掲載報告。

ドライアイの涙点プラグ、製品間で保持率に差

 涙点プラグは中等症~重症ドライアイの症状を改善するが、製品によって保持率に差があることが、カナダ・クイーンズ大学のAshley R. Brissette氏らが行った無作為化二重盲検比較試験で明らかとなった。シリコン製のスーパーフレックスプラグ(米国イーグルビジョン社)とParasol(米国オデッセイ メディカル社)を比較したもので、6ヵ月後の保持率は後者が有意に高かった。

双極性障害の喫煙率、うつ病や統合失調症と比較すると

 米国・ケンタッキー大学のJames G Jackson氏らは、世界規模の論文複合解析を行い、双極性障害と喫煙との関連について調べた。その結果、双極性障害では一般集団と比べて現喫煙者が多いこと、喫煙経験(開始)が多い一方で、禁煙者は少ないことが明らかになった。また、双極性障害患者の喫煙行動の頻度は、うつ病と統合失調症の中間に位置し、統合失調症で最も高頻度であったなども示された。Bipolar Disorders誌オンライン版2015年8月4日号の掲載報告。

女性はSU薬による低血糖リスクが高い

 女性は男性よりもスルホニル尿素(SU)薬による低血糖リスクが高いことが、熊本大学の梶原 彩文氏らの研究により明らかになった。これは、SU薬による低血糖の潜在的なリスク因子として女性に焦点を当てて検討した初めての報告である。著者らは、本知見について「女性の低血糖リスクだけでなく、心血管疾患および認知症リスク、死亡率増加リスクなどを低下させるためにも、患者一人ひとりに合った治療を行うことが重要であるとの考えを支持するもの」としている。Clinical drug investigation誌オンライン版2015年9月号の掲載報告。

乾癬治療薬の安全性は生物学的製剤でも変わらない?

 ドイツで実施された中等度~重症乾癬患者の登録試験において、従来の全身治療薬と生物学的製剤では、感染症、心血管系イベント、悪性腫瘍の発生などの安全性に差はみられなかったことが、ドイツ・ハンブルク大学のKristian Reich氏らにより報告された。Archives of Dermatological Research誌オンライン版2015年9月10日号掲載の報告。

アレルギー高リスク乳児でも、急性気管支炎にアドレナリン吸入は効果なし

 乳児の急性細気管支炎に対する気管支拡張薬の吸入療法は、ガイドラインで支持されていないにもかかわらず、アトピー性疾患のある個人には有効と信じられ、しばしば用いられている。しかし、細気管支炎後にアトピー性皮膚炎、アレルギー感作または気管支閉塞を発症した乳児について解析したところ、急性細気管支炎による入院期間はエピネフリン(アドレナリン)吸入によって減少していなかったことが、ノルウェー・オスロ大学のHavard Ove Skjerven氏らによる無作為化二重盲検試験の追跡調査で明らかになった。

軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。

てんかん再発リスクと初回発作後消失期間

 近年てんかんの定義は見直され、1回の非誘発性発作が生じ、その後10年間の発作再発率が60%以上の場合とされた。この定義は、4年時点の95%信頼区間(CI)の下限値を用いて予測した、2回目の非誘発性発作後に起こる3回目の再発リスクに基づいたもので、初回発作の高い再発率(発作消失期間の延長に伴い急激に低下)は考慮されていない。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のNicholas Lawn氏らは、てんかん初回発作後の発作消失期間が、再発に及ぼす影響について検討した。その結果、発作消失期間が12週以下と短い場合は、てんかんの新定義に該当する患者が認められず、初回発作後の発作消失期間が、再発リスクに関連している可能性を示唆した。Epilepsia誌2015年9月号の掲載報告。

なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

 うつ病およびうつ症状は高齢者に高頻度に認められるが、潜在的に可逆的である。うつ病エピソードの治療における主な目標は完全回復である。高齢期のうつ病(DLL)患者を対象とした観察研究では、反応および寛解という観点において、臨床試験に比べ予後不良であることが示されているが、DLLの経過に関する観察研究はほとんどなかった。ノルウェー・Innlandet Hospital TrustのTom Borza氏らは、DLL患者を対象とした観察研究を行い、寛解または症状の改善に関する治療経過について検討した。その結果、うつ病エピソードの既往、健康状態不良、認知症の併存などが、寛解率の低さや症状改善が小さいことと関連していることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「臨床医が治療の評価を行う際は、これらの因子にとくに注意を払うべきである」と述べている。BMC Psychiatry誌2015年8月5日号の掲載報告。

統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か

 抗精神病薬の継続的な治療は、すべての統合失調症患者に対するゴールドスタンダードの治療パラダイムとして推奨されているが、安定状態にあるすべての統合失調症患者に対し継続的な抗精神病薬が必要なのか、またそれが理にかなっているのか疑問を抱く臨床医も少なくない。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科センターのMarc De Hert氏らは、安定状態にある統合失調症患者に対し、治療の継続が妥当であるか否かを明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、治療継続は、プラセボおよび治療中断に比べて再発リスクが低く、再発までの期間も長いことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2015年8月21日号の掲載報告。

ステージII結腸がんへの補助化学療法、再発・生存・QOLへの影響は?

 米国インディアナ大学のCari Lewis氏らは、ステージII結腸がん患者において、診断から24ヵ月にわたり補助化学療法とQOL・再発・生存との関連を検討するコホート研究を行った。その結果、ステージII結腸がんで化学療法を受けた患者は、受けなかった患者に比べ、24ヵ月後のQOL・再発・全死因死亡が不良という傾向がみられた。著者らは「今後、追跡期間の延長とともに、化学療法の種類に焦点を当てた研究が必要である」としている。Supportive care in cancer誌オンライン版2015年9月9日号に掲載。

青色光への瞳孔対光反射、緑内障の早期発見に有用

 瞳孔対光反射は視覚系の完全性の評価に用いられる。シンガポール、デューク・シンガポール国立大学医科大学院のAnnadata V. Rukmini氏らは、色刺激瞳孔測定検査が原発開放隅角緑内障(POAG)における内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGCs)の機能障害の検出や、視神経損傷および視力障害の評価に用いることができるかどうかを検討する目的で横断研究を行った。その結果、緑内障では視野障害や視神経乳頭陥凹の程度に応じて高照射量の青色光に対する対光反射が減弱していることを明らかにした。著者は、「ipRGCsの機能を評価する短時間の色刺激瞳孔測定は、POAGにおいて、イメージ形成の視覚が伝わる網膜神経節細胞がどの程度損傷しているか推定するのに使用できる。この方法は緑内障の発見に役立つだろう」とまとめている。Ophthalmology誌2015年9月号の掲載報告。

経口抗菌薬への早期切り替え、誤嚥性肺炎でも有効か

 市中肺炎において、早期に抗菌薬の点滴静注から経口投与に移行するスイッチ療法の有効性が報告されているが、誤嚥性肺炎については報告されていない。そこで、聖路加国際病院呼吸器内科 宇仁 暢大氏らは、誤嚥性肺炎患者を対象に、新たに設けられた市中肺炎に対する切り替え基準の可能性と有効性を前向き観察研究で検討した。その結果、患者の約75%がこの新たな切り替え基準を満たし、その約90%が経口投与に安全に移行したことから、この基準の有効性と実現可能性が示唆された。Respiratory investigation誌2015年9月号に掲載。

統合失調症の推定生涯有病率、最新値は何%

 統合失調症の有病率に関する研究結果は一貫性に欠けており、最近のシステマティックレビューはない。そこで米国・Evidera社のJason C Simeone氏らは、住民ベースの最新の有病率を推定し、推定有病率の変動に関する要因を解明することを目的にシステマティックレビューを行った。結果、推定生涯有病率は約0.5%であることを示した。本レビューについて著者らは「統合失調症に関する疫学の最新情報であり、研究間の推定有病率の差異を明らかにした点に意義があるだろう」と述べたうえで、「全体としてエビデンスはまだ少なく、新たな研究は確認されなかった」とまとめている。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年8月12日号の掲載報告。