乾癬患者、生物学的製剤の用量低減戦略vs.通常ケア

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/18

 

 「生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした」。では、次なる一手として、症状が安定した後の同製剤の用量低減戦略は、通常ケアに対して非劣性なのか。オランダ・ラドバウド大学医療センターのSelma Atalay氏らによる無作為化試験の結果、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアベースの評価では非劣性は示されなかったが、健康関連QOL(Dermatology Life Quality Index:DLQIなど)をベースとした評価では用量低減戦略の非劣性が示されたという。結果を踏まえて著者は、「リアルライフの設定で用量低減は可能だが、PASIとDLQIをモニタリングする厳格なスキームが不可欠である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年2月12日号掲載の報告。

 試験はオランダの6つの皮膚科部門で、2016年3月1日~2018年7月22日に行われた(実際的な非盲検前向き対照の非劣性無作為化臨床試験)。被験者は、慢性尋常性乾癬患者でアダリムマブ、エタネルセプト、ウステキヌマブによる治療を受け、疾患活動性が低く安定している120例。無作為に1対1の割合で用量低減群(60例)または通常ケア群(60例)に割り付けられ、用量低減群は皮下注投与の間隔を徐々に延長して、オリジナル投与量の67~50%となるまで用量が漸減された。

 主要アウトカムは、12ヵ月時点でベースラインと比べて修正された疾患活動性スコアの群間差であり、事前規定の非劣性マージンは0.5とした。副次アウトカムは、PASIスコア、健康関連QOL(DLQI、SF-36など)、短期および持続性の発赤(PASIおよび/またはDLQIスコアの5超が3ヵ月以上と定義)を呈した患者の割合、用量漸減に成功した患者の割合であった。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者120例(平均年齢54.0[SD 13.2]歳、男性82例[68%])のうち、追跡不能2例、プロトコール違反2例、プロトコール逸脱5例を除いた111例(用量低減群53例、通常ケア群58例)を対象にper-protocol解析が行われた。
・12ヵ月時点のPASIスコア中央値は、用量低減群3.4(四分位範囲[IQR]:2.2~4.5)、通常ケア群2.1(0.6~3.6)で、平均群間差は1.2(95%信頼区間[CI]:0.7~1.8)であり、用量低減の通常ケアに対する非劣性は示されなかった。
・12ヵ月時点のDLQIスコア中央値は、用量低減群1.0(IQR:0.0~2.0)、通常ケア群0.0(0.0~2.0)で、平均群間差は0.8(95%CI:0.3~1.3)であり、用量低減の通常ケアに対する非劣性が示された。
・持続性の発赤に関して両群間に有意差は認められなかった(両群とも発生は5例)。
・12ヵ月時点で用量漸減に成功していた用量低減群の被験者は28例(53%、95%CI:39~67)であった。
・介入に関連した重篤な有害事象の発生は報告されなかった。

(ケアネット)