医療一般|page:380

ポンペ病は早く気付いてほしい難病

 2017年3月30日、都内においてサノフィ株式会社は、4月15日の「国際ポンペ病の日」を前に、「治療方法がありながらも診断がつきにくい希少疾患『ポンペ病』」をテーマとしたメディアセミナーを開催した。セミナーでは、ポンペ病の概要についての講演のほか、患者・患者家族から「早く確定診断がなされ、治療ができる体制を望みたい」と要望が寄せられた。

境界性パーソナリティ障害、性行為とアルコールの関係

 性行為前にアルコールを摂取すると、無防備な性行為、複数の性行為相手、性感染症の可能性を高める。また、境界性パーソナリティ障害(BPD)は、物質使用障害や性的リスク行動と関連する。BPDは、情緒調節、自己イメージ、対人関係、衝動性制御における広範な不安定性を特徴とする複雑な精神障害である。しかし、米国におけるBPDと性行為前のアルコール摂取との関連についての研究は行われていない。米国・コロンビア大学のRonald G Thompson氏らは、全米の代表的な成人サンプルにおける、BPDと性行為前の定期的なアルコール摂取との関連を調査した。Drug and alcohol review誌オンライン版2017年3月20日号の報告。

アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。

日本人心房細動患者における左心耳血栓、有病率と薬剤比較:医科歯科大

 心房細動(AF)は、一般的な心臓不整脈であり、血栓塞栓性事象を含む心血管罹患率および死亡率の増加と関連している。東京医科歯科大学の川端 美穂子氏らは、抗凝固療法中に前処置経食道心エコー(TEE)を受けている日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における左心耳(LAA)血栓の有病率を評価し、ワルファリンと直接経口抗凝固薬(DOAC)の有効性の比較を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月7日号の報告。

双極性障害の再発リスク、1年目で4割超

 双極性障害(BD)の再発、再燃率の報告は、研究間で著しく異なる。大部分のデータは、選択基準の狭いスポンサードランダム化比較試験に参加している高度に選択された患者を対象としている。リアルワールドでの再発、再燃の気分エピソード(subsequent mood episode:SME)の真のリスクを推定するため、スペイン・FIDMAG Germanes HospitalariesのJoaquim Radua氏らは、自然主義BD研究で報告されたSMEの割合についてメタ解析を行った。Psychotherapy and psychosomatics誌2017年号の報告。

2型糖尿病と部位別がん死亡リスク~アジア人77万人の解析

 東アジアと南アジアの約77万人のデータ解析から、2型糖尿病患者ではがん死亡リスクが26%高いことを、ニューヨーク州立大学のYu Chen氏らが報告した。また、部位別のがん死亡リスクも評価し、その結果から「がん死亡率を減少させるために、肥満と同様、糖尿病の蔓延をコントロール(予防、発見、管理)する必要性が示唆される」と結論している。Diabetologia誌オンライン版2017年3月7日号に掲載。

虚血性心筋症の患者へのCRT+ICDの有効性を検討

 非虚血性拡張型心筋症(DCM)の患者は、虚血性心筋症の患者と比較すると心室性不整脈のリスクが少ないかもしれない。さらに、DCMは心臓再同期療法(CRT)が奏効する指標の1つとして知られている。そこで英国のSérgio Barra氏ら研究グループが、心不全患者の1次予防として、CRTに植込み型除細動器(ICD)を追加することの有効性について、大規模研究で検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月号に掲載。

一般市民向けうつ病教育講演、その意義を検証:琉球大

 自殺予防のための効果的な戦略を確立することは急務である。うつ病に対するスティグマは、自殺の潜在的なアンチ防御因子となりうる。琉球大学の薬師 崇氏らは、オリジナルな18項目のアンケートを用いて、一般集団におけるうつ病に対する認識や考え方、うつ病治療についてベースラインレベルを調査し、検証を行った。また、2種類の教育介入を行い、これら講演の質の違いを明らかにするため検討を行った。BMC health services research誌2017年2月10日号の報告。

茶色のフライドポテトやトーストは、がんのリスク?

 食材の成分は、揚げる、焼く、焙るなど熱を加えることで化学変化が起こり、色や風味、食感などが良くなる。穀類、芋類、野菜など炭水化物を多く含む原材料は加熱調理の過程で、化学物質であるアクリルアミドを産生する。このアクリルアミドは水処理剤、土壌凝固剤など工業用途に用いられるポリアクリルアミドの原料となるのだが、食材中のアミノ酸(アスパラギン)と糖類(ブドウ糖や果糖)が、加熱(120℃以上)により反応し発生するという。

スタチンで大腸がん死亡率が低下、では再発率は?

 大腸がんの予後に対するスタチンの影響について、がん特異的死亡率の低下が報告されているが、再発についての研究はほとんどない。今回、米国・エモリー大学のTimothy L. Lash氏らがデンマークの約2万人のコホートで検討したところ、スタチン使用は大腸がんの再発率の低下とは関連していなかったが、がん特異的死亡率の低下と関連していた。このことから、がんそのものに対するベネフィットはないことが示唆され、著者らは「心血管症状のない大腸がん患者にスタチンを処方する根拠はない」としている。American journal of epidemiology誌オンライン版2017年3月1日号に掲載。

急性心不全に対するトルバプタンの効果:大阪府立総合医療センター

 急性非代償性心不全(ADHF)の治療の主流は、利尿薬治療によるうっ血改善であるが、しばしば腎機能の悪化(WRF)と関連する。大阪府立急性期・総合医療センターの玉置 俊介氏らは、左室駆出率(LVEF)が保持されたADHF患者のWRFに対する選択的V2受容体アンタゴニストであるトルバプタンの効果について検討を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月16日号の報告。

抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較

 抗精神病薬に共通してみられる性機能障害は、ドパミンアンタゴニスト作用やプロラクチン上昇によって引き起こされる可能性がある。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSteven G Potkin氏らは、18~60歳の統合失調症患者を対象とし、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールの月1回400mg製剤(AOM400)が、ドパミンD2受容体アンタゴニストであるパリペリドンパルミチン酸エステル(PP)と比較し、Heinrichs-Carpenter QOLスコア(QLS)において非劣性と優位性を示したとするランダム化研究、QUALIFYの結果を解析した。International clinical psychopharmacology誌2017年5月号の報告。

成人急性虫垂炎の抗菌薬治療、8年後の再発率は?

 虫垂炎の抗菌薬治療における長期の有用性をみるために、スウェーデン・ヨーテボリ大学のK. Lundholm氏らは、急性虫垂炎疑い患者に対する抗菌薬単独治療後の長期再発率を調べた。その結果、抗菌薬での初回治療から8年後の再発リスクは約15%であり、著者らは「成人急性虫垂炎の1次治療として抗菌薬治療は安全かつ有効である」としている。World journal of surgery誌オンライン版2017年3月24日号に掲載。

近見視力障害の非矯正者は35歳以上で約半数:中国

 中国・中山大学のXiaotong Han氏らは35歳以上の中国人成人について、近見視力低下・障害の進行および発生率を前向き試験で調査した。その結果、非矯正の両眼近見視力障害(UCNVI)の人は6年で約半数であったこと、その大半は眼鏡で矯正可能などの実態を報告した。検討結果を踏まえて著者は、「これらリスク集団に眼鏡を提供するという費用対効果が高いと考えられる戦略について、さらに検討する必要がある」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月20日号掲載の報告。

SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

 うつ病では、しばしば通常治療により耐性が生じることがある。また、うつ病患者は、言語流暢性テスト(verbal fluency test:VFT)に関連する近赤外線分光法(NIRS)において、前頭側頭皮質の機能低下を示している。大分大学の増田 幸司氏らは、未治療のうつ病患者に対する薬物治療反応が、初期調査のNIRSアウトカムにより予測可能かを検討した。Journal of affective disorders誌2017年5月号の報告。

キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。

臓器移植後の皮膚疾患、人種間の違いは?

 米国では、白人レシピエントの皮膚がんリスクについて特徴づけがされているが、臓器移植待機リストの大半を占める非白人については、皮膚疾患および皮膚がんリスクについてほとんど検討されていなかった。米国・ドレクセル大学のChristina Lee Chung氏らは、レシピエント412例の医療記録をレビューし、白人では悪性疾患が最も多いが非白人では感染症や炎症性疾患が多いこと、日光に曝されている部位での病変が最も多いのは白人とアジア人であること、一方で黒人レシピエントの病変の3分の2は日光に曝されていない部位での発症であることなどを明らかにした。JAMA dermatology誌オンライン版2017年3月8日号掲載の報告。