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座高は循環器・呼吸器疾患の死亡率と逆相関

 成人の身長および座高は、遺伝的・環境的要因を反映しうる。以前の研究で、身長とがんや循環器疾患の死亡率との関連は報告されているが、座高と死亡率との関連の報告は少ない。今回、欧州における40万人以上の大規模コホート研究で、身長はがん死亡率と正相関する一方、循環器疾患死亡率とは逆相関を示し、また座高は循環器疾患死亡率および呼吸器疾患死亡率と逆相関を示した。PLOS ONE誌2017年3月3日号に掲載。

CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

 バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、心不全患者の利尿作用を有する。しかし、慢性腎臓病(CKD)患者におけるトルバプタンの効果に関するデータは少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターの勝又 真理氏らは、慢性心不全およびCKD患者に対するトルバプタンの効果をレトロスペクティブに解析した。Clinical and experimental nephrology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。

日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

 不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川 望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版2017年2月9日号の報告。

多枝病変STEMIには完全血行再建か、責任病変のみか

 近年のランダム化研究では、プライマリPCIでの完全血行再建が多枝病変の予後の改善につながることが示唆されている。しかしながら、非責任病変に対するPCIのタイミングについてははっきりとした答えが出ていない。そこで、米国のElgendy氏およびMahmoud氏らが、多枝病変を伴うST上昇心筋梗塞に対するPCIにおいて、どのような戦略が有効かを検証するメタアナリシスを行った。Journal of the American College of Cardiology誌2017年2月号に掲載。

カナキヌマブ効能追加承認への期待

 2017年2月27日、ノバルティス ファーマ株式会社は、都内にて「世界希少・難治性疾患の日」に合わせ「発熱・炎症発作を繰り返す難病『周期性発熱症候群』を知る」をテーマにメディアセミナーを開催した。セミナーでは、「周期性発熱症候群」の最新知見とともに、2016年12月に国内で3つの疾患に追加承認となった同社のカナキヌマブ(商品名:イラリス)についての説明が行われた。

認知症リスクへの糖尿病・高血圧・脂質異常症の影響

 インスリン抵抗性に起因する高血圧症や脂質異常症の患者と、糖尿病ではない高血圧症や脂質異常症の患者では、認知症リスクが異なる可能性がある。今回、台北医学大学のYen-Chun Fan氏らによる全国的な集団コホート研究から、糖尿病の有無により高血圧症や脂質異常症による認知症リスクの増加に差があることがわかった。著者らは、「糖尿病発症に続く高血圧症や脂質異常症の発症は糖尿病発症の2次的なものでインスリン抵抗性を介在する可能性があり、認知症リスクをさらに高めることはない」と考察し、「糖尿病自体(高血糖の全身的な影響)が認知症リスク増加の主な原因かもしれない」としている。Alzheimer's research & therapy誌2017年2月6日号に掲載。

自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割

 自殺リスクの高い患者を特定するための効果的なスクリーニングシステムは、韓国のプライマリ・ケアにおいて存在しない。韓国・中央大学のYoon-Joo Choi氏らは、プライマリ・ケア患者の自殺念慮とうつ病の有病率を調査し、プライマリ環境において自殺念慮とうつ病の患者を診察する医師の認識およびマネジメント戦略の割合を調査した。International journal of mental health systems誌2017年2月7日号の報告。

IPF初ガイドライン 抗線維化薬治療の指針示す

 2017年3月1日、塩野義製薬株式会社主催の第3回「いのちを考える」メディアセミナーが都内で開催された。「変わる難病治療―国内初の特発性肺線維症(IPF)治療ガイドライン―」と題し、本セミナーでは杉山 幸比古氏(練馬光が丘病院 常勤顧問/自治医科大学 名誉教授)と本間 栄氏(東邦大学医学部内科学講座 呼吸器内科学分野 教授)が、「特発性肺線維症」(以下IPF)の治療とガイドラインについて解説を行った。

硝子体黄斑癒着は、加齢黄斑変性の原因ではなく結果?

 硝子体黄斑癒着(VMA)が、滲出型加齢黄斑変性(AMD)や脈絡膜新生血管(CNV)形成と関連しているのかを検討した、イタリア・Sacrocuore HospitalのEmilia Maggio氏らによる後ろ向き横断的研究ならびに縦断的コホート研究の結果、VMAの頻度はAMD眼と非AMD眼とで差はなく、CNVの新規発生頻度もVMAの有無で差はないことが示された。ただし、滲出型AMD眼では、経過中にVMAの自然解離が起こることは少なかった。著者は、「VMAは、CNVの発生原因というよりもむしろ結果であるかもしれない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月14日号掲載の報告。

2型糖尿病、併存疾患ごとの超過死亡リスク

 2型糖尿病の患者は、大血管疾患・慢性腎臓病・慢性呼吸器疾患・がん・喫煙習慣を伴うことが多い。山梨大学の横道 洋司氏らは、これらを伴う2型糖尿病患者の超過死亡リスクについて、バイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータを用いて定量化した。その結果、慢性腎臓病・大血管疾患・慢性呼吸器疾患の既往、もしくは現在喫煙している糖尿病患者において高い死亡リスクが示された。著者らは、糖尿病の予後改善のために併存疾患の改善および禁煙の必要性を提言している。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月10日号に掲載。

日本の認知症者、在院期間短縮のために必要なのは

 多くの深刻なBPSD(認知症の周辺症状)を有する認知症者の治療は、自発性にかかわらず精神科病院で行われている。日本における認知症者の平均在院期間は約2年である。症状が安定すれば退院するのが理想的ではあるものの、わが国ではBPSDが落ち着いた後でも、入院を継続するケースがみられる。神戸学院大学の森川 孝子氏らは、認知症者の精神科病院在院期間を短縮する要因を特定するため検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2017年2月10日号の報告。

TNF-α阻害薬、乾癬患者で皮膚扁平上皮がんが増加

 中等度~重度の乾癬では、全身性薬剤治療を必要とする頻度が高い。その多くは免疫抑制作用があり、非黒色腫皮膚がん(NMSC)を含むがんのリスクを高める可能性があるが、生物学的製剤による治療を受けたことのある乾癬患者では皮膚扁平上皮がんの発生リスクが高まることが、Kaiser Permanente Northern California(KPNC)医療保険加入者を対象とした調査の結果、明らかになった。生物学的製剤の多くはTNF-α阻害薬であった。著者の米国・マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のMaryam M Asgari氏は、「全身性薬剤で治療された乾癬患者における皮膚がんの発生について、さらなる調査が必要だ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年2月2日号掲載の報告。

統合失調症に対する増強療法、評価が定まっている薬剤はこれだけ

 統合失調症における抗精神病薬の多剤併用は、その有効性や安全性が不明瞭であることが一般的でコストがかかるため、多くの議論がなされている。ドイツ・シャリテ大学のBritta Galling氏らは、統合失調症に対するセカンドチョイスの抗精神病薬増強療法と継続的な抗精神病薬単独療法とを比較した無作為化試験のシステマティック文献検索とランダム効果メタ解析を行った。World psychiatry誌2017年2月号の報告。

テロメアが長いとリスクが高い疾患は?

 テロメアの長さと、がんや非腫瘍性疾患の発症率の関連について、その因果関係と強さは不明である。今回、Telomeres Mendelian Randomization Collaborationによるメンデル無作為化研究から、テロメアが長いと数種のがんリスクを上げる一方で、心血管疾患など、いくつかの非腫瘍性疾患のリスクを下げる可能性があることがわかった。JAMA oncology誌オンライン版2017年2月23日号に掲載。

高齢2型糖尿病、低過ぎるHbA1cは認知症リスク?

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病患者のQOL維持のための血糖コントロール改善の重要な指標とされているが、高齢者には低過ぎるHbA1cが害を及ぼす恐れがある。今回、金沢医科大学の森田 卓朗氏らの調査により、地域在住の高齢2型糖尿病患者において、HbA1cと要支援/要介護認定のリスクがJ字型を示すことが報告された。また、高齢の2型糖尿病患者での低過ぎるHbA1cが、認知症による後年の障害リスクに関連する可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。