治療抵抗性うつ病は、うつ病患者の多くに影響を及ぼしており、依然として治療上の大きな課題となっている。第2世代抗精神病薬(SGA)による増強療法は、一般的に行われているが、その有効性と安全性を比較したエビデンスは限られている。英国・Leeds and York Partnership NHS Foundation TrustのRashed Khalid氏らは、成人治療抵抗性うつ病患者を対象に、SGAによる増強療法の有効性および忍容性を評価するため、システマティックレビューを実施した。Cureus誌2026年5月26日号の報告。
PubMed/MEDLINE、Embase、Web of Science、Scopus、Cochrane Libraryより、2016~25年に公表されたランダム化比較試験(RCT)をシステマティックに検索した。対象研究は、SGAによる増強療法を受けている成人治療抵抗性うつ病患者を対象とした研究とした。2人の評価者が独立して研究のスクリーニングとデータ抽出を行い、Cochrane RoB 2ツールを用いてバイアスリスクを評価した。介入やアウトカムに臨床的な異質性が認められたため、結果は記述的統合を行った。
主な内容は以下のとおり。
・ブレクスピプラゾール、cariprazine、アリピプラゾール、クエチアピン徐放錠(XR)を評価したRCT11件(5,300例)を分析に含めた。
・多くの研究において、プラセボと比較し、抑うつ症状のより大きな改善が報告された。
・評価には、主にMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)の変化量が用いられていた。
・ブレクスピプラゾールおよびアリピプラゾールとセルトラリンの併用療法において、最も一貫した改善が認められた。
・ブレクスピプラゾールによる増強療法は、寛解率が22~31%の範囲であり、cariprazineによる増強療法は、用量調節可能な試験において22~32%の寛解率が示された。
・いくつかの薬剤では、2~3週間以内という早期の作用発現が認められた。
・一般的な有害事象は、アカシジア、不眠、落ち着きのなさ、体重増加などであった。
・有害事象による治療中止率は0.4~8.6%の範囲であった。
・10件の研究が、バイアスリスクが低いと評価された。
著者らは「SGAによる増強療法は治療抵抗性うつ病に対する有効な治療戦略であり、とくにブレクスピプラゾールにおいて一貫した有用性が示された。ただし、慎重なリスク・ベネフィット評価と有害事象のモニタリングが不可欠である。個別化された治療を推進するためには、さらなる直接比較試験や長期的な研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)