アカラシアの1次治療、経口内視鏡的筋層切開術が有効/JAMA

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アカラシアの1次治療、経口内視鏡的筋層切開術が有効/JAMAのイメージ

 未治療の食道アカラシアの治療において、経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)は、内視鏡的バルーン拡張術(pneumatic dilation)に比べ、2年後の治療成功率が有意に高いことが、オランダ・アムステルダム大学のFraukje A. Ponds氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年7月9日号に掲載された。症例集積研究により、アカラシアの治療におけるPOEMの良好な結果が報告されている。アカラシアの現在の標準的な1次治療はバルーン拡張術とされ、より侵襲性の高いPOEMや腹腔鏡下 Heller 筋層切開術を1次治療とすることには疑問を呈する意見があり、これらの直接比較には意義があるという。

5ヵ国6施設が参加した無作為化試験
 本研究は、オランダ、ドイツ、イタリア、香港、米国の6施設が参加した多施設共同無作為化試験であり、2012年9月~2015年7月の期間に患者登録が行われた(Fonds NutsOhraなどの助成による)。

 対象は、18~80歳、新規に症候性アカラシアと診断され、治療を受けておらず、重症度の指標であるEckardtスコア>3点の患者であった。Eckardtスコアは、嚥下障害、逆流、胸痛の頻度と、体重減少の程度により、0~12点で評価した(点数が高いほど重症度が高い)。

 被験者は、POEMまたはバルーン拡張術を受ける群に無作為に割り付けられた。初回のバルーン拡張術には30mmバルーンを用い、3週間後もEckardtスコア>3点の場合には、35mmバルーンによる拡張術を行った。

 主要アウトカムは、2年時の治療成功(Eckardtスコア≦3点、かつ重度の治療関連合併症がない、または内視鏡的/外科的再治療が行われていない)とした。治療成功例において、14項目の副次エンドポイントの評価を行った。

2年時治療成功率:92% vs.54%、3ヵ月と1年時も有意に良好
 130例(平均年齢48.6歳、73例[56%]が男性)が治療を受け、126例(95%、POEM群63例、バルーン拡張術群63例)が試験を完遂した。

 主要アウトカムである2年時の治療成功率は、POEM群が92%(58/63例)と、バルーン拡張術群の54%(34/63例)に比べ有意に優れた(絶対差:38%、95%信頼区間[CI]:22~52、p<0.001)。

 副次エンドポイントである3ヵ月時(POEM群98% vs.バルーン拡張術群80%、絶対差:18%、95%CI:7~30、p=0.001)および1年時(95% vs.66%、31%、17~45、p<0.001)の治療成功率も、POEM群が有意に良好であった。

 積算弛緩圧中央値(POEM群9.9mmHg vs.バルーン拡張術群12.6mmHg、絶対差:2.7mmHg、95%CI:-2.1~7.5、p=0.07)および食道排泄能の指標である一定間隔を空けた食道造影検査におけるバリウム柱の高さ(2.3cm vs.0cm、2.3cm、1.0~3.6、p=0.05)には、両群間に有意な差はみられなかった。

 逆流性食道炎(41% vs.7%、絶対差:34%、95%CI:12~49%、p=0.002)およびプロトンポンプ阻害薬の使用(41% vs.21%、20%、1~38、p=0.004)は、いずれもPOEM群で頻度が高かった。

 重篤な有害事象は、POEM群では認めず、バルーン拡張術群では2例(30mmバルーンを用いた拡張術後の穿孔による13日の入院、穿孔の徴候のない胸痛による1日の入院)にみられた。POEM群のほうが有害事象の頻度が高く(67% vs.22%)、逆流性食道炎(29例)と逆流症状(8例)が多かった。

 著者は、「これらの知見は、アカラシア患者の初回治療選択肢としてのPOEMの考慮を支持する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員

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