カボザンチニブ、転移乳頭状腎がんでPFS延長(SWOG1500)/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/02/26

 

 転移のある乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者において、カボザンチニブはスニチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らが、米国およびカナダの65施設で実施した、METキナーゼ阻害薬カボザンチニブ、クリゾチニブおよびsavolitinibとスニチニブを比較する無作為化非盲検第II相試験「SWOG 1500試験」の結果を報告した。METシグナル伝達経路はPRCCの重要なドライバーであるが、転移のあるPRCCに対する最適な治療は存在していなかった。Lancet誌2021年2月20日号掲載の報告。

カボザンチニブ、クリゾチニブ、savolitinibの有効性をスニチニブと比較

 研究グループは、1レジメンまでの治療歴(VEGFおよびMETを標的とする薬剤を除く)を有する18歳以上の転移のあるPRCC患者を、スニチニブ群、カボザンチニブ群、クリゾチニブ群またはsavolitinib群に1対1対1対1の割合で、治療歴およびPRCCサブタイプで層別化し無作為に割り付けた。

 スニチニブは4週投与2週休薬で50mgを1日1回経口投与(37.5mgおよび25mgに減量可)、カボザンチニブは60mgを1日1回経口投与(40mgおよび20mgに減量可)、クリゾチニブは250mgを1日2回経口投与(200mgを2回/日および250mgを1回/日に減量可)、savolitinibは600mgを1日1回経口投与(400mgおよび200mに減量可)とした。

 主要評価項目はPFSで、intention-to-treat解析を行った。プロトコールの治療を受けなかった患者は安全性解析対象集団から除外された。

カボザンチニブはスニチニブと比較してPFSを有意に延長

 2016年4月5日~2019年12月15日の期間に152例が登録され、4つの治療群に無作為化された。無作為化後に5例の不適格を確認し本解析から除外したため、解析対象集団は147例であった。

 savolitinib群(29例)およびクリゾチニブ群(28例)への割り付けは、事前に設定された無益性解析後に中止された。スニチニブ群(46例)およびカボザンチニブ群(44例)では予定症例数が達成された。

 PFS中央値は、カボザンチニブ群が9.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:6~12)、スニチニブ群が5.6ヵ月(95%CI:3~7)であり、カボザンチニブ群で有意に延長した(進行または死亡のハザード比:0.60、95%CI:0.37~0.97、片側p=0.019)。また、奏効率は、カボザンチニブ群23%、スニチニブ群4%であった(両側p=0.010)。

 savolitinib群とクリゾチニブ群は、スニチニブ群と比較してPFSを延長しなかった。

 Grade3/4の有害事象は、スニチニブ群69%(31/45例)、カボザンチニブ群74%(32/43例)、クリゾチニブ群37%(10/27例)、savolitinib群39%(11/28例)に発生した。Grade5の血栓塞栓症が、カボザンチニブ群で1例確認された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)