バレット食道に高用量PPI+アスピリンが有効/Lancet

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バレット食道に高用量PPI+アスピリンが有効/Lancetのイメージ

 バレット食道の治療では、高用量プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびアスピリンが有効であり、これらを併用すると、より高い効果が得られることが、英国・Morecambe Bay University Hospitals NHS TrustのJanusz A. Z. Jankowski氏らが行った「AspECT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月26日号に掲載された。食道腺がんは世界で6番目に多いがん死の原因であり、バレット食道はその最も重要なリスク因子である。PPIは、バレット食道の主要な促進因子の1つと考えられる胃酸の逆流の抑制に有効とされる。

エソメプラゾール、アスピリンによる化学予防の効果を検討
 本研究は、バレット食道患者におけるエソメプラゾールおよびアスピリンによる化学予防の有効性と安全性を評価する2×2ファクトリアルデザインの無作為化第III相試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、国際的に確立された適格基準を満たし、組織学的に証明された1cm以上の円柱上皮化生を認めるバレット食道の患者であった。

 被験者は、高用量PPI(40mg、1日2回)、低用量PPI(20mg、1日1回)、高用量PPI+アスピリン(英国では300mg/日、カナダでは325mg/日)、低用量PPI+アスピリンを投与する群に無作為に割り付けられ、8年以上の治療が行われた。

 主要複合エンドポイントは、全死因死亡、食道腺がん、高度異形成が発生するまでの期間とした。intention-to-treat集団において、最小限の因子(年齢、バレット食道の長さ、腸上皮化生)で補正したAFT(accelerated failure time)モデルを用いて解析を行った。複合エンドポイントの時間比(TR)が>1の場合に、治療によってイベント発生までの期間が延長したとみなされた。

 2005年3月10日~2009年3月1日の期間に、英国の84施設とカナダの1施設に2,557例が登録され、高用量PPI群に704例、低用量PPI群に705例、高用量PPI+アスピリン群に577例、低用量PPI+アスピリン群には571例が割り付けられた。フォローアップと治療期間の中央値は8.9年(IQR:8.2~9.8)だった。

NSAID併用例を除外するとアスピリンにも有意差
 PPI(高用量[1,270例]vs.低用量[1,265例])およびアスピリン(投与[1,138例]vs.非投与[1,142例])の比較をそれぞれ行った。

 主要複合エンドポイントの発生は、高用量PPI群が低用量PPI群に比べ有意に優れた(139件/1,270例vs.174件/1,265例、TR:1.27、95%信頼区間[CI]:1.01~1.58、p=0.038)。アスピリン投与の有無では有意な差を認めなかった(127件/1,138例vs154件/1,142例、1.24、0.98~1.57、p=0.068)が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)併用例を除外すると、アスピリン投与群が非投与群に比し有意に優れた(125件/1,116例vs.150件/1,120例、1.29、1.01~1.66、p=0.043)。

 一方、PPIとアスピリンには相加的な効果がみられ、高用量PPI+アスピリン群は低用量PPI群に比べ主要複合エンドポイントの発生が有意に良好であった(52件/572例vs.99件/699例、TR:1.59、95%CI:1.14~2.23、p=0.0068)ものの、高用量PPI+アスピリン群と高用量PPI群には有意な差を認めなかった(52件/572例vs.87件/698例、1.38、0.98~1.94、p=0.0680)。

 また、高用量PPI群は低用量PPI群に比べ、全死因死亡の割合が有意に低かった(TR:1.36、95%CI:1.01~1.82、p=0.039)。さらに、アスピリン投与群は非投与群に比し、食道腺がんの前駆病変とされる高度異形成が少ない傾向がみられた(1.51、1.00~2.29、p=0.053)。

 1件のイベント(高度異形成、腺がん、死亡)予防に必要なバレット食道の治療数(NNT)は、高用量PPI(vs.低用量PPI)が34(95%CI:18~333)、アスピリン投与(vs.非投与)は43(20~250)であった。試験薬関連の重篤な有害事象が発現したのは28例(1%)のみだった。

 著者は、「これらの結果により、高用量PPIの効果が最も大きく、アスピリンを併用することで、さらに効果が付加されると考えられ、9年以上の投与でバレット食道の生存期間を改善する可能性が示唆される」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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