筋ジストロフィーへのステロイド治療、10年の追跡調査/Lancet

デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者において、グルココルチコイドの長期治療は、余命において臨床的に重大な運動能の喪失リスクや上肢疾患進行リスクを抑制するとともに、死亡リスクも抑制することが、米国・カリフォルニア大学デービス校のCraig M. McDonald氏らによる前向きコホート試験の結果、示された。グルココルチコイド治療は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの標準治療として推奨されている。しかし、長期治療の有益性を評価した試験は数件しかなかった。Lancet誌オンライン版2017年11月22日号掲載の報告。
筋ジストロフィー440例を10年間フォローアップ
試験は9ヵ国20施設で、2~28歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィー男性患者を登録して行われた。登録は、2006~09年と2012~16年の2期間に行われ、440例の患者が10年間のフォローアップを受けた。研究グループは、グルココルチコイド治療を受けなかった患者、または累積治療期間が1ヵ月未満の患者と1年以上の患者にグループ分けを行い、9つの疾患に関連した臨床的に重大な運動能と上肢の進行に関して比較した。具体的に、Kaplan-Meier法を用いて解析を行い、仰臥位からの立ち上がりに5秒以上を要する、同10秒以上を要する、仰臥位から立ち上がることができない、4段の昇段能、歩行能、頭上への完全挙手能、hand-to-mouth機能、手機能について比較した。また、死亡リスクも比較した。
筋ジストロフィーへのグルココルチコイド1年以上治療群は進行が有意に緩徐、死亡リスクも低下
1年以上の筋ジストロフィーへのグルココルチコイド治療群は、1ヵ月未満治療群または未治療群と比べて、すべての疾患進行までの期間が有意に延長した(log-rank検定のp<0.0001)。1年以上治療群は1ヵ月未満治療群と比べて、運動能喪失時の年齢が中央値で2.1~4.4歳高く、上肢機能喪失時の年齢も中央値で2.8~8.0歳高かった。筋ジストロフィーへの治療薬別にみると、deflazacort群が、prednisoneまたはプレドニゾロン群と比べて、仰臥位からの立ち上がり・歩行能・hand-to-mouth機能の喪失時の年齢中央値が、2.1~2.7歳高かった(log-rank検定のp<0.012)。
10年のフォローアップ中の死亡は45例であった。このうち39例(87%)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが死因で、グルココルチコイドの使用期間が判明していた。死亡とグルココルチコイド使用との関連をみると、28例が1年以上のグルココルチコイド治療患者(28/311例、9%)、11例は治療歴のない患者(11/58例、19%)で、両群間のオッズ比は0.47(95%信頼区間:0.22~1.00、p=0.0501)であった。
(ケアネット)
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