再発・難治性多発性骨髄腫、トアルクエタマブ+ダラツムマブ±ポマリドミドでPFS延長/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/30

 

 トアルクエタマブは、骨髄腫細胞表面に発現するGタンパク質共役型受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)と、T細胞上に発現するCD3受容体を標的とする二重特異性抗体。本薬は、正常B細胞への作用は限定的であり、管理可能な感染症プロファイルを示すため併用療法への組み込みが可能とされる。イタリア・トリノ大学のRoberto Mina氏らMonumenTAL-3 Investigatorsは「MonumenTAL-3試験」において、既治療の再発・難治性多発性骨髄腫患者では、トアルクエタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミド(Tal-DP)およびトアルクエタマブ+ダラツムマブ(Tal-D)はダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(DPd)による標準治療と比較して、2年の時点での無増悪生存率が有意に優れ、全生存率も良好であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年6月13日号に掲載された。

18の国と地域の無作為化第III相試験

 MonumenTAL-3試験は、日本を含む18の国と地域の182施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(Johnson & Johnsonの助成を受けた)。2022年11月~2025年3月に、年齢18歳以上、再発・難治性多発性骨髄腫を呈し、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害薬を含む1ライン以上の治療歴のある参加者を登録した。

 被験者864例(年齢中央値64歳[範囲:30~88]、男性496例[57.4%])を、Tal-DP(287例)、Tal-D(287例)、DPd(290例)の投与を受ける群に無作為に割り付けた。
 主要評価項目は、無増悪生存期間(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡の発生までの期間)とし、独立審査委員会が評価した。

全奏効、残存病変陰性完全奏効も良好

 全体(864例)の診断からの経過期間中央値は3.8年(範囲:0.3~22.0)、前治療ライン数中央値は2(範囲:1~8)であった。833例(Tal-DP群276例、Tal-D群274例、DPd群283例)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。今回の中間解析時の追跡期間中央値は24.6ヵ月(範囲:0.03~35.4)だった。

 24ヵ月時の無増悪生存率の推定値は、Tal-DP群が81.3%、Tal-D群が77.6%、DPd群は51.2%であった。病勢進行または全死因死亡のハザード比(HR)は、DPd群に対するTal-DP群で0.28(95%信頼区間[CI]:0.20~0.40、p<0.001)、DPd群に対するTal-D群で0.33(0.24~0.46、p<0.001)であり、いずれも有意差を認めた。

 また、全奏効(部分奏効以上)(Tal-DP群88.2%およびTal-D群88.5%vs.DPd群77.6%、両比較ともp<0.001)、完全奏効以上(71.1%および69.0%vs.34.5%、両比較ともp<0.001)、測定可能な残存病変が陰性の完全奏効(52.3%および46.3%vs.15.9%、両比較ともp<0.001)の割合は、いずれも有意差がみられた。

 一方、24ヵ月全生存率の推定値は、Tal-DP群が89.2%、Tal-D群が87.9%、DPd群は79.1%であり、全死因死亡のHRは、DPd群に対するTal-DP群で0.47(95%CI:0.30~0.73、p=0.0006)、DPd群に対するTal-D群で0.51(0.33~0.78、p=0.0015)とトアルクエタマブを含むレジメンで良好であったが、いずれも事前に規定された中間解析の有意水準(p=0.0001)を満たさなかった。

Grade3、4の好中球減少が高頻度に

 最も頻度の高いGrade3または4の有害事象は好中球減少(Tal-DP群76.4%、Tal-D群29.2%、DPd群86.2%)であった。重篤な有害事象は、Tal-DP群で63.0%、Tal-D群で52.6%、DPd群で53.7%に、致死的な有害事象はそれぞれ1.8%(5例)、4.0%(11例)、4.6%(13例)に発生した。

 サイトカイン放出症候群はTal-DP群で67.8%(Grade1が55.8%、Grade2が11.2%)、Tal-D群で58.4%(同48.9%、8.8%)に発生した。イベントのほとんどが一過性(発症期間中央値2日[範囲:1~57])で、1例(Tal-D群)を除き消退した。本症により4例(Tal-DP群1例、Tal-D群3例)でトアルクエタマブの投与中止に至り、2例(いずれもTal-D群)で全試験薬が投与中止となった。

 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群はTal-DP群で2.9%、Tal-D群で1.8%に発生した。Tal-DP群の3例がGrade3で、イベントはすべて消退した。

 感染症は、Tal-DP群で87.3%、Tal-D群で84.3%、DPd群で83.0%に発生した。Grade3または4の感染症の発生率はそれぞれ37.7%、29.2%、42.4%であり、最も頻度が高かったのは肺炎(13.8%、9.5%、19.1%)であった。致死的感染症は0.7%(2例)、1.5%(4例)、1.8%(5例)に認めた。

早期ラインの新たな選択肢

 著者は、「Tal-DPおよびTal-Dはいずれも、再発または難治性多発性骨髄腫の早期ラインの治療における新たな選択肢となる」としている。

 また、「本試験はTal-DPとTal-Dの比較を目的としたものではなかったが、トアルクエタマブ+ダラツムマブ療法にポマリドミドを追加することで、無増悪生存期間、奏効持続期間、全生存期間の改善を認めた一方で、血液毒性や重症感染症のリスクが増加した。Tal-DPとTal-Dのいずれを選択するかは、個々の患者の特性や治療目標を考慮して決定すべきである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)