ペースメーカー・ICDの再利用、感染・死亡リスクは高くない/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2020/05/20

 

 ペースメーカーや除細動器の入手は、医療資源が限られている地域では大きな問題となる。カナダ・モントリオール心臓研究所のThomas F. Khairy氏らは、医療サービスが十分でない国で、再滅菌したペースメーカーや除細動器を再使用した患者と、新しいデバイスを使用したカナダの対照群の患者の比較を行い、2年後の感染症やデバイス関連死の発生に有意な差はなかったと報告した。研究の成果は、NEJM誌2020年5月7日号に掲載された。富裕国の患者から死後に摘出した植込み型心臓デバイスを再滅菌して再使用する試みが進められているが、感染リスクが不確実であることが懸念されている。

マッチさせた新デバイス植込み群と比較

 1983年、モントリオール心臓研究所では、再生されたペースメーカーと植込み型除細動器(ICD)を再滅菌し、医療サービスが十分でない国で再使用するために送り届けるプログラムが策定された。その後、市全体の取り組みとして発展しており、2003年には、アウトカムを追跡する前向き登録システム(Heart to Heart registry)が創設された。

 このプログラムで再利用デバイスの植込み術を受けた医療サービスが十分でない国の患者を、カナダで新しいデバイスの植込み術を受けた対照患者と1対3の割合でマッチさせた。

 主要アウトカムは感染またはデバイス関連死とした。他の原因による死亡を、競合リスクとしてモデルに加えた。

感染症発生率:2.0% vs.1.2%、デバイス関連死は認めず

 再利用デバイス群は1,051例(平均年齢63.2±18.5歳、女性43.6%)であった。国別の割合は、メキシコが36.0%、ドミニカ共和国が28.1%、グアテマラが26.6%、ホンジュラスが9.3%であった。モントリオールで新たなデバイスを植え込まれた対照群は3,153例(64.4±17.4歳、43.6%)だった。

 全体で、85%がペースメーカーを、15%がICDを植え込まれ、リードは1本が55.5%、2本が38.8%、3本は5.7%であった。

 再利用デバイス群におけるデバイス植込みの適応症は、房室ブロックが687例(65.4%)、洞結節機能不全が134例(12.7%)、駆出率低下を伴う心不全が98例(9.3%)などであった。

 フォローアップ期間2年の時点で、感染は再利用デバイス群が21例(2.0%)、対照群は38例(1.2%)で発生した(ハザード比[HR]:1.66、95%信頼区間[CI]:0.97~2.83、p=0.06)。デバイス関連死は認められなかった。

 デバイス植込みから感染の発生までの期間中央値は、再利用デバイス群が66日(IQR:42~239)、対照群は61日(24~200)であった。

 最も頻度の高かった病原体は、黄色ブドウ球菌(再利用デバイス群13/21例[61.9%]、対照群23/38例[60.5%])で、次いで表皮ブドウ球菌(3/21例[14.3%]、9/38例[23.7%])が多かった。

 著者は、「倫理的な障壁があるため、高所得国ではデバイス再利用の無作為化試験の実施は難しい。医療サービスが十分でない国では、無作為化試験を行う努力が続いているが、十分な資金の確保、試験参加とフォローアップに必要な基幹設備の提供、心臓植込み型電子デバイスやリードの提供の確保など、いくつかの課題が残されている」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)