医療一般|page:1

既治療の進展型小細胞肺がん、I-DXdの奏効率48.2%(IDeate-Lung01)/WCLC2025

 既治療の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)患者を対象に、抗B7-H3(CD276)抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd;DS-7300)の有用性を検討する国際共同第II相試験「IDeate-Lung01試験」。本試験において、I-DXdは有望な治療効果と忍容性が示された。世界肺がん学会(WCLC2025)において、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が本試験の主解析の結果を報告した。

きつい運動の前の減量は受傷発生を減少させる

 社会的に一番きつい運動をしているのは軍隊や警察などのグループである。こうしたグループに入隊する前の減量は、入隊後のけがや事故などに影響を与えるのであろうか。このテーマについて、米国陸軍環境医研究所軍事能力部門のVy T. Nguyen氏らの研究グループは、入隊前の体重減少と過酷な基礎戦闘訓練(BCT)中の筋骨格系損傷(MSKI)発生率との関連性を調査した。その結果、入隊のために減量した訓練生はMSKIの発生率が低いことが判明した。この結果はObesity誌オンライン版2025年7月30日号に公開された。

治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール併用vs.rTMS併用vs.SNRI切り替え

 米国・ハーバード大学のClotilde Guidetti氏らは、治療抵抗性うつ病患者を対象に、アリピプラゾールまたは反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)による抗うつ薬の増強とベンラファキシン徐放性/デュロキセチンへの切り替えが生活の質(QOL)に及ぼす影響を比較するため、多施設共同非盲検有効性比較試験であるASCERTAIN-TRD研究の副次解析を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年8月11日号の報告。  事前に指定した副次解析において、治療抵抗性うつ病患者をアリピプラゾール増強群、rTMS増強群、ベンラファキシン徐放性/デュロキセチンへの切り替え群に1:1:1でランダムに割り付け、8週間の治療を行った。治療抵抗性うつ病の定義は、マサチューセッツ総合病院の抗うつ薬治療反応質問票に基づき、適切な用量および期間の抗うつ薬治療を2回以上実施しても十分な治療反応が得られなかった場合とした。QOL評価は、本研究の主要な副次的評価項目として事前に設定されており、Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(Q-LES-Q-SF)短縮版を用いて評価した。反復測定を用いた混合効果モデルにより分析した。本研究は、2017年7月13日〜2021年12月22日に実施した。

フルーツジュースの適度な摂取が糖尿病リスクを減らす/東京科学大

 フルーツジュースは、2型糖尿病とどのように関連するのであろうか。このテーマについて、東京科学大学大学院医歯学総合研究科の河原 智樹氏らの研究グループは、国内13の大学や病院が参加する大規模調査「J-MICC研究」に登録された1万3,769人分のデータを用い、フルーツジュースを飲む頻度と2型糖尿病との関連を調査した。その結果、遺伝的リスクが高い人ほど、適度にフルーツジュースを飲むことで糖尿病にかかりにくくなるという結果が判明した。この研究結果は、British Journal of Nutrition誌オンライン版2025年7月10日号に掲載された。

豚の肺を脳死者に移植、世界初の試み

 中国の医師らが、遺伝子改変した豚の左肺を脳死と判定された男性に移植し、216時間(9日間)機能したことを確認したとする研究成果を報告した。豚の肺を人間に移植するのは初の試みである。科学者らはこの種の移植に希望を見出しているものの、専門家は、肺移植を必要とする人にとって異種移植が選択肢となるまでには何年もかかる可能性があると見ている。広州医科大学第一附属医院(中国)のJianxing He氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に8月25日掲載された。

降圧薬で腸管血管性浮腫の報告、重大な副作用を改訂/厚労省

 2025年9月9日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの降圧薬で重大な副作用が改められた。  今回、ACE阻害薬、ARB、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)および直接的レニン阻害薬の腸管血管性浮腫について評価した。その結果、「血管性浮腫の一種である腸管血管性浮腫についても、潜在的なリスクである可能性があること」「国内外副作用症例において、腸管血管性浮腫に関連する報告が認められていない薬剤もあるものの、複数の薬剤において腸管血管性浮腫との因果関係が否定できない症例が認められていること」「医薬品医療機器総合機構で実施したVigiBaseを用いた不均衡分析において、複数のACE阻害薬およびARBで『腸管血管性浮腫』に関する副作用報告数がデータベース全体から予測される値より統計学的に有意に高かったこと」を踏まえ、改訂に至った。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法がOS改善(FLAURA2)/WCLC2025

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」が実施されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果がDavid Planchard氏(フランス・Institut Gustave Roussy/パリ・サクレー大学)によって報告され、併用群でOSの有意な改善が認められた。すでに主解析の結果、併用群で無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことが報告されており(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79)、OSも第2回中間解析の結果から併用群が良好な傾向が示されていた。

高齢やフレイルのCLL患者、アカラブルチニブ単剤で高い奏効率(CLL-Frail)/Blood

 80歳以上の高齢やフレイルの慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした前向きのCLL-Frail試験の結果、アカラブルチニブ単剤治療により高い奏効率とフレイルの改善が認められた。また、予期しない安全性シグナルはみられず、重篤な有害事象はほとんどが感染症であったという。ドイツ・ケルン大学のFlorian Simon氏らがBlood誌オンライン版2025年9月4日号に報告した。  CLL-Frail試験は、German CLL Study Groupによる医師主導国際多施設共同第II相試験である。本試験の対象は、ECOG PSが3以下で、80歳以上および/またはフレイルスケールスコアによりフレイルとみなされたCLL患者で、1ラインまで前治療が認められた。主要評価項目は6サイクル治療後の全奏効率(ORR)で、ORR≦65%とする帰無仮説を検証した。

砂糖の取り過ぎは認知症リスクと関連するか

 過剰な糖質の摂取は、認知症リスクの上昇と関連しているといわれているが、これまでの研究ではサンプル数が少なく、糖質の総量に着目しているため、特定の糖質サブタイプに関する調査は限られていた。中国・西安交通大学のYue Che氏らは、糖質の摂取量およびサブタイプと認知症リスクとの関係を評価するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年7月31日号の報告。  英国バイオバンク参加者のうち、24時間食事回想法を1回以上実施した17万2,516人を対象に分析を行った。糖質の総量およびサブタイプ(遊離糖、果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、その他の糖類)について、Cox比例ハザードモデルを用いて、認知症リスクに関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。性別による層別化分析も実施した。

他者を手助けする活動で認知機能の低下速度が緩やかに

 年齢を重ねても脳の健康を維持したい人は、定期的に地域や近所でボランティア活動を行うか、友人や家族を手助けすると良いようだ。そうした他者を手助けする活動を定期的に行っている人では、その活動が公式か非公式かにかかわらず、加齢に伴う認知機能の低下速度が緩やかであることが、新たな研究で示された。米テキサス大学(UT)オースティン校人間発達・家族科学分野のSae Hwang Han氏らによるこの研究の詳細は、「Social Science & Medicine」10月号に掲載された。Han氏は、「組織的なものであれ個人的なものであれ、日常的に他者を手助けすることは認知機能に永続的な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

AIチャットボットによるてんかん教育介入の効果、「えぴろぼ」の実用性と今後の課題

 てんかんを正しく理解し、偏見なく接する社会をつくるには、患者本人だけでなく周囲の人々の知識と意識の向上が欠かせない。こうした中、患者やその支援者にてんかんに関する情報や心理的サポートを提供する新しい試みとして、人工知能(AI)を活用したチャットボット「えぴろぼ」が登場した。今回、「えぴろぼ」の利用によって、てんかん患者に対する態度の改善や疾患知識の向上が認められたとする研究結果が報告された。研究は、国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療部の倉持泉氏らによるもので、詳細は「Epilepsia Open」に7月28日掲載された。

「かぜ」への抗菌薬処方、原則算定不可へ/社会保険診療報酬支払基金

 社会保険診療報酬支払基金は8月29日付けの「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)において、一般に「風邪」と表現される「感冒」や「感冒性胃腸炎」などへの内服の抗生物質製剤・合成抗菌薬を処方した場合の算定は、“原則認められない”とする方針を示した。  支払基金・国保統一事例は以下のとおり。  次の傷病名に対する抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】※の算定は、原則として認められない。 ※ペニシリン系、セフェム系、キノロン系、マクロライド系の内服薬で効能・効果に次の傷病名の記載がないものに限る。

がん患者への早期緩和ケア、終末期の救急受診を減少

 がん患者を中心に、早期からの緩和ケア介入の重要性が示唆されているが、実際の患者アウトカムにはどのような影響があるのか。緩和ケア受診後の救急外来受診のタイミングと回数について調査した、韓国・ソウル大学病院で行われた単施設後ろ向きコホート研究の結果がJAMA Network Open誌2025年7月15日号に掲載された。  ソウル大学病院のYe Sul Jeung氏らは、2018~22年に、ソウル大学病院で緩和ケア外来に紹介され、2023年6月25日までに転帰が確定した成人の進行がん患者3,560例(年齢中央値68歳、男性60.2%)を解析した。主要評価項目は全期間と終末期(死亡前30日内)の救急外来受診数だった。

双極症に対する気分安定薬使用が認知機能に及ぼす影響〜メタ解析

 気分安定薬は、双極症に一般的に用いられる薬剤である。中国・四川大学のChang Qi氏らは、双極症患者に対する気分安定薬の使用が認知機能に及ぼす影響を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年7月26日号の報告。  PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane library、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。データ抽出はPRISMAガイドラインに従い、品質評価はCochrane Handbookに準拠し、実施した。メタ解析には、RevMan 5.4ソフトウェアを用いた。

日本女性、出産意欲の向上に関連する要素は?/神奈川県立保健福祉大学

 少子化が進む日本では、合計特殊出生率が2024年に1.15と過去最低を記録し、社会保障制度や労働力維持への影響が深刻化している。女性の就労率は上昇しているものの、長時間労働や不十分な育児支援のため、キャリアと出産・育児の両立は依然として課題である。こうした中、東京・丸の内エリアの企業に勤務する女性を対象に、キャリア志向と妊娠意欲の関連を明らかにする大規模調査が行われ、その結果がBMC Women’s Health誌2025年9月2日号に掲載された。

AIによる診療記録作成で医師のバーンアウトが減少

 診察室での医師と患者の会話を自動的に記録して解析し、診療記録を生成する技術をAmbient Documentation Technology(ADT)という。新たな研究で、ADTの使用は臨床医のバーンアウト(燃え尽き症候群)の減少やウェルビーイングの向上と関連していることが示された。米マス・ジェネラル・ブリガム(MGB)のRebecca Mishuris氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に8月21日掲載された。  この研究の背景情報によると、診療記録の負担は臨床医のバーンアウトの一因とされている。今回の研究でMishuris氏らは、ADTを試験的に導入しているマサチューセッツ州のMGBとジョージア州のエモリーヘルスケアにおけるADTの使用状況を調べ、ADTの使用が臨床医の記録業務負担の感じ方およびバーンアウトに与える影響を検討した。

肺切除後の肺瘻リスク、低侵襲開胸手術で軽減の可能性

 肺切除術は肺がん治療の要となるが、術後早期に肺瘻(空気漏れ)が生じることも少なくない。今回、手術アプローチの違いが肺瘻の発生率や転帰に影響する可能性があるとする研究結果が報告された。ILO1805試験の事後解析で、胸腔鏡手術(TS)の方が低侵襲開胸手術(MIOS)よりも肺瘻の発生率が有意に高く、その持続期間やドレーン留置期間も長くなる傾向が示されたという。研究は山形大学医学部附属病院第二外科の渡辺光氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に7月21日掲載された。

9月20日・21日、産業保健の最新動向を学ぶ!日本産業保健法学会【ご案内】

 2025年9月20日(土)~21日(日)、北里大学(東京・港区)を会場に、日本産業保健法学会第5回学術大会が行われる。全体テーマは、「AIと産業保健法:DX時代の多様化した産業保健と法」。AIのビジネスへの本格的な普及を鑑み、健康診断やストレスチェックシステムの一元化、健康情報の効率的管理・可視化等による業務効率向上などをテーマに、さまざまなシンポジウムが開催される。産業医、産業医志望者にとって、最新の事例や研究にふれるチャンスとなる。  開催概要は以下のとおり。

心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025

 心房細動(AF)とアテローム性動脈硬化症(以下、動脈硬化)は、一般集団と比較して脳血管病変の発生率を高める。今回、AF患者は動脈硬化患者と比較して、非ラクナ型脳梗塞、多発脳梗塞、重度の脳室周囲白質病変の発生頻度が高いことが明らかになった。本研究結果はカナダ・マクマスター大学のTina Stegmann氏らが8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)の心房細動のセッションで発表し、European Heart Journal誌オンライン版2025年8月29日号に同時掲載された。

うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は

 非薬理学的介入としての有酸素運動は、これまでのうつ病治療における有効な補助療法であるといわれている。しかし、有酸素運動による介入に関する包括的な評価は依然として不十分である。中国・海南師範大学のLei Chen氏らは、うつ病患者における有酸素運動と併用したさまざまな治療介入の有効性をシステマティックに評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2025年7月25日号の報告。  PICOSフレームワークに基づき、2024年6月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Web of Science、Cochrane Library、Embase、Scopus、CNKI、Wanfang、CBMより検索した。スクリーニングおよびデータ抽出は、独立して実施した。ネットワークメタ解析はStata 15.0およびR 4.4.1、バイアスリスクはCochrane Risk of Biasツール、エビデンスの質はCINeMAを用いて評価した。