学校のコロナ対策、毎日迅速抗原検査の効果は隔離と同等/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/30

 

 学校において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)接触者に対する毎日の迅速抗原検査は、自己隔離と比較してCOVID-19感染制御において非劣性であり、両アプローチによる生徒および学校職員の症候性SARS-CoV-2感染率は同程度であることが、英国・オックスフォード大学のBernadette C. Young氏らが実施した非盲検クラスター無作為化比較試験で示された。イングランドでは、学校でのCOVID-19接触者は自宅での自己隔離を求められ、重要な教育機会が失われている。そこで著者らは、接触者には毎日検査を実施することで学校への出席を可能にしつつ、自己隔離と同様の感染抑制効果が得られるかを検討した。著者は、「学校内の接触者の感染率は低く、学校での曝露後の自宅隔離に代わり、接触者の毎日の検査を検討すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年9月14日号掲載の報告。

学校単位で、接触者10日間自己隔離群vs.学校で毎日迅速抗原検査群を検討

 研究グループは、イングランドの中等学校(11~16歳)および継続教育カレッジ(16~18歳)を、学校単位で、COVID-19接触者を10日間自己隔離する群(対照群)と、SARS-CoV-2抗原迅速検査(Orient Gene製)で陰性の接触者は学校に留まり7日間毎日任意で同検査を行う群(介入群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、学校の種類と規模、第6学年(16~18歳)の有無、寮生の有無、無料の学校給食を受ける生徒の割合によって層別化された。

 主要評価項目は、生徒ならびに学校職員における、COVID-19に関連した学校欠席およびPCRで確認された症候性COVID-19である。準ポアソン回帰法を用いたintention-to-treat解析により、地域の感染率で調整した学校内感染を推定した(非劣性マージン<50%相対的増加)。また、順守者のみの平均因果効果(CACE)も推定した。

PCRで確認された症候性感染ならびにCOVID-19関連欠席の発生頻度に差はなし

 2021年3月18日~5月4日の間に、研究に同意し参加を決定した201校が無作為に割り付けられた(対照群99校、介入群102校)。試験期間は最長10週間で、2021年4月19日~5月10日に開始し、事前に指定された中止日(2021年6月27日)まで継続した。201校中、生徒および学校職員が参加したのは対照群76校、介入群86校であったが、参加を辞退した学校のほとんどは国のデータを追加することで主要評価項目の分析に含めることができた。介入群では、接触者5,763例中2,432例(42.4%)が毎日の検査に参加した。

 PCRで確認された症候性感染は、対照群では感染リスクのある778万2,537日(59.1/10万人/週)において657件、介入群では同837万9,749日(61.8/10万人/週)において740件であり、補正後発生率比(aIRR)はintention-to-treat解析で0.96(95%信頼区間[CI]:0.75~1.22、p=0.72)、CACE解析で0.86(95%CI:0.55~1.34)であった。

 生徒および学校職員のCOVID-19関連欠席発生頻度は、対照群では365万9,017人学校日当たり5万9,422人(1.62%)、介入群では384万5,208人学校日当たり5万1,541人(1.34%)であり、aIRRはintention-to-treat解析で0.80(95%CI:0.54~1.19、p=0.27)、CACE解析で0.61(95%CI:0.30~1.23)であった。

(ケアネット)