オミクロン株流行中の5~11歳へのワクチン接種、実際の有効性は?/NEJM

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン変異株流行中における、5~11歳へのmRNAワクチンBNT162b2(ファイザー製)の2回接種は、SARS-CoV-2感染および症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し中程度の保護効果を示したことが、イスラエル・Clalit Research InstituteのChandra J. Cohen-Stavi氏らによる検討で示された。これまでオミクロン変異株流行中の5~11歳への、BNT162b2ワクチンのリアルワールドでの有効性に関するエビデンスは限定的だった。NEJM誌オンライン版2022年6月29日号掲載の報告。
13万6,127例を対象に、SARS-CoV-2感染・症候性COVID-19への有効性を検証
研究グループは、イスラエル最大の医療ケア組織のデータを基に、2021年11月23日以降にBNT162b2ワクチン接種を受けた5~11歳の小児を特定。ワクチン非接種の小児とマッチングし、オミクロン変異株流行中にBNT162b2ワクチン接種を受けた小児における、1回目および2回目接種後のSARS-CoV-2感染と症候性COVID-19に対する有効性を推定した。両群の2022年1月7日までの累積アウトカム発生について、Kaplan-Meier推定法で推定し、ワクチン有効性を1-リスク比で算出した。また、年齢サブグループ別のワクチン有効性も推定した。
試験期間中にワクチンを受けた試験適格児は13万6,127例、マッチドワクチン非接種児は9万4,728例だった。
有効性は5~6歳が10~11歳より高い傾向
記録されたSARS-CoV-2感染に対するBNT162b2ワクチンの推定有効率は、1回目接種後14~27日で17%(95%信頼区間[CI]:7~25)、2回目接種後7~21日で51%(39~61)だった。2回目接種後7~21日に記録されたSARS-CoV-2感染に関する両群の絶対リスク差は、1,905件(95%CI:1,294~2,440)/10万人、症候性COVID-19については同599件(296~897)/10万人だった。
症候性COVID-19に対するBNT162b2のワクチン有効率は、1回目接種後14~27日で18%(95%CI:-2~34)、2回目接種後7~21日で48%(29~63)だった。
年齢サブグループ別にみた傾向として、10~11歳と高年齢グループに比べ、5~6歳と低年齢グループのほうが、ワクチン有効性が高かった。2回目接種後7~21日に記録されたSARS-CoV-2感染への有効率は38%(95%CI:18~53)vs.68%(43~84)、同じく症候性COVID-19への有効率は36%(0~61)vs.69%(30~91)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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オミクロン株流行時期における5~11歳児に対するBNT162b2ワクチンの有効性(解説:寺田教彦氏)
コメンテーター : 寺田 教彦( てらだ のりひこ ) 氏
筑波大学 医学医療系 臨床医学域 感染症内科学 講師
筑波メディカルセンター病院臨床検査医学科/感染症内科