米国・フィラデルフィア小児病院のChristopher B. Forrest氏らは、複数の統計および調査データを用いて包括的な健康指標について解析し、米国の小児の健康状態(死亡率、慢性の身体的・発達的・精神的健康状態、肥満、睡眠健康、思春期早発症、活動制限、および身体・情動性症状)は2007~23年の間に悪化していることを明らかにした。著者は、「健康状態を基本的に悪化させている根本原因を特定し、対処する必要がある」と強調している。JAMA誌オンライン版2025年7月7日号掲載の報告。
2007~23年の小児の健康状態を分析
研究グループは、米国ならびに経済協力開発機構(OECD)に加盟する人口規模が大きな高所得国18ヵ国(OECD18:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、英国)の死亡統計と、米国の5つの代表的な全国調査および10の小児医療システム(PEDSnet)の電子カルテデータを用い、反復横断分析を行った。
解析対象集団は20歳未満で、年次サンプル数(非加重値)の範囲は、死亡統計(2007~22年、Human Mortality Database、WHO Mortality Data)が米国で8,190万~8,320万人、OECD18で1億1,840万~1億2,110万人、PEDSnet(2010~23年)が102万6,926~211万4,638人、5つの全国調査が1,623~9万5,677人であった。
主要アウトカムは、慢性の身体的・発達的・精神的健康状態、機能的状態および症状に関する有病率と死亡率の率比(RR)と年間発生率とした。
米国の小児、死亡率はOECD18の約1.8倍、有病率は過去12年で増加
2007~22年において、米国ではOECD18と比較した死亡率が、乳児(1歳未満)では1.78倍(95%信頼区間[CI]:1.78~1.79)、1~19歳では1.80倍(1.80~1.80)高かった。米国とOECD18の間で正味の差が最も大きかった死因2つをみると、1歳未満児では早産(RR:2.22[95%CI:2.20~2.24])と乳幼児突然死(SUID、2.39[2.35~2.43])、1~19歳では銃器関連事件(15.34[14.89~15.80])と自動車事故(2.45[2.42~2.48])であった。
2011~23年に米国の3~17歳の慢性疾患の年次有病率は、PEDSnet(97種類の慢性疾患)については39.9%から45.7%に増加(RR:1.15[95%CI:1.14~1.15])しており、National Survey of Children's Health(15種類)については25.8%から31.0%に増加(1.20[1.20~1.20])していた。
また、米国の小児では肥満、月経の早期開始(12歳未満)、睡眠障害、慢性疾患による活動制限、身体症状(医師によって診断された腹痛、疲労、咳、便秘など27種類)、抑うつ症状(悲しみや絶望感を感じる)、孤独感の年次有病率も、調査期間中に増加した。
(医学ライター 吉尾 幸恵)