禁煙治療、cytisineはバレニクリンに対して非劣性示せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/19

 

 禁煙を希望する毎日喫煙者の禁煙治療において、cytisineの25日間投与のバレニクリン84日間投与に対する非劣性は示されなかったとの試験結果が、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRyan J. Courtney氏らによって報告された。cytisineは、プラセボやニコチン代替療法よりも有効であることが示されているが、これまで禁煙治療で最も有効とされるバレニクリンとの比較検討は行われていなかった。JAMA誌2021年7月6日号掲載の報告。

オーストラリアの非盲検無作為化非劣性試験

 本研究は、禁煙治療におけるcytisineのバレニクリンに対する非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化臨床試験であり、2017年11月~2019年5月の期間にオーストラリアの2つの州(ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州)で参加者の募集が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]などの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上で、禁煙を試みる意思のある毎日喫煙者であった。妊婦や授乳中の女性、7ヵ月以内に妊娠の予定のある女性は除外された。参加者は、cytisineまたはバレニクリンの投与を受ける群に、無作為に割り付けられた。試験薬は参加者に郵送され、データの収集は主にコンピュータ支援の電話インタビューで行われたが、主要アウトカムの評価は対面診療で実施された。

 薬剤の投与は製薬企業が推奨する用量に準拠した。cytisine群は、1~3日目に1.5mgのカプセルを2時間ごとに最大1日6回服用し、25日間で1日1~2カプセルまで徐々に減量した。禁煙は5日目に開始した。バレニクリン群は、1~3日目に0.5mgの錠剤を1錠服用し、4~7日目は2錠服用、8日目に禁煙を開始して1mg錠の1日2回服用を84日目(12週)まで継続した。全参加者に、標準的な電話による行動支援を受ける方法が紹介された。

 主要アウトカムは6ヵ月間の継続的な禁煙とし、追跡期間7ヵ月の時点で6ヵ月間の継続的禁煙(6ヵ月間の喫煙タバコ本数が5本を超えない)を自己申告した参加者に対し、呼気一酸化炭素濃度測定検査(≦9ppmで禁煙と判定)を行った。非劣性マージンは5%とし、片側検定の有意水準の閾値は0.025とした。

6ヵ月禁煙率:11.7% vs.13.3%

 1,452例の参加者が登録され、cytisine群に725例、バレニクリン群に727例が割り付けられた。全体の平均年齢(SD)は42.9(12.7)歳で、女性が742例(51.1%)であった。このうち試験を完了したのは1,108例(76.3%)だった。

 呼気一酸化炭素濃度測定検査で、6ヵ月間の継続的な禁煙が実証された参加者の割合は、cytisine群が11.7%(85/725例)、バレニクリン群は13.3%(97/727例)であり、cytisine群のバレニクリン群に対する非劣性は確証されなかった(リスク差:-1.62%、片側97.5%信頼区間[CI]:-5.02~∞、非劣性のp=0.03)。

 自己申告による6ヵ月間および3ヵ月間の継続的な禁煙の達成について優越性の評価を行ったが、いずれも有意な差はみられなかった。

 少なくとも1回の服薬を行った参加者(cytisine群675例、バレニクリン群663例)における自己申告による有害事象は、cytisine群が482例で997件と、バレニクリン群の510例で1,206件と比較して頻度が低かった(発生率比[IRR]:0.88、95%CI:0.81~0.95、p=0.002)。重篤な有害事象は、cytisine群が17例(2.5%)、バレニクリン群は32例(5.0%)で認められた(IRR:0.97、95%CI:0.55~1.73、p=0.92)。

 著者は、「非劣性が達成されなかった理由として、cytisineの標準的な用量と投与期間が至適ではない可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)