パウダーの会陰部使用は卵巣がんと関連?/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/01/21

 

 米国で行われた4つの前向きコホート研究の女性被験者のデータをプール解析した結果、会陰部でのパウダー使用と卵巣がん発生に、統計的に有意な関連はなかったことを、米国・国立環境衛生科学研究所のKatie M. O’Brien氏らが報告した。ただし今回の検討では、リスクのわずかな増大を同定する検出力は不足していた可能性があるとしている。これまで会陰部でのパウダー使用と卵巣がんの関連性について、ケースコントロール試験で関連ありとの報告がなされていたが、コホート試験による検証はされていなかった。米国では最近、パウダーに含まれる鉱物のタルクに関連した訴訟およびメディア報道が高まっており、研究グループは今回の検証を行ったという。JAMA誌2020年1月7日号掲載の報告。

米国4コホート女性参加者のデータをプール解析
 一部の女性は会陰部にパウダーを、直接あるいは下着や生理用ナプキン、タンポンなどを介して塗布している。大半のパウダー製品にはタルクが含まれており、発がん作用のあるアスベストを含む発がん物質として最初に調査された。1976年に米国拠点の全化粧品製造会社がアスベストの使用禁止に同意をしたが、その後、国際がん研究機関(IARC)が、あくまで“可能性”だが、タルクが主成分のボディパウダー使用は、がんを発症させるエビデンスがあるとの結論を下した。

 今回研究グループは、Nurses' Health Study(試験登録1976年、フォローアップ1982~2016年、8万1,869例)、Nurses' Health Study II(1989年、2013~17年、6万1,261例)、Sister Study(2003~09年、2003~17年、4万647例)、Women's Health Initiative Observational Study(1993~98年、1993~2017年、7万3,267例)に参加した女性被験者の前向き観察データをプール解析し、会陰部でのパウダー使用と卵巣がんの関連を推定した。

 会陰部でのパウダー使用について、「使用あり(ever use)」「長期間使用(20年以上)」「頻繁に使用(週1回以上)」の状況を調べ、自己申告の卵巣がん発症との関連を調べた(主要解析)。Cox比例ハザードモデルを用いて、共変量補正後ハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに算出し評価した。

パウダー使用と卵巣がん発症との関連HRは1.08
 プール解析に包含された女性25万2,745例(ベースラインの年齢中央値57歳)のうち、38%が会陰部でのパウダー使用について自己申告していた。そのうち長期間使用は10%、頻繁に使用は22%であった。使用ありは39%。

 フォローアップ中央値11.2年(リスク集団380万人年)において、卵巣がんを発症したのは2,168例であった(10万人年当たり58例)。

 卵巣がん罹患率は、10万人年当たり使用あり群61例、使用なし群55例であった(70歳時点の推定リスク差:0.09%[95%信頼区間[CI]:-0.02~0.19]、推定HR:1.08[95%CI:0.99~1.17])。頻繁に使用vs.使用なしの推定HRは1.09(95%CI:0.97~1.23)、長期間使用vs.使用なしの推定HRは1.01(0.82~1.25)であった。

 10の変数について行ったサブグループ解析では、いずれの比較検証においても不均一性について統計的な有意差はなかった。ただし、生殖器の開存性有無(子宮摘出や卵管結紮の既往有無)で検証したサブグループ解析では、会陰部でのパウダー使用と卵巣がんリスクに関するHRは、開存性あり群1.13(95%CI:1.01~1.26)、なし群0.99(0.86~1.15)で、両者間の不均一性に関するp値は0.15であった。

(ケアネット)