妊娠中の大麻使用、有害な妊娠アウトカムが増加/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/01/15

 

 妊娠期間中の継続的な大麻使用により、胎盤機能不全に関連する有害な妊娠アウトカムが増加し、とくに在胎不当過小児が多くなることが、米国・University of Utah HealthのTorri D. Metz氏らが実施した「NuMoM2b試験」の補助的解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年12月12日号に掲載された。

米国8施設9,257例のコホート研究の補助的解析

 NuMoM2b試験は、米国の8つの医療センターで実施したコホート研究であり、2010~13年に参加者を募集し、今回の補助的解析は2020年6月~2023年4月に行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。

 母親(未経産婦)の大麻曝露の判定は、妊娠期間中(妊娠6週0日~13週6日[初回受診]、同16週0日~21週6日[2回目受診]、同22週0日~29週6日[3回目受診])に採取した凍結保存尿検体を用いて、尿イムノアッセイ法により11-ノル-9-カルボキシ-Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC-COOH)を確認することで行った。陽性の場合は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析で確定した。

 9,257例を解析に含めた。大麻曝露妊婦は610例(6.6%)で、このうち197例(32.4%)は妊娠第1期にのみ大麻を使用しており、413例(67.6%)は妊娠第1期以降も継続的に使用していた。

有害な主要複合アウトカム:曝露妊婦25.9% vs.非曝露妊婦17.4%

 主要アウトカム(在胎不当過小児、人工早産、死産、妊娠高血圧症候群の複合)は、1,660例(17.9%)で発生した。傾向スコアを用いた逆確率重み付け解析では、主要複合アウトカムの発生率は非大麻曝露妊婦が17.4%であったのに対し、大麻曝露妊婦は25.9%と高率であった(補正後相対リスク:1.27、95%信頼区間[CI]:1.07~1.49)。

 また、3つの大麻曝露モデル(非曝露、妊娠第1期のみの曝露、妊娠中の継続的曝露)では、非大麻曝露妊婦と比較して、妊娠第1期のみの大麻曝露は主要アウトカムとの関連がなかったが、継続的な大麻曝露は主要アウトカムとの関連を認めた(最小限の補正後相対リスク:1.32[95%CI:1.09~1.60]、完全補正後相対リスク:1.33[1.09~1.61])。

人工早産、妊娠高血圧症候群とは関連がない

 在胎不当過小児(曝露妊婦8.6% vs.非曝露妊婦4.2%、補正後相対リスク:1.52、95%CI:1.08~2.14)は大麻曝露妊婦で多く、死産は補正前相対リスクが大麻曝露妊婦で高かった(1.5% vs.0.5%、補正前相対リスク:2.89[1.37~6.09]、補正後相対リスク:1.63[0.69~3.88])。

 人工早産(3.9% vs.3.2%、補正後相対リスク:0.78[95%CI:0.49~1.24])および妊娠高血圧症候群(16.0% vs.12.9%、補正後相対リスク:1.13[0.91~1.40])は大麻曝露との関連がなかった。

 大麻曝露妊婦の妊娠期間中の総THC-COOH値は、16~3万5,707ng/mL(中央値265ng/mL)の範囲であった。妊娠第1期の定量化されたTHC-COOH値が高いことと、妊娠期間を通じた大麻の累積推定曝露量が多いことは、いずれも主要複合アウトカムの発生割合が高いことと関連した。

 著者は、「これまでの研究でも、ヒトの大麻使用と胎児の発育不良との間には一貫した関連を認めており、本研究では死産が多かった点が注目に値する」と指摘し、「母体および新生児のアウトカムを最適化するために、妊娠中の大麻使用は避けるべきである」としている。

(医学ライター 菅野 守)