メタボリックシンドローム(MetS)の解消に向けた減量は、体重、BMI、腹囲など何がよく、どの程度必要だろうか。このテーマに関し、中国の湖北省疾病予防管理センター慢性・非感染性疾患予防管理研究所のJunfeng Qi氏らの研究グループは、約7,000例を対象にデータを解析。その結果、MetSの解消にBMIを完全に正常化させる必要はないことが示唆された。この結果は、Obesity誌2026年7月31日オンライン版に公開された。
MetS解消に必要な減量幅:過体重で2~8%、肥満で3~9%
研究グループは、ベースラインBMIに基づいて尺度化された新たな指標「BMI正常化達成率(BMI-NAR)」を導入し、MetS解消に向けた個別化の減量目標を検討することを目的に、China HEARTプロジェクトのデータを解析した。過体重/肥満かつMetSを有する成人7,340人を対象とした縦断的コホート研究を実施し、BMI-NARは、BMIの正常値(24.0kg/m
2未満)到達に向けた進捗率(%)として定義した。また、ロジスティック回帰分析および制限付き3次スプラインを用い、BMI-NARとMetS解消との用量反応関係を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・BMI-NARが50%上昇するごとに、MetS解消との有意な関連が認められた。
・全体ではオッズ比[OR]1.10、95%信頼区間[CI]:1.07~1.12、過体重ではOR:1.08、95%CI:1.06~1.11、肥満ではOR:2.36、95%CI:2.00~2.80だった。
・探索的に特定された最小有効閾値(BMI-NARは全体で37%、過体重で53%、肥満で22%)を超えると、解消の確率は急激に上昇した。
・全体集団ではBMI-NAR約165%までMetS解消の有益性が認められたが、それを超える高値域は症例数が少なかった。
・過体重および肥満の集団において、明確な効果の上限は確認されなかった。
・これらの探索的閾値を個別化減量目標に換算すると、一般的な過体重(ベースラインBMI25~27.99)では最低2~8%、肥満では3~9%の減量が必要となる。
研究グループはこの結果から「MetSの解消には、BMIを完全に正常化させる必要はない。BMI-NARは、この高リスク集団における個別化された最小有効減量目標を検討するための、仮説提唱のための定量的フレームワークを提供するものである。ただし、臨床応用には外部検証が必要」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)