転移大腸がん1次治療への高用量ビタミンD3上乗せ、PFSを延長せず/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/08/18

 

 未治療の転移を有する大腸がん(mCRC)の1次治療において、高用量ビタミンD3の補充は標準用量のビタミンD3の補充と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長しないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らによる第III相「SOLARIS(Alliance A021703)試験」の結果で示された。前臨床研究および疫学研究により、大腸がんにおけるビタミンDの抗悪性腫瘍薬としての役割が示され、第II相SUNSHINE試験では、標準用量と比較して高用量ビタミンD3の補充はPFSを改善する可能性が示唆されていた(13ヵ月vs.11ヵ月、多変量補正後ハザード比[HR]:0.64、片側95%信頼区間[CI]:0~0.90、p=0.02)。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年8月3日号に掲載された。

米国の無作為化第III相試験

 SOLARIS試験は、米国の151施設で実施した二重盲検無作為化第III相試験である(米国国立がん研究所[NCI]の助成を受けた)。2019年10月~2022年12月に、年齢18歳以上で、未治療の切除不能な局所進行または転移を有する大腸がん患者を登録した。

 被験者455例(年齢中央値59歳[四分位範囲[IQR]:50.0~68.0]、女性181例[39.8%])に、血管新生阻害薬ベバシズマブ(2週ごと)とともに、標準化学療法としてmFOLFOX6(5-フルオロウラシル/ロイコボリン+オキサリプラチン)またはFOLFIRI(5-フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン)を投与した。

 これらの患者を、高用量ビタミンD3(負荷用量:8,000 IU/日×14日間投与後、4,000 IU/日)(228例)または標準用量ビタミンD3(400 IU/日)(227例)を投与する群に無作為に割り付け、病勢進行、耐用不能な毒性、同意の撤回のいずれかが発生するまで継続投与した。

 主要評価項目はPFS(log-rank検定で評価)であった。副次評価項目は、客観的奏効率、全生存期間(OS)および毒性などであった。

奏効率、OSにも差はない

 原発巣は、左結腸が高用量群38.2%、標準用量群39.8%、右結腸がそれぞれ35.1%および33.6%、直腸が21.5%および20.4%であった。多くの患者が、基礎化学療法としてmFOLFOX6を受けた(高用量群85.8%、標準用量群84.2%)。

 追跡期間中央値20ヵ月の時点で、PFS中央値は高用量群が11.8ヵ月(95%CI:10.3~13.3)、標準用量群は10.3ヵ月(95%CI:9.4~12.2)であり、両群間に有意な差を認めなかった(片側log-rank検定のp=0.25)。

 また、客観的奏効率(高用量群51%[95%CI:44~58]vs.標準用量群44%[37~50]、p=0.12)およびOS中央値(25.6ヵ月vs.27.0ヵ月、HR:1.05、95%CI:0.81~1.36、片側log-rank検定のp=0.66)にも、両群間に有意差はみられなかった。

Grade3以上の好中球減少、高血圧が高頻度

 Grade3以上の毒性の発生に関して、両群間に臨床的に意義のある差を認めなかった。Grade3の有害事象は高用量群で115例(54.2%)、標準用量群で109例(52.2%)、Grade4はそれぞれ34例(16.0%)および31例(14.8%)、Grade5は5例(2.4%)および6例(2.9%)に発現した。高用量群におけるGrade5の有害事象のうち試験治療に関連したものはなかった。

 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球減少(高用量群67例[31.6%]vs.標準用量群62例[29.7%])、高血圧(42例[19.8%]vs.49例[23.4%])、白血球減少(19例[9.0%]vs.9例[4.3%])、末梢性感覚神経障害(19例[9.0%]vs.7例[3.3%])、下痢(16例[7.5%]vs.10例[4.8%])であった。

 ビタミンD関連の有害事象(全Grade)として、高カルシウム血症(高用量群7例[3.3%]vs.標準用量群3例[1.4%])、高リン血症(7例[3.3%]vs.10例[4.8%])、腎結石(3例[1.4%]vs.0例)などがみられた。

 著者は、「これらの知見に基づき、未治療のmCRC患者に対し、標準化学療法に高用量のビタミンD3を追加することは推奨できない」としている。また、SUNSHINE試験との間に結果の相違がみられたことの説明の1つとして、ベースラインの血漿25(OH)Dが本試験で高かった点(両群中央値21.8ng/mL vs.17.6ng/mL)を挙げ、「ベースラインの25(OH)D値が低いほど、ビタミンD3補充に対する反応が大きいことが知られており、したがって本試験の患者は高用量ビタミンD3補充療法から、それほど大きな恩恵を受けなかった可能性がある」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)