医療一般|page:254

SSRI治療抵抗性うつ病に対するボルチオキセチン補助療法

 うつ病の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は基本となる。しかし、SSRIでは治療反応が得られないこともあり、多くの場合、併用戦略が必要となる。イタリア・University "G. D'Annunzio" ChietiのDomenico De Berardis氏らは、SSRI治療抵抗性うつ病患者に対する併用療法としてのボルチオキセチンの有効性を評価した。Revista Brasileira de Psiquiatria誌オンライン版2020年3月9日号の報告。  8週間以上のSSRI治療で治療反応が得られなかった外来の成人うつ病患者36例を対象とし、レトロスペクティブにレビューした。対象患者に対し、現在のSSRIにボルチオキセチン(5~20mg/日)を追加し、8週間の治療を行った。主要アウトカムは、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計スコアのベースラインからの変化量と治療反応率(HAM-Dスコアの50%以上減少およびエンドポイントでの臨床全般印象度の改善度[CGI-I]スコアが1または2)とした。HAM-Dスコア7以下を寛解と定義した。追加アウトカムの指標は、Snaith-Hamilton Pleasure Scale(SHAPS)、Scale for Suicide Ideation(SSI)とした。

COVID-19、軽症患者の64%が嗅覚・味覚に異常/JAMA

 新型コロナウイルス感染時の症状としては発熱、倦怠感、筋肉痛、呼吸困難などに加え、嗅覚・味覚の異常についても報告されている。これまで、COVID-19感染者の嗅覚と味覚障害の有病率を評価した研究は1件のみで全体の有病率は34%であったが、ほかの症状との関連における発症タイミングに関するデータはなかった。イタリアTreviso Regional Hospital を2020年3月19~22日に受診し、鼻咽頭および咽頭スワブの RT-PCR 検査でSARS-CoV-2陽性と診断され、自宅待機可能な18歳以上の軽症患者202例を対象に嗅覚・味覚障害の発現状況を評価した。JAMA誌オンライン版2020年4月22日号のリサーチレターに報告された。

FGFR阻害薬 pemigatinib、 胆管がんに迅速承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年4月17日、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)融合/再構成遺伝子陽性の切除不能局所進行または転移のある既治療の成人胆管がんの治療にpemigatinibを迅速承認した。同時に、コンパニオン診断薬として FoundationOne CDX(Foundation Medicine)を承認している。  pemigatinibの有効性は、107例を対象にした多施設非盲検単群試験 FIGHT-202試験で評価された。FIGHT-202試験の主要有効性評価項目は、独立評価委員会による全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。107例の患者のORRは36%で、完全奏効(CR)は3例であった。DoR中央値は9.1ヵ月で、38例中24例(63%)で6ヵ月以上、7例(18%)で12ヵ月以上効果が持続した。pemigatinibの一般的な副作用(20%以上)は、高リン血症、脱毛症、下痢、爪の毒性、疲労、味覚異常、吐き気、便秘、口内炎、ドライアイ、口渇、食欲不振、嘔吐、関節痛、腹痛、低リン血症、背中の痛み、乾燥肌であった。

早期認知症発症のリスク因子~剖検による確認

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)は、混在している場合が多く、それらのリスク因子を明確にすることは難しい。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのJeff Schaffert氏らは、剖検で確認されたAD、DLB、ADとDLBの混合型(AD+DLB)における認知症発症のリスク因子について検討を行った。Alzheimer's & Dementia誌2020年3月号の報告。  剖検で確認されたAD(647例)、AD+DLB(221例)、DLB(63例)における早期認知症発症の6つのリスク因子について、National Alzheimer's Coordinating Centerのデータを用いた多重線形回帰分析を実施した。

二ボルマブとイピリムマブの併用が悪性胸膜中皮腫の生存期間を延長(CheckMate-743)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年4月21日、未治療の悪性胸膜中皮腫(MPM)を対象とした第III相 CheckMate-743試験において、ニボルマブ(一般名:オプジーボ)とイピリムマブ(一般名:ヤーボイ)の併用療法が、主要評価項目である全生存期間(OS)を延長したことを発表した。  独立データモニタリング委員会であらかじめ計画されていた中間解析で、二ボルマブとイピリムマブの併用療法が、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較して、統計学的に有意に、臨床的に意義のあるOSの改善を示した。

COVID-19転帰予測、入院時のDダイマー測定が有用

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の管理を改善するために、臨床転帰の早期かつ効果的な予測因子が求められている。中国・武漢亜洲心臓病医院のLitao Zhang氏らは、COVID-19患者の入院時のDダイマーが2.0μg/mL超(fourfold increase)という指標が院内死亡率の予測に効果的であり、患者管理の改善における早期かつ有用なマーカーとなる可能性を示した。Journal of Thrombosis and Haemostasis誌オンライン版4月19日号掲載の報告。

日本における小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連

 小児期の有害な体験(adverse childhood experiences:ACE)は、メンタルヘルスの悪化を介して、老年期のうつ病リスクを上昇させると考えられるが、小児期の精神的苦痛と老年期のうつ病との関連は、直接検討されていなかった。東京医科歯科大学の森田 彩子氏らは、涌谷町に住む高齢者1,140人を対象とした横断調査データを用いて、小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連を検討した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年3月27日号の報告。

ラメルテオンとスボレキサントのせん妄予防に対する有効性

 実臨床における、せん妄予防に対するラメルテオンとスボレキサントの有効性について、順天堂大学の八田 耕太郎氏らが、調査を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年12月17日号の報告。  本研究は、多施設共同プロスペクティブ観察研究である。コンサルテーションリエゾン精神科サービスでトレーニングを受けた精神科医により、2017年10月1日~2018年10月7日に実施した。対象は、急性疾患または待機手術により入院した65歳以上の、せん妄は認められていないがせん妄のリスクを有する患者(リスク患者)、および診察前夜に不眠症またはせん妄が認められた患者(せん妄患者)。対象患者に対し、ラメルテオンおよび/またはスボレキサントが処方された。薬剤の処方は、各患者の裁量に委ねられた。主要アウトカムは、最初の7日間におけるDSM-Vに基づくせん妄の発症率とした。

RA系阻害薬、COVID-19の重症度に関連みられず/JAMA Cardiol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院中、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用している高血圧患者が、COVID-19の重症度や死亡リスクを上昇したかどうかを中国・武漢市の華中科技大学のJuyi Li氏らが検討した。その結果、これらのRA系阻害薬の服用はCOVID-19の重症度や死亡率と関連しないことが示唆された。JAMA Cardiology誌オンライン版2020年4月23日号に掲載。  本研究では、2020年1月15日~3月15日に武漢中央病院に入院したCOVID-19患者1,178例を後ろ向きに調査した。

「8週間以上の自粛は耐えられる」約4割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症の拡大について、一般市民の意識の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、4月20日に2回目の「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った(1回目は3月20日に実施)。  アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。  同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。

アルコール使用障害に対する運動介入~メタ解析

 アルコール使用障害(AUD)患者に対する運動介入の影響について、トルコ・パムッカレ大学のFatih Gur氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。American Journal of Health Promotion誌オンライン版2020年3月26日号の報告。  2000~18年に公表された、成人AUD患者を対象に運動介入の有効性を評価した研究を、PubMed、Medline、Web of Science、Scopus、Academic Search complete、Sport Discuss、ERICデータベースより検索した。システマティックレビュー・メタ解析の標準的プロトコールおよび観察研究ガイドラインに基づき、データを抽出した。身体活動レベルおよびフィットネス(最大酸素摂取量[VO2max]、最大心拍数[HRmax])、うつ病、不安、自己効力感、QOL、アルコール消費(1日および1週間に消費される標準的な飲酒数)のデータを収集した。

敗血症関連頻脈性不整脈に対して、ランジオロールが目標心拍数の達成と新規不整脈発生の抑制を示す(J-Land 3S)

 敗血症または敗血症性ショックにおける頻脈性不整脈に対して、従来治療にランジオロールを加えた治療が従来治療に比べ24時間後の心拍数60~94bpm達成率を有意に高め、168時間までの新規不整脈発生率を有意に低下することが、鹿児島大学の垣花 泰之氏らによるJ-Land 3Sで示された。詳細は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2020年3月31日号に掲載された。  敗血症関連頻脈性不整脈は、発症頻度が高く予後が悪い疾患である。しかし、現在のところ効果的な治療法は存在していない。

医師500人の本音、新型コロナのリスク対価はいくらが妥当?

 先日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化や、ほかの患者及び医療従事者への感染拡大を防ぐための管理評価を診療報酬に盛り込み、医療者の処遇改善に切り込んだ。しかし、直接的な処遇改善ではないため、現時点で医療者の士気向上や離職食い止め策には至っていない。  そんな中、大阪府や埼玉県などでは新型コロナ業務に従事した医療従事者には1日あたり4,000円の手当支給を検討している。また、勤務医の労働組合である全国医師ユニオンは、2020年4月16日、医師及び医療従事者の命と健康を守る支援を徹底すること求め、厚生労働省に対しCOVID-19への対応に関する要望書を提出。これにはCOVID-19患者に対応する医師への危険手当の支払いに関する内容が盛り込まれている。

始まった感染症予防連携プロジェクト/日本感染症学会・日本環境感染学会

 新型コロナウイルス感染症の流行により、麻疹や風疹の被害が置き去りにされている中で、日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏)は、国際的な同一目的で集合した多人数の集団(マスギャザリング)に向けて注意すべき感染症について理解を広げるWEBサイト「FUSEGU ふせぐ2020」をオープンした。  これは感染症対策に取り組む医学会、企業・団体が連携し、マスギャザリングでリスクが高まる感染症の理解向上と、必要な予防手段の普及を目標に感染症予防連携プロジェクトとして推進しているものである。

統合失調症と双極性障害における視床と皮質の解剖学的結合異常

 統合失調症では、前頭前皮質(PFC)を含む視床と皮質の解剖学的結合異常が認められる。PFC視床回路に依存する実行機能の認知機能障害を含む表現型の重複は、視床皮質系の解剖学的結合異常が、精神病性双極性障害にまで及ぼす可能性が示唆されている。米国・ヴァンダービルト大学のJulia M. Sheffield氏らは、この仮説をテストし、視床皮質の結合異常が病気のどの段階で現れるかを調査した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月27日号の報告。

高特異度のCOVID-19抗体検査キット、FDAが緊急使用許可/オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス

 米国の臨床検査用機器・診断薬メーカーであるオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックスは4月25日、SARS-CoV-2の抗体検査試薬「ビトロスAnti-SARS-CoV-2 IgG 抗体検査試薬キット(COVID-19 IgG 抗体検査試薬)」がFDAによる緊急使用許可(EUA)を取得したと発表した。  同社では、別の抗体検査試薬が4月14日にすでにEUAを取得している。1種類目の「ビトロス Anti-SARS-CoV-2 Total抗体検査試薬キット(COVID-19 Total抗体検査試薬)」は、感染初期の急性期に出現するIgM抗体を含むすべての抗体を検出し、免疫の獲得開始の判断への活用が期待される。今回EUA を取得した2種類目の COVID-19 IgG抗体検査試薬は、感染の後期に出現し、回復後も患者の血液中に存在するIgG 抗体のみを検出する。

AI活用の皮膚がんスクリーニング、患者の受け止めは?

 COVID-19パンデミックを受け、国内では、時限措置ながら初診からのオンライン診療が解禁され、対面診療至上主義に大きな風穴を開けた。患者サイドの不安・不満が気になるところだが、人工知能(AI)による皮膚がんのスクリーニングについて、医師・患者の人間的な関係性が担保された状態ならば許容されうることが、米国・イェール大学医学大学院のCaroline A. Nelson氏らによる皮膚がん患者を対象とした質的研究結果によって示された。AIの利用は医学のあらゆる領域に及んでおり、皮膚科領域では、皮膚病変を分類するdirect-to-patientおよびclinician decision-supportのAIツールに関する評価が行われている。患者の受診行動を変えるAIの態勢はできているが、患者側からの観点はまだ十分に理解されていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月11日号掲載の報告。

軽度~中等度のうつ病に対するサフランの効果~メタ解析

 うつ病治療において、ハーブ療法のニーズが高まってきている。最近までに蓄積された研究によると、抑うつ症状の緩和に対するサフラン(Crocus sativus L.)の好影響が明らかとなっている。中国・Jiujiang University Clinical Medical CollegeのLili Dai氏らは、利用可能なすべてのデータを結合し、軽度~中等度のうつ病治療におけるサフランの安全性および有効性を評価するため、メタ解析を実施した。The Journal of Nervous and Mental Disease誌2020年4月号の報告。

IPF診療における患者と医師のギャップ

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、神戸市立医療センター西市民病院との共同研究で特発性肺線維症(IPF)患者を診る医師とその患者を対象に「特発性肺線維症(IPF)診療における患者と医師の相互理解:わが国におけるIPF 患者と担当医師の意識調査」を行い、その結果を発表した。これはIPF を診療する医師とその患者に対する国内初となる意識調査であり、その結果、医師と患者との間には治療に対する認識のギャップが存在することが明らかになった。  IPFは、進行すると肺が膨らみにくくなり、咳や息切れの症状が出現、患者の死亡原因の約40%が急性憎悪による。同社の開発したニンテダニブは、2015年7月にIPFを効能・効果として製造販売承認を取得し、2019年12月に全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対して追加適応を取得し、治療に使用されている。

アルツハイマー病やMCIでみられる味覚障害の調査

 アルツハイマー病(AD)患者では、味覚障害が認められることがあるが、このことについてはあまり研究されていない。鳥取大学の河月 稔氏らは、ADもしくは軽度認知障害(MCI)を有する患者と認知症でない対照(NDC)群における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。BMC Neurology誌2020年3月26日号の報告。  対象は、AD群29例、MCI群43例、NDC群14例。病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。