低GI/GL食が糖尿病患者のHbA1c低下をもたらす/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/18

 

 主に血糖降下薬やインスリン製剤で中等度にコントロールされている1型および2型糖尿病の成人患者において、低グリセミック指数(GI)/グリセミック負荷(GL)の食事パターンを導入すると、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値のほか空腹時血糖値や血中脂質、体重といった心臓代謝リスク因子に関して、小さいが意義のある改善がもたらされることが、カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年8月4日号で報告された。

低GI/GL食の無作為化対照比較試験のメタ解析

 研究グループは、欧州糖尿病学会(EASD)の食事療法に関する診療ガイドラインの改訂に資するデータを得る目的で、低GI/GL食の効果を検討した無作為化対照比較試験を対象に系統的レビューとメタ解析を行った(EASDなどの助成を受けた)。

 2021年5月13日の時点で、医学データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)に登録された文献を検索した。対象は、糖尿病における低GI/GL食の効果について検討した3週間以上の無作為化対照比較試験とされた。

 主要アウトカムはHbA1c値とされた。2人の研究者が個別にデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。データは、変量効果モデルによって統合された。また、GRADEを用いて、エビデンスの確実性の評価が行われた。

HbA1c値の低下はエビデンスの確実性も高い

 1型および2型糖尿病患者1,617例が参加した29の試験のデータを含む27の論文が解析に含まれた。参加者は、主に2型糖尿病(90%)の成人患者(93%)で、ほとんどが中高年(年齢中央値56歳、範囲:11~67歳)であり、過体重または肥満(BMI中央値31、範囲:19~36)がみられ、血糖降下薬(69%)やインスリン製剤(14%)、またはこれらの併用(7%)で中等度にコントロールされていた(ベースラインのHbA1c中央値7.7%、範囲:6.2~13.8%)。

 低GI/GLの食事パターンは高GI/GLの対照食に比べ、小さいが意義のあるHbA1c値の低下をもたらした(平均差:-0.31%、95%信頼区間[CI]:-0.42~-0.19、p<0.001、異質性のI2=75%、p<0.001)。

 また、低GI/GL食は、副次アウトカムのうち空腹時血糖値(p<0.001)、LDLコレステロール(p<0.001)、non-HDLコレステロール(p=0.002)、アポB(p=0.03)、トリグリセライド(p=0.04)、体重(p<0.001)、BMI(p=0.003)、C反応性蛋白(p=0.03)の低下をもたらしたが、血中インスリン、HDLコレステロール、ウエスト周囲長、血圧には有意な差はみられなかった。

 HbA1c値の低下に関してはエビデンスの確実性が高かったが、副次アウトカムの多くは確実性が中程度であった。

 著者は、「低GI/GLの食事パターンは、1型および2型糖尿病患者が血糖コントロールや心臓代謝リスク因子の目標値を達成するための付加的な治療法としてとくに有用と考えられる。これらの知見は、15年以上前に発行されたEASDの診療ガイドラインの改訂に資するものとなるだろう」としている。

(医学ライター 菅野 守)