脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/12

 

 脳動脈瘤破裂クモ膜下出血に対する血管内コイル塞栓術vs. 開頭クリッピング手術について検討した、国際共同研究ISATのうち英国コホート1,644例を長期18年追跡した結果が、オックスフォード大学のAndrew J Molyneux氏らにより報告された。要介護増大のみの比較では両群に違いはみられなかったが、死亡または要介護率でみると、クリッピング群がコイル群より有意に高率だったという。また10年時点の、再出血率はコイル群のほうが高いと思われたが、そのリスクは小さく、無障害生存率はコイル群のほうが有意に高率だったという。Lancet誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告。

ISAT被験者のうち英国被験者1,644例を10.0~18.5年追跡
 ISAT(International Subarachnoid Aneurysm Trial)は、1994年9月12日~2002年5月1日に欧州・カナダから43施設2,143例が参加して行われた無作為化試験であった。参加施設のうち英国が22施設と最も多かった。

 ISATコホートに関するこれまでの分析結果は、最短5~最長14年追跡した結果が報告されている。1年時点(主要評価)では、死亡または要介護率は、コイル群がクリッピンク群よりも絶対差で7%低く、相対リスクでは24ポイント低かった。しかし中期追跡評価の結果(副次目的)では、コイル群患者で目標動脈瘤の再治療必要性の増大が報告されていた。

 研究グループは、コホートのうち英国22施設で登録された1,644例(コイル群809例、クリッピング群835例)について、最短10.0~最長18.5年間の死亡および臨床アウトカムを追跡した。また、年に1回のアンケートで入手した自己申告の修正Rankin尺度で要介護度について評価。再発性動脈瘤、再出血イベントのデータは、アンケートおよび病院・GP記録から、死亡データは国家統計局からそれぞれ入手した。

10年時点の生存・自立患者、コイル群がクリッピング群の1.34倍
 結果、10年時点の生存率は、コイル群83%(674/809例)、クリッピング群79%(657/835例)であった(オッズ比[OR]:1.35、95%信頼区間[CI]:1.06~1.73)。

 10年時点のアンケートに回答した1,003例のうち、自立生活ができていたのはコイル群82%(435/531例)、クリッピング群78%(370/472例)であった(修正Rankinスケールスコア0~2についてのOR:1.25、95%CI:0.92~1.71)。

 10年時点の生存および自立生活患者の割合は、コイル群患者のほうがクリッピング群患者よりも多いと思われた(OR:1.34、95%CI:1.07~1.67)。初回脳動脈瘤(目標脳動脈瘤17例)から1年超で再発を呈した患者は33例であった。