虫垂炎の抗菌薬治療における長期の有用性をみるために、スウェーデン・ヨーテボリ大学のK. Lundholm氏らは、急性虫垂炎疑い患者に対する抗菌薬単独治療後の長期再発率を調べた。その結果、抗菌薬での初回治療から8年後の再発リスクは約15%であり、著者らは「成人急性虫垂炎の1次治療として抗菌薬治療は安全かつ有効である」としている。World journal of surgery誌オンライン版2017年3月24日号に掲載。
本研究では、無作為化試験(RCT、97例)、住民ベースの研究(PBT、342例)、非無作為化試験(Non-R、271例)において、抗菌薬に良好な反応を示した710例について再発(虫垂切除術を要する)の長期リスクを評価した。
主な結果は以下のとおり。
・無作為化された患者とされていない患者の臨床的特性は同様で、抗菌薬治療開始時の腹部症状と全身的な炎症(CRP、白血球数)の程度による統計学的な差はなかった。
・男女で同様の結果を示した。
・追跡期間の中央値は2,162日(5.92年)、範囲は2~3,497日で、サブグループ(RCT、PBT、Non-R)間で有意差は認められなかった。
・虫垂炎切除術を要する累積再発率は、1年、2年、3年、5年追跡時でそれぞれ9%、12%、12%、13%であり、8年後の虫垂切除術の未実施率は86±1.3%であった。
(ケアネット 金沢 浩子)