spesolimab、膿疱性乾癬(汎発型)の膿疱・皮疹を改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/11

 

 膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)の治療において、ヒト化抗インターロイキン-36受容体モノクローナル抗体であるspesolimabはプラセボと比較して、投与後1週の時点での膿疱や皮膚症状の消失割合が高いが、感染症や全身性薬物反応の発現が認められることが、フランス・Paris Hopital Saint-LouisのHerve Bachelez氏らが実施した「Effisayil 1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年12月23日号に掲載された。

12ヵ国37施設の第II相試験

 本研究は、GPPフレアを発症している患者におけるspesolimabの有効性と安全性の評価を目的とする第II相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2019年2月~2021年1月の期間に実施され、日本を含む12ヵ国37施設で参加者の登録が行われた(Boehringer Ingelheimの助成を受けた)。

 対象は、年齢18~75歳、European Rare and Severe Psoriasis Expert Network基準によるGPP既往歴があり、中等度~重度のGPPフレアが認められる患者であった。

 被験者は、spesolimab(900mg、単回)群またはプラセボを静脈内投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。両群とも、1週後に症状が持続している患者は8日目にspesolimab(900mg、単回)の非盲検投与を、1週以降にフレアの再発がみられる患者はレスキュー治療としてspesolimab(900mg、単回)の非盲検投与を、あるいはこれら両方を受けることが可能とされた(プラセボからspesolimabへのクロスオーバーを許容)。追跡は12週目まで行われた。

 主要エンドポイントは、1週目の終了時点での「医師による膿疱性乾癬(汎発型)の全般的評価(GPPGA)」の膿疱サブスコア(0[肉眼的膿疱なし]~4[重度膿疱]点)が0点であることとされた。主な副次エンドポイントは、1週目終了時のGPPGAの総スコア(0~4点、点数が高いほど疾患の重症度が高い)が0または1点(皮膚症状が消失またはほぼ消失)であることだった。

GPPGA膿疱サブスコア0点:54% vs.6%

 53例が登録され、35例がspesolimab群、18例はプラセボ群に割り付けられた。ベースラインの平均年齢(±SD)はspesolimab群が43.2±12.1歳、プラセボ群は42.6±8.4歳であり、spesolimab群で女性(60% vs.83%)およびアジア系人種(46% vs.72%)が少なかった。

 ベースラインのGPPGA膿疱サブスコアが3点の患者は、spesolimab群が46%、プラセボ群は39%で、同4点はそれぞれ37%および33%であった。また、GPPの乾癬面積と重症度指標(GPPASI、0~72点、点数が高いほど重症度が高い)の総スコア中央値は27.4点(IQR:15.5~36.8)および20.9点(12.0~32.0)だった。

 1週目の終了時点で、GPPGA膿疱サブスコアが0点であった患者の割合は、spesolimab群が54%(19/35例)と、プラセボ群の6%(1/18例)に比べ有意に高かった(群間差:49ポイント、95%信頼区間[CI]:21~67、p<0.001)。

 また、1週目終了時のGPPGA総スコアが0または1点の患者の割合も、spesolimab群で有意に良好であった(43%[15/35例]vs.11%[2/18例]、群間差:32ポイント、95%CI:2~53、p=0.02)。

 ベースラインで観察された性別、人種、GPPASIスコアの両群間の不均衡を補正するために主要および主な副次エンドポイントの事後的な感度分析を行ったところ、主解析の結果と一致した。

 1週目に、spesolimab群の66%(23/35例)、プラセボ群の56%(10/18例)で有害事象が発現した。spesolimab群では、発熱が2例に認められた(プラセボ群は4例)。また、spesolimab群の2例で薬物反応が報告され、このうち1例は薬物性肝障害を併発していた。

 感染症は、1週目にspesolimab群の17%(6/35例)で発現し、12週目までにspesolimabの投与を受けたプラセボ群の患者を含む51例では24例(47%)に認められた。抗薬物抗体は、少なくとも1回のspesolimabの投与を受けた患者の46%(23/50例)で検出された。

 著者は、「膿疱性乾癬患者におけるspesolimabの効果とリスクを明らかにするには、より長期で大規模な試験を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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