ダパグリフロジン、CKDの転帰を改善/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/10/12

 

 慢性腎臓病(CKD)患者では、糖尿病の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンはプラセボと比較して、推算糸球体濾過量(GFR)の持続的な50%以上の低下や末期腎不全、腎臓または心血管系の原因による死亡の複合の発生リスクを有意に低下させることが、オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J L Heerspink氏らが行った「DAPA-CKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月24日号に掲載された。CKD患者は、腎臓や心血管系の有害な転帰のリスクが高いとされる。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の大規模臨床試験において、糖化ヘモグロビンを低下させるとともに、腎臓や心血管系の転帰に良好な効果をもたらすと報告されている。一方、CKD患者における糖尿病の有無別のダパグリフロジンの有効性は知られていないという。

21ヵ国386施設が参加したプラセボ対照無作為化臨床試験

 研究グループは、CKD患者における2型糖尿病の有無別のダパグリフロジンの有効性と安全性を評価する目的で、二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験を実施した(AstraZenecaの助成による)。21ヵ国386施設が参加し、2017年2月~2018年10月の期間(中国の一部の参加者は2020年3月まで)に無作為割り付けが行われた。

 対象は、推算GFRが25~75mL/分/1.73m2体表面積で、尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンはミリグラム[mg]、クレアチニンはグラム[g]で測定)が200~5,000の患者であった。被験者は、ダパグリフロジン(10mg、1日1回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、推算GFRの持続的な50%以上の低下、末期腎不全、腎臓または心血管系の原因による死亡の複合とした。

 本試験は、2020年4月3日、独立データ監視委員会の提言に基づき、有効中止となった。

心血管死/心不全による入院や全死因死亡率も良好

 4,304例が登録され、両群に2,152例ずつが割り付けられた。全体の平均年齢(±SD)は61.8±12.1歳、1,425例(33.1%)が女性であった。ベースラインの平均推算GFRは43.1±12.4mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比中央値は949であり、2,906例(67.5%)が2型糖尿病の診断を受けていた。

 フォローアップ期間中央値2.4年(IQR:2.0~2.7)の時点で、主要評価項目のイベントは、ダパグリフロジン群が2,152例中197例(9.2%)で、プラセボ群は2,152例中312例(14.5%)で発生した(ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.51~0.72、p<0.001、主要評価項目の1件のイベントの予防に要する治療数:19件、95%CI:15~27)。また、主要評価項目の個々の構成要素はいずれも、ダパグリフロジン群で良好だった。

 副次評価項目である推算GFRの持続的な50%以上の低下、末期腎不全、腎臓が原因の死亡の複合のHRは0.56(95%CI:0.45~0.68、p<0.001)、心血管系の原因による死亡または心不全による入院のHRは0.71(0.55~0.92、p=0.009)であった。また、ダパグリフロジン群で101例(4.7%)、プラセボ群で146例(6.8%)が死亡した(HR:0.69、95%CI:0.53~0.88、p=0.004)。

 ダパグリフロジン群では、主要評価項目のイベント発現のHRは、2型糖尿病患者が0.64(95%CI:0.52~0.79)、非2型糖尿病患者は0.50(0.35~0.72)であり、いずれもプラセボ群と比較して良好で、2型糖尿病の有無で効果に差はなかった。

 有害事象および重篤な有害事象の発生率は、全般に両群でほぼ同等であった。糖尿病性ケトアシドーシスは、ダパグリフロジン群では報告がなく、プラセボ群は2例に認められた。2型糖尿病のない患者では、糖尿病性ケトアシドーシスや重度低血糖はみられなかった。

 著者は、「SGLT2阻害薬の腎保護作用は、2型糖尿病を伴わないCKD(ACE阻害薬が、腎不全の予防効果が示されている唯一の薬物療法である患者)という幅広い患者集団にまで拡大されることが確認され、ダパグリフロジンの有益な安全性プロファイルが確かめられた」としている。

(医学ライター 菅野 守)

参考文献・参考サイトはこちら