早期乳がん術後補助化学療法におけるドセタキセル逐次投与の検討

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/05/28

 



早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、標準治療のみに比べて生存ベネフィットの改善効果は得られないことが、イギリスGuy’s and St Thomas’ NHS TrustのPaul Ellis氏らが行った第III相試験(TACT)で明らかとなった。アンスラサイクリン系抗がん剤による術後補助化学療法は、1990年代に早期乳がんの切除術後の標準的化学療法として確立されたが、タキサン系抗がん剤の併用によってさらなる改善効果が得られるものと期待されていた。Lancet誌2009年5月16日掲載の報告。

FEC→D群と標準治療(FEC群、E→CMF群)を比較




TACTの研究グループは、18歳以上のリンパ節転移陽性あるいは高リスクのリンパ節転移陰性の切除可能早期乳がんを対象に、イギリスの103施設とベルギーの1施設の参加のもとで無作為化対照比較第III相試験を実施した。

登録された4,162例のうち2,073例が、FEC(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド)を4コース施行後にドセタキセル単剤を4コース施行する群(FEC→D群)に割り付けられた。

対照群としては、FECを8コース施行する群(FEC群)に1,265例が、またエピルビシン単剤を4コース施行後にCMF(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を4コース施行する群(E→CMF群)に824例が割り付けられた。主要評価項目は無病生存率(DFS)であった。


生存ベネフィットは同等、重篤な有害事象はFEC→D群で高頻度




フォローアップ期間中央値62週の時点で無病生存が得られていなかった症例数は、FEC→D群が2,073例中517例、標準治療群は2,089例中539例であり(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.08、p=0.44)、5年DFSはそれぞれ75.6%、74.3%と同等であった。
 5年生存率はFEC→D群82.5%、標準治療群83.0%であり、やはり差を認めなかった(ハザード比:0.99、95%信頼区間:0.86~1.14、p=0.91)。乳がんの再発以外の原因で51例が死亡した(FEC→D群:29例、標準治療群:22例)。

grade 3/4の急性の有害事象の発現率は、FEC→D群が標準治療群よりも有意に高かった(FEC群との比較でp<0.0001、E→CMF群との比較でp<0.0001)。最も高頻度に見られたのは好中球減少(FEC→D群:937例、標準治療群:797例)、白血球減少(507例、362例)、倦怠感(456例、272例)であった。

著者は、「早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、生存ベネフィットの改善効果はない」と結論し、「予後予測因子としてバイオマーカーを使用して探索的なサブグループ解析を行えば、タキサン系抗がん剤ベースの治療法が有効な症例を見いだすことが可能かもしれない」と考察している。

(菅野守:医学ライター)