高リスク大動脈弁狭窄症、自己拡張型TAVR vs.バルーン拡張型/Lancet

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ケアネット

高リスク大動脈弁狭窄症、自己拡張型TAVR vs.バルーン拡張型/Lancetのイメージ

 高齢の症候性重症大動脈弁狭窄症患者への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)では、早期の安全性および有効性に関して、自己拡張型TAVR(ACURATE neo)はバルーン拡張型TAVR(SAPIEN 3)に対する非劣性基準を満たさないことが、スイス・ベルン大学病院のJonas Lanz氏らが行ったSCOPE I試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月27日号に掲載された。症候性重症大動脈弁狭窄症の高齢患者にはTAVRが推奨されており、TAVRの特性の違いは臨床転帰に影響を及ぼすが、自己拡張型とバルーン拡張型のTAVRの比較はこれまで行われていなかったという。

高齢患者で早期の複合エンドポイントを比較する非劣性試験
 本研究は、ドイツ、オランダ、スイス、英国の20の心臓弁3次医療センターが参加した無作為化非劣性試験であり、2017年2月~2019年2月の期間に患者登録が行われた(Boston Scientific[米国]の助成による)。

 対象は、年齢75歳以上の症候性重症大動脈弁狭窄症で、手術リスクが高いと考えられ、経大腿動脈TAVRの適応とされた患者であった。被験者は、自己拡張型TAVR(ACURATE neo)またはバルーン拡張型TAVR(SAPIEN 3)による治療を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 安全性と有効性の複合主要エンドポイントは、施術後30日以内の全死因死亡、脳卒中、出血(life-threatening/disabling)、主要血管合併症、介入を要する冠動脈閉塞、急性腎障害(ステージ2/3)、弁関連症状またはうっ血性心不全による再入院、再施術を要する弁関連機能障害、中等度~重度の人工弁逆流、人工弁狭窄とした。

 エンドポイントの評価者には治療割り付け情報がマスクされた。有意水準5%の片側検定で、主要複合エンドポイントのリスク差のマージンを7.7%とし、intention-to-treat集団におけるACURATE neoのSAPIEN 3に対する非劣性の評価が行われた。

早期複合エンドポイントはTAVRの評価に有用となる可能性
 739例(平均年齢82.8[SD 4.1]歳、女性420例[57%]、STS-PROMスコア中央値3.5%[IQR:2.6~5.0])が登録され、ACURATE neo群に372例、SAPIEN 3群には367例が割り付けられた。30日間のフォローアップは、ACURATE neo群が367例(99%)、SAPIEN 3群は364例(99%)で可能であった。

 30日以内の主要エンドポイントの発生は、ACURATE neo群が87例(24%)、SAPIEN 3群は60例(16%)であり、ACURATE neo群の非劣性基準は満たされなかった(絶対リスク差:7.1%、片側95%信頼区間[CI]上限値:12.0%、p=0.42)。

 一方、主要エンドポイントの2次解析(優越性解析)では、ACURATE neo群に対するSAPIEN 3群の優越性が示された(リスク差の95%CI:-1.3~-12.9、p=0.0156)。

 主要エンドポイントの構成要素のうち、全死因死亡(9例[2%]vs.3例[1%])および脳卒中(7例[2%]vs.11例[3%])は両群間に差がなかったのに対し、ステージ2/3の急性腎障害(11例[3%]vs.3例[1%]、p=0.0340)および中等度~重度の人工弁逆流(34例[9%]vs.10例[3%]、p<0.0001)はACURATE neo群で頻度が高かった。

 著者は、「安全性と有効性に関する早期の複合エンドポイントは、個々のTAVRシステムの能力の識別に有用となる可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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