エンパグリフロジン、心血管疾患を有する2型糖尿病患者の生存期間延長の可能性 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/10/31 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPA-REG OUTCOME試験のデータから、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)による治療が、平均生存期間の延長に寄与する可能性が示されたことを発表した。この結果はCirculation誌2018年10月9日号に掲載された。 EMPA-REG OUTCOME試験は、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジン群とプラセボ群を比較した試験。本試験で明らかとなった有益な影響が、エンパグリフロジンをさらに長期間使用した場合にも継続すると仮定し、生命保険数理法を用いて解析したところ、エンパグリフロジン投与群はプラセボ投与群よりも平均推定生存期間が1~4.5年(年齢により異なる)長くなることが示された。この解析から、エンパグリフロジン投与により生存期間延長の可能性が示唆された。 本試験の被験者7,020例から得られたデータの解析で、エンパグリフロジン群は、プラセボ群と比較して、どの年齢においても平均推定生存期間が長いことが示された。具体的には、45歳の被験者における平均推定生存期間は、エンパグリフロジン群では32.1年で、プラセボ群での27.6年より4.5年長い。50歳、60歳、70歳、80歳の被験者においては、それぞれ3.1年、2.5年、2年、1年長くなるという結果が示された。 論文筆頭著者のブリガム・アンド・ウィメンズ病院のBrian Claggett氏は、「これまでの研究では、心血管イベントの既往がある60歳の2型糖尿病患者は、同年齢の健常人と比較して平均生存期間が最大12年短くなることが推定されている。今回の解析で、エンパグリフロジンによって、このような患者の生存期間が平均2.5年長くなることが推定された」と述べている。 なお、日本におけるジャディアンスの効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果は取得していない。 ■関連記事 エンパグリフロジン、心血管死リスクを有意に低下/NEJM エンパグリフロジン、腎症の発症・進行を抑制/NEJM (ケアネット 金沢 浩子) 原著論文はこちら Claggett B, et al. Circulation. 2018;138:1599-1601. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ジャディアンス、CKD適応追加の意義/ベーリンガーインゲルハイム・リリー 医療一般(2024/04/08) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] CKDへのSGLT2阻害薬、糖尿病・UACRを問わずアウトカム改善/JAMA(2025/12/09) PAH診断1年未満の中~高リスク患者へのソタテルセプト上乗せは有効である(解説:原田和昌氏)(2025/12/09) 非小細胞肺がん、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用における予防的抗凝固療法に関する合同ステートメント/日本臨床腫瘍学会ほか(2025/12/09) 治療抵抗性うつ病の認知機能維持に最適な薬物治療戦略は?(2025/12/09) 低用量アスピリン処方が2型糖尿病患者の初回イベントリスク低下と関連――AHA(2025/12/09) WHOが結核の症例数や死亡者数の最新データを公表(2025/12/09) 個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善(2025/12/09) 朝食後の歯みがきが高血圧リスク低下と関連/鹿児島大(2025/12/09) [ あわせて読みたい ] 合格直結!テスレクDigest(2025/07/18) 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01)