血流感染、ピペラシリン・タゾバクタムvs.メロペネム/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/27

 

 大腸菌(E.coli)または肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)に感染し、抗菌薬セフトリアキソンが無効な患者において、definitive治療としてのピペラシリン・タゾバクタムはメロペネムと比較して、30日死亡率に関する非劣性を示さなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のPatrick N. A. Harris氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年9月11日号で発表された。大腸菌や肺炎桿菌では拡張型β-ラクタマーゼが、第3世代のセファロスポリン系薬(セフトリアキソンなど)に対する耐性を媒介する。これらの菌株に起因する重大な感染症では、通常、カルバペネムによる治療が行われるが、カルバペネム耐性を選択する可能性があることから、研究グループは、ピペラシリン・タゾバクタムが、拡張型β-ラクタマーゼの産生を抑制する、有効な“カルバペネム温存”オプションとなりうる可能性があるとして検討を行った。

ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性を無作為化後30日時点の全死因死亡で評価
 セフトリアキソン非感受性で大腸菌または肺炎桿菌に起因する血流感染症の患者において、definitive治療としてピペラシリン・タゾバクタムのメロペネム(カルバペネム)に対する非劣性を調べる検討は、2014年2月~2017年7月に、9ヵ国26施設で入院患者を登録して行われた(非劣性並行群間比較無作為化試験)。

 被験者は、大腸菌または肺炎桿菌の血液培養検査で最低限いずれかの陽性が認められ、セフトリアキソンに非感受性だが、ピペラシリン・タゾバクタムに感受性が認められる成人患者を適格とした。

 スクリーニングを受けたのは1,646例。試験には391例が包含され、1対1の割合で2群に無作為化された。1群(188例)はピペラシリン・タゾバクタム4.5gを6時間ごとに、もう1群(191例)はメロペネム1gを8時間ごとに投与された。治療期間は最短4日間、最長14日間として、治療担当医が総治療期間を決定した。

 主要評価項目は、無作為化後30日時点の全死因死亡であった。非劣性マージンは5%とした。

ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されず
 主要解析集団には、無作為化が適切で、試験薬を少なくとも1回投与された被験者379例(平均年齢66.5歳、女性47.8%)が包含された。このうち378例(99.7%)が試験を完了し、主要評価項目について評価を受けた。

 30日時点の全死因死亡率は、ピペラシリン・タゾバクタム群12.3%(23/187例)であったのに対し、メロペネム群3.7%(7/191例)であった。両群間のリスク差は8.6%(片側97.5%信頼区間[CI]:-∞~14.5)で、ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されなかった(p=0.90)。有効性は、per-protocol集団で一貫して認められた。

 非致死的な重大有害事象の発生の報告は、ピペラシリン・タゾバクタム群2.7%(5/188例)、メロペネム群1.6%(3/191例)であった。

 結果を踏まえて著者は「所見は、今回の設定集団においてはピペラシリン・タゾバクタムの使用を支持しないものであった」とまとめている。

(ケアネット)