下肢静脈瘤で深部静脈血栓症のリスク約5倍/JAMA

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 下肢静脈瘤と診断された成人患者では、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが有意に高いことが明らかにされた。肺塞栓症(PE)と末梢動脈疾患(PAD)については、潜在的交絡因子のためはっきりしなかったという。台湾・桃園長庚紀念医院のShyue-Luen Chang氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。下肢静脈瘤は一般的にみられるが、重大な健康リスクと関連することはまれである。一方、DVT、PE、PADも血管疾患であるが、全身に重大な影響を及ぼす。これまで下肢静脈瘤とDVT、PE、PADとの関連性はほとんど知られていなかった。著者は、「下肢静脈瘤とDVTとの関連が、因果関係によるのか、あるいは共通のリスク因子があるのかについて、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年2月27日号掲載の報告。

下肢静脈瘤患者約21万人について下肢静脈瘤群などの発症を比較
 研究グループは、台湾の国民健康保険プログラムの請求データを用いて、後ろ向きコホート研究を実施した。2001年1月1日~2013年12月31日の間に下肢静脈瘤と診断された20歳以上の患者21万2,984例(平均[±SD]年齢54.5±16.0歳、女性69.3%)を登録し、傾向スコアを用いてマッチングした下肢静脈瘤を有しない患者(DVT、PE、PADの既往歴がある患者は除く)を対照群(21万2,984例、平均年齢54.3±15.6歳、女性70.3%)として、下肢静脈瘤の有無によるDVT、PE、PADの発症率を比較した。

 追跡終了日は2014年12月31日。Cox比例ハザードモデルを用いて、対照群に対する相対ハザードを推定した。

下肢静脈瘤群は対照群に比べ深部静脈血栓症のリスクが5.3倍
 追跡期間中央値は、下肢静脈瘤群ではDVTに関して7.5年、PE 7.8年、PAD 7.3年、対照群ではそれぞれ7.6年、7.7年、7.4年であった。

 下肢静脈瘤群では対照群と比較して、いずれも発症頻度(/1,000人年)が高く、DVTは6.55 vs.1.23(1万360例 vs.1,980例、絶対リスク差[ARD]:5.32、95%信頼区間[CI]:5.18~5.46)、PEは0.48 vs.0.28(793例 vs.451例、ARD:0.20、95%CI:0.16~0.24)、PADは10.73 vs.6.22(1万6,615例 vs.9,709例、ARD:4.51、95%CI:4.31~4.71)であった。対照群に対する下肢静脈瘤群のハザード比は、DVTが5.30(95%CI:5.05~5.56)、PEが1.73(95%CI:1.54~1.94)、PADが1.72(95%CI:1.68~1.77)であった。

 なお、著者は、観察研究であるため因果関係は結論付けられないこと、下肢静脈瘤群の対照群には未診断の下肢静脈瘤を有する患者が含まれている可能性があること、下肢静脈瘤の重症度については調べていないことなどを、研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 中澤 達( なかざわ たつ ) 氏

社会福祉法人 聖母会 聖母病院 副院長

J-CLEAR評議員

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