中年者の半月板変性断裂には運動療法が推奨/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/02

 

 中年者の半月板変性断裂に対する、運動療法 vs.関節鏡下半月板部分切除術の優越性を検討した無作為化試験の結果、2年時点で両群間に有意差は認められなかったことが、ノルウェー・Martina Hansens HospitalのNina Jullum Kise氏らにより発表された。一方で3ヵ月後の短期評価では、運動療法群のほうが筋力の有意な改善が認められた。著者は、「疼痛を有しMRIで半月板変性断裂を確認したが、X線画像所見として変形関節症の徴候が認められない場合は、運動療法を治療オプションと考慮すべきである」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月20日号掲載の報告。

平均年齢49.5歳を対象、関節鏡下半月板部分切除術と比較
 試験は、ノルウェーの2つの公的病院整形外科と2つの理学療法クリニックで行われた。被験者は平均年齢49.5(範囲:35.7~59.9)歳の140例で、MRIで内側半月板変性断裂を確認。96%において膝変形性関節症の明らかなX線所見は認められなかった。

 研究グループは被験者を無作為に2群に割り付け、一方には運動療法のみを、もう一方には関節鏡下半月板部分切除術のみの介入を行った。

 主要評価項目は、intention-to-treat解析による、ベースラインから2年時点の膝損傷・変形性関節症アウトカムスコア(KOOS4)の両群間の差。アプリオリに定義した5つのKOOSサブスケール(疼痛、他の症状、スポーツまたはレクリエーション機能、膝関連QOL)のうち4つの平均スコアで評価した。また、ベースラインから3ヵ月時点の大腿筋力の変化も評価した。

2年時点でKOOS4の両群差は認められず
 結果、2年時点のKOOS4の両群変化に、臨床的に意義のある差は認められなかった(0.9ポイント、95%信頼区間[CI]:-4.3~6.1、p=0.72)。3ヵ月時点の評価では、運動療法群の筋力の有意な改善が認められた(p≦0.004)。

 重篤な有害事象は、追跡期間中、両群とも報告されなかった。なお、運動療法群に割り付けられた被験者のうち19%が、追跡3~16ヵ月(平均7.7ヵ月)に手術も受けたが、付加的なベネフィットは得られなかった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「観察された2年時点の治療間の差はわずかであり、臨床的に意義のある差を除外するには、試験の不確実性の推論があまりにも小さかった。短期的には少なくとも、運動療法群は手術群よりも大腿筋力の改善に有効であることが示された」と述べ、運動療法を治療選択肢として考えることを、臨床医と患者に推奨しなければならないとまとめている。