医療一般|page:1

糖尿病患者の飲酒は肝がんリスク大幅増、茶によるリスク低下は限定的

 糖尿病の有無別にアルコールおよび茶の摂取と肝がん発症リスクとの関連を検討した前向きコホート研究の結果、アルコール摂取はとくに糖尿病患者で肝がんリスクを大きく高めることが確認された一方で、茶の摂取による肝がんリスク低下効果は非糖尿病患者に限られたことが、中国・清華大学のXiaoru Feng氏らによって明らかになった。Nutrients誌2025年9月4日号掲載の報告。  一部の研究では少量のアルコール摂取は肝がんリスクを下げる可能性が報告されているが、高頻度・大量のアルコール摂取は肝がんリスクを上昇させることが多くの研究で示されている。茶の摂取は肝がんリスク低下に関連する可能性があるとする研究がある一方で、有意な関連を認めない研究も多く、結論は一様ではない。また、糖尿病患者は代謝異常のためにアルコールや茶のの影響を受けやすく、それが肝がんのリスクに関与している可能性もある。そこで研究グループは、大規模かつ長期の追跡調査を行い、アルコールおよび茶の摂取と肝がん発症との関連を、糖尿病の有無別に評価した。

利尿薬による電解質異常、性別・年齢・腎機能による違いは

 高血圧や心不全の治療に広く用いられる利尿薬には、副作用として電解質異常がみられることがあり、これは生命を脅かす可能性がある。これまでの研究では、利尿薬誘発性の電解質異常は女性に多く発現することが示唆されている。電解質バランスは腎臓によって調節されており、腎機能は加齢とともに低下する傾向がある。慶應義塾大学の間井田 成美氏らは、性別、腎機能、年齢が利尿薬誘発性の電解質異常の感受性に及ぼす影響を考慮し、利尿薬の副作用リスクが高い患者を特定するため本研究を実施した。Drug Safety誌2025年10月号の報告。  日本の利尿薬服用患者6万7,135例のレセプトデータをDeSCヘルスケアから入手し、2020年4月~2021年3月のデータを分析対象とした。

ADHDとASDに対するビタミン介入の有効性〜メタ解析

 ビタミン介入は、自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如・多動症(ADHD)のマネジメントにおいて、費用対効果が高く利用しやすいアプローチとして、主に便秘などの消化器症状の緩和を目的として用いられる。最近の研究では、ビタミンがASDやADHDの中核症状改善にも有効である可能性が示唆されている。しかし、既存の研究のほとんどは患者と健康者との比較に焦点を当てており、臨床的に意義のあるエビデンスに基づく知見が不足していた。中国・浙江大学のYonghui Shen氏らは、ASDおよびADHD患者におけるビタミン介入に焦点を当て、メタ解析を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2025年8月30日号の報告。

マンモグラフィの画像からAIモデルが心血管リスクを評価

 定期的なマンモグラフィ検査は、乳がんの早期発見に有効であるだけでなく、女性の心臓病リスクを正確に予測するのにも役立つ可能性があるようだ。マンモグラフィの画像から心血管疾患(CVD)リスクを予測する人工知能(AI)モデルの予測性能は、米国心臓協会(AHA)や他の専門家グループが開発したCVDイベントリスク予測方程式(Predicting Risk of Cardiovascular Disease Events;PREVENT)の予測性能と同等であることが、新たな研究で示された。ジョージ国際保健研究所(オーストラリア)で心血管プログラムのグローバルディレクターを務めているClare Arnott氏らによるこの研究結果は、「Heart」に9月16日掲載された。

喫煙は2型糖尿病のリスクを高める

 喫煙者は2型糖尿病のリスクが高く、特に糖尿病になりやすい遺伝的背景がある場合には、喫煙のためにリスクがより高くなることを示すデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のEmmy Keysendal氏らが、欧州糖尿病学会年次総会(EASD2025、9月15~19日、オーストリア・ウィーン)で発表した。Keysendal氏は、「インスリン作用不足の主因がインスリン抵抗性の場合と分泌不全の場合、および、肥満や加齢が関与している場合のいずれにおいても、喫煙が2型糖尿病のリスクを高めることは明らかだ」と語っている。

シロシビンによるうつ病改善効果、5年後も持続

 「シロシビン」の大うつ病性障害(以下、うつ病)に対する効果は、最長で5年間持続する可能性のあることが、新たな研究で示唆された。シロシビンはマジックマッシュルームと呼ばれるキノコに含まれている幻覚作用のある成分である。初期のシロシビンに関する臨床試験を追跡調査したこの研究では、試験参加者の3分の2が試験から5年が経過した後もうつ病の完全寛解を保っていたことが判明したという。米オハイオ州立大学コロンバス校幻覚剤研究教育センター所長のAlan Davis氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Psychedelic Studies」に9月4日掲載された。  Davis氏は、「5年が経過した今でも、ほとんどの人はこの治療法が安全で、有意義かつ重要で、生活の改善を促すものだと見なしている」と語っている。同氏はまた、「治療後に起こり得ることを詳細に理解することは重要だ。結果がどうであれ、このような臨床試験に参加したことで彼らの人生が改善されたことを示していると思う」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

ナルコレプシー治療にパラダイムシフト、oveporextonが第III相試験の評価項目をすべて改善、先駆的医薬品にも指定/武田

 武田薬品工業の経口オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬oveporexton(TAK-861)はナルコレプシータイプ1(NT1)に対する第III相試験で有望な結果を示した。その結果は世界睡眠学会で発表された。また、同薬は国内では先駆的医薬品および希少疾病用医薬品に指定された。  NT1は、脳内のオレキシンニューロンが減少することで引き起こされる慢性かつまれな神経疾患であり、日常生活に支障を来すさまざまな症状を引き起こす。oveporextonはオレキシンの欠乏に対処することで、NT1の広範な症状を改善する。現在、NT1の原因となるオレキシン欠乏を標的とする治療薬はなく、認可されればoveporextonがファースト・イン・クラスとなる。

新型コロナは依然として高齢者に深刻な脅威、「結核・呼吸器感染症予防週間」でワクチン接種の重要性を強調/モデルナ

 モデルナ・ジャパン主催の「呼吸器感染症予防週間 特別啓発セミナー」が9月24日にオンラインで開催された。本セミナーでは、9月24~30日の「結核・呼吸器感染症予防週間」の一環として、迎 寛氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野[第二内科]教授)と参議院議員であり医師の秋野 公造氏が登壇し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、とくに高齢者にとって依然として深刻な脅威であると警鐘を鳴らした。新型コロナの5類移⾏から3年が経ち、社会の警戒感や関心が薄れているなか、継続的なワクチン接種と社会全体の意識向上の重要性を訴えた。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アジテーションは、苦痛を伴う神経精神症状であり、アルツハイマー病の約半数にみられる。また、アルツハイマー病に伴うアジテーションは、認知機能の低下を促進し、介護者の負担を増大させる一因となっている。セロトニンおよびドーパミンを調節するブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対する有効性が示されている薬剤であるが、高齢者における有効性、安全性、適切な使用については、依然として不確実な点が残っている。ブラジル・Federal University of PernambucoのAnderson Matheus Pereira da Silva氏らは、アルツハイマー病高齢者のアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。CNS Drugs誌オンライン版2025年8月31日号の報告。

減塩には甘じょっぱい味は向かない/京都府立医科大

 高血圧の管理では、塩分摂取量の削減は重要である。人間は塩分を好むという前提に基づいているが、高濃度の塩分に対し、嫌悪感も認識することが大切である。近年の研究では、慢性腎臓病(CKD)患者において味覚認識だけでなく、高塩分濃度への嫌悪感も変化していることが明らかにされた一方で、さまざまな味覚を組み合わせた場合の影響は依然として不明であった。そこで、京都府立医科大学大学院医学研究科腎臓内科学の奥野-尾関 奈津子氏らの研究グループは、甘味を加えることでCKD患者の塩分嫌悪に影響を与えるかどうかを研究した。その結果、甘味は健康成人とCKD患者の双方で高塩分への嫌悪感を低減することが判明した。この結果はScientific Reports誌電子版2025年7月7日号に掲載された。

新たな血液検査が頭頸部がんの早期発見を可能に

 新たな血液検査により、症状が現れる最大10年前からヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の頭頸部がんを検出できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。HPV-DeepSeekと呼ばれるこの検査は、腫瘍から剥がれて血流に入ったHPV DNAの微細な断片を検出するものだという。米ハーバード大学医学大学院および米Massachusetts Eye and EarのDaniel Faden氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に9月10日掲載された。  研究グループは、この検査の妥当性が確認されれば、HPV関連の頭頸部がんを検査できる初のスクリーニング検査になる可能性があるとしている。Faden氏は、「われわれの研究は、無症状の個人において、がんと診断される何年も前にHPV関連頭頸部がんを正確に検出できることを初めて示した」と話している。

白内障の両眼同日手術、安全性と有効性が示される

 白内障の両眼同日手術は安全かつ有効で、実用的である可能性が、2件の研究で示された。白内障手術は通常、数週間から数カ月の間隔を開けて片眼ずつ行われる。しかし、両眼を同時に手術しても安全性や有効性に違いはなく、手術後に患者が自宅で自立して過ごす能力を妨げることはないことが示されたという。これらの研究結果は、欧州白内障屈折矯正手術学会(ESCRS 2025、9月12~16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。  英ムーアフィールズ眼科病院の眼科医Gabriele Gallo Afflitto氏は、「患者にとって、これらの結果は心強いものだ。特に、多焦点レンズの挿入と組み合わせた場合、同日に両眼の白内障手術を受けることで優れた視力を得られ、眼鏡に頼る必要性も減り、より早い回復が期待できることを、これらの結果は示している」と話している。

低カロリー甘味料が脳の老化を促進する可能性

 カロリーがない、または低カロリーの甘味料が脳の老化を促進する可能性を示唆するデータが報告された。特に糖尿病患者では、より強い関連が見られるという。サンパウロ大学(ブラジル)のClaudia Kimie Suemoto氏らの研究の結果であり、詳細は「Neurology」に9月3日掲載された。  アスパルテーム、サッカリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの低カロリーまたはノンカロリーの甘味料(low- and no-calorie sweeteners;LNCS)は、摂取エネルギー量の抑制に役立つ。しかし論文の上席著者であるSuemoto氏は、「われわれの研究結果は、一部のLNCSは脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と話している。

次期診療報酬改定では2年目も考慮した改定を強く要望する/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、10月1日に定例の記者会見を開催した。会見では、令和8(2026)年度の診療報酬改定へ向けての医師会からの要望事項などが説明された。また、副会長の茂松 茂人氏(茂松整形外科 院長)が、令和7(2025)年防災功労者内閣総理大臣表彰を日本医師会が受賞したことを報告した。これは令和6(2024)年に発生した能登半島地震に際し、医師会が災害派遣などを通じて人命救助に尽力したことなどが高く評価されたもので、本表彰は、平成8(1996)年の阪神・淡路大震災、平成24(2012)年の東日本大震災に続いて3回目となる。 次期報酬改定では2年目の対応も重要 松本氏は、「医療機関の窮状を踏まえた次期診療報酬改定に向けて」をテーマに、医師会からの要望・提案事項を4点を説明した。 (1)医療の窮状について  診療科別の利益率は、すべての診療科で利益率が悪化している。地域別の利益率も、医業利益率、経常利益ともに地域に関係なくいずれの地域でも低下している。とくに決算期が間近に迫ると利益率が低くなり、経営環境の悪化が鮮明に進んでいることが判明している。さらに近いうちに廃業を考える診療所は約14%にも及んでおり、診療所だけでなく病院についても厳しい経営環境にある。 (2)令和7年の対応不足について  令和7年度分の対応不足は、令和6年度改定で2年目は推計値で対応しなければならないため、今般のように物価・賃金などが急激に高騰している中では、結果として不十分な対応となった。繰り返し医師会から要望している令和8年度診療報酬改定の前に、期中改定を求められているような深刻な状況であり、補助金と診療報酬の両面からの早急な対応が必要。 (3)次期診療報酬改定について  次期診療報酬改定について、今後も物価・賃金などが上昇し続けていくことが予想される中、次期改定では改定2年目についても大胆な対応が求められる。とくに昨今の急激なインフレ下では、議論の進め方や柔軟な改定をする必要が出てきている。財務省は、インフレ下であっても先行きが不明であることから、その対応は極めて抑えた改定にしようとする。そのため改定2年目での乖離が大きくなり、今年実際に生じている大きな問題となっている。物価賃金が大きく上昇した場合については、それに合わせて適切に対応する新たな仕組みの導入の検討を明確化しておく必要があり、方向性としては、大きく2つの方法が考えられる。  1つ目には、改定から2年目は調査から3年間ずれることから、物価・賃金が大きく上昇した場合には、それに応じて適切に対応する新たな仕組みの導入の検討を明確化すること。つまり次の改定までの2年間をしっかりと見据えた推計値を含めた改定水準とすること。  2つ目には、2年目の分は物価・賃金それぞれ基本診療料を中心に機動的に上乗せする新たな仕組みを導入し、明確化すること。つまり2年目の分を2年目に確実に上乗せをするということ。 (4)令和7年度補正予算での対応  令和7年度補正予算での対応、令和8年度診療報酬改定のいずれも真水によって対応が行われなければならない。これまで十数年間にわたり、財源の適正化という名目のもとで医療費は削られ続けてきた。この約10年間で改定率は積み上げていくと約2%しか上昇していない。医療機関の経営はギリギリであり、適正化などの名目により医療費のどこかを削って、財源を捻出するという方法では、もはや経営は成り立たなくなり、このままでは医療は崩壊する。税収は物価が上がれば増え、保険料は人件費が上がれば料率はそのままであっても全体の収入は増える。経済成長の果実を活用し、あくまで財源を純粋に増やす、いわゆる真水による思い切った緊急的な対策を強く提言する。

移植適応のない再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫、モスネツズマブ+ポラツズマブ ベドチンがPFS改善(SUNMO)/JCO

 移植適応のない再発または難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対して、モスネツズマブとポラツズマブ ベドチンの併用(Mosun-Pola)をリツキシマブ、ゲムシタビン、オキサリプラチンの併用(R-GemOx)と比較した第III相SUNMO試験において、Mosun-Polaが全奏効率および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、サイトカイン放出症候群の発現頻度は低かったことを米国・City of HopeのLihua E. Budde氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年10月2日号に掲載。  本試験では、自家幹細胞移植に適応のない再発または難治性LBCL患者を、Mosun-Pola群とR-GemOx群に2:1に無作為に割り付けた。主要評価項目は中央判定による全奏効率とPFSであった。

外来ベンゾジアゼピン減少戦略、入院中の不眠症治療標準化がポイント

 不眠症は、頻繁にみられる臨床的愁訴であり、入眠障害、夜間の中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害といった症状を呈する。これらの睡眠障害は、さまざまな精神疾患や身体疾患と関連していることが多く、生活の質の低下や広範な社会的負担につながる可能性がある。ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)は入院患者の不眠症マネジメントに広く用いられているが、とくに高齢者においては、認知機能低下、転倒、骨折などの有害事象との関連が指摘されている。広島大学病院では、より安全な処方実践を促進するため、入院患者向け処方集およびクリニカルパスガイダンスを2021年11月に改訂し、入院中のBZD新規処方開始抑制を目指している。同病院の大本 亜沙妃氏らは、外来患者における睡眠薬処方を分析し、入院時の不眠症治療薬の標準化が、外来の不眠症治療薬処方に及ぼす影響を評価した。Cureus誌2025年7月29日号の報告。

ケサンラ、新しい用量でARIA-Eの発症リスクが有意に減少/リリー

 日本イーライリリーは2025年9月18日、「認知症の治療現場の今とケサンラの最新使用法に関するメディアセミナー ~新しい投与スケジュールによりARIA-Eの発現割合が低下~」を開催した。「ケサンラ点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)は、2024年9月に「アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制」を効能または効果として国内における承認を取得し、同年11月26日に発売された。

直近5年、アクセプトされた論文があると答えた医師は何割?/医師1,000人アンケート

 オンラインジャーナルやオープンアクセスジャーナルの普及に加え、生成AIを活用した検索や翻訳・要約も広まりつつあり、論文の閲覧・執筆を取り巻く状況が大きく変化している。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、論文閲覧・執筆の最近の状況についてアンケートを実施した(2025年8月26~27日実施)。 興味のある論文を見つけるための主な手段について、76.5%の医師がPubMedと回答し、医中誌(39.1%)、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事(38.4%)、所属する学会の学会誌(19.6%)などが続いた。  年代別にみると、PubMedとの回答が最も多いのは共通していたが、20~50代では75%以上を占めたのに対し、60代では59.0%と若干低い傾向がみられた。一方、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事との回答は20~50代では40%以下だったのに対し、60代では51.2%であった。そのほか、XなどのSNSからの情報との回答は全体で4.0%と低いものの、20~30代では10.9%と他世代と比較して高かった。

IPFに対するnerandomilast、第III相試験のアップデート解析(FIBRONEER-IPF)/ERS2025

 ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬nerandomilastは、特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした国際共同第III相試験「FIBRONEER-IPF試験」、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした「FIBRONEER-ILD試験」において、主要評価項目の努力肺活量(FVC)の低下を有意に抑制したことが報告されている。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、FIBRONEER-IPF試験のデータ最終固定時の解析結果をJustin M. Oldham氏(米国・ミシガン大学)が報告した。本解析において、FVCの低下抑制効果は76週時まで維持された。また、主要な副次評価項目に有意差はみられなかったものの、nerandomilast高用量群では死亡リスクの数値的な低下がみられた。

内視鏡鎮静に新たな選択肢、レミマゾラムが覚醒時間を半減/ムンディファーマ

 2025年6月、短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬レミマゾラムベシル(一般名:レミマゾラム、商品名:アネレム)の新規格である20mg製剤が消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果として新規に承認され、既存の50mg製剤も追加承認を取得した。50mg製剤は2020年に全身麻酔の導入・維持を適応として承認されていたが、今回の承認により、消化管内視鏡時の鎮静用途において、国内初のベンゾジアゼピン系薬剤として保険適用を取得した。これを受け、ムンディファーマは9月19日、「消化器内視鏡診療における鎮静の重要性について」と題したメディアセミナーを開催した。北里大学病院 内視鏡センター長の池原 久朝氏が登壇し、内視鏡検査の現状と新薬の臨床的意義について講演した。