pirtobrutinib、既治療のB細胞性悪性腫瘍に有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/25

 

 共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬などによる前治療歴のあるB細胞性悪性腫瘍(慢性リンパ性白血病[CLL]/小リンパ球性リンパ腫[SLL]など)の治療において、非共有結合型BTK阻害薬pirtobrutinib(LOXO-305)は、良好な安全性と耐用性を示し、全奏効率も優れることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAnthony R. Mato氏らが実施した「BRUIN試験」で確認された。研究の成果は、Lancet誌2021年3月6日号で報告された。共有結合型BTK阻害薬は、B細胞性悪性腫瘍に有効だが、抵抗性や不耐性のため患者は治療を継続できない。pirtobrutinibは、この問題の解決を目標に開発が進められており、経口投与が可能で、高選択性の可逆的BTK阻害薬である。

6ヵ国27施設の非盲検第I/II相試験

 本研究は、6ヵ国(オーストラリア、フランス、イタリア、ポーランド、英国、米国)の27施設が参加したヒトで最初の(first-in-human)非盲検第I/II相試験であり、2019年3月~2020年9月の期間に患者登録が行われた(Loxo Oncologyの助成による)。

 対象は既治療のB細胞性悪性腫瘍の患者であった。第I相試験では、pirtobrutinibの7段階(25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg)の用量が、28日を1サイクルとして1日1回経口投与された。投与は、病勢進行、許容できない毒性、患者の希望で中止となるまで継続された。引き続き、第I相試験の推奨用量を用いて第II相試験が実施された。

 主要評価項目は、第I相試験が最大耐用量、第II相試験は全奏効割合(ORR)とした。

最大耐用量には到達せず、CLL/SLL患者のORRは63%

 第I相試験203例、第II相試験120例の合計323例(年齢中央値68歳[IQR:62~74])が登録された。CLL/SLLが170例、マントル細胞リンパ腫(MCL)が61例、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)が26例、その他のB細胞性リンパ腫が66例であった。

 第I相試験では、25~300mgの全用量範囲を通じて線形の用量比例性(最大血漿中濃度、曲線下面積)が認められ、個体間変動は小さかった。用量制限毒性はみられず、最大耐用量には到達しなかった。第II相試験の推奨用量は200mg/日に設定された。

 323例の10%以上で発現した有害事象は、疲労(65例[20%])、下痢(55例[17%])、挫傷(42例[13%])であった。最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球減少(32例[10%])だった。pirtobrutinibの曝露量とGrade3以上の治療関連有害事象には関連がなかった。

 Grade3の心房細動および粗動は観察されず、Grade3の出血が1例(自転車事故時のくも膜下出血、pirtobrutinibとの関連はないと判定)で認められた。5例(1%)が、治療関連有害事象のため治療を中止した。

 CLL/SLL患者(前治療ライン数中央値:3)におけるpirtobrutinibのORRは63%(88/139例)(95%信頼区間[CI]:55~71)であった。また、共有結合型BTK阻害薬による前治療歴のあるCLL/SLL患者(前治療ライン数中央値:4)のORRは62%(75/121例)(95%CI:53~71)だった。

 CLL/SLL患者のORRは、共有結合型BTK阻害薬抵抗性(67%[53/79例])、同不耐性(52%[22/42例])、BTK C481変異陽性(71%[17/24例])、BTK野生型(66%[43/65例])でほぼ同様であった。また、共有結合型BTK阻害薬による前治療歴のあるMCL患者のORRは52%(27/52例)(95%CI:38~66)だった。

 解析の時点で、奏効が得られたCLL、SLL、MCL患者117例のうち8例を除くすべてが、無増悪生存を維持していた。

 著者は、「pirtobrutinibに固有の特性によるBTK阻害効果は、共有結合型と非共有結合型のBTK阻害薬を逐次的に使用することで、B細胞性悪性腫瘍患者における臨床的有益性をさらに高める可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)