企業助成の大規模試験のうち3割が結果未公表/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/18

 

 ClinicalTrials.gov(米国の臨床試験情報データベース)に登録した大規模試験のうち、その結果が未公表なものが3割にも上ることが明らかになった。また、企業からの助成を受けた試験の結果未公表は約3割に上り、同助成を受けていない試験の2割弱と比べ、その割合は有意に高かった。米国・ローワン大学クーパー・メディカル・スクールのChristopher W. Jones氏らが、約600件の試験について行った追跡調査で明らかにしたもので、BMJ誌オンライン版2013年10月29日号で発表した。臨床試験結果が公表されない事態が少なくないことはこれまでにも明らかになっていたが、大規模試験に焦点を当てての検討は行われていなかった。

被験者500人以上の試験について、PubMedなどで検索
 研究グループは、ClinicalTrials.govに登録した被験者数500人以上の試験のうち、2009年1月までに完了したものについて、調査を行った。PubMed、Google Scholar、Embaseを検索し、登録された試験結果が公表されているかどうかを追跡した。最後の検索は、2012年11月に行った。

585試験のうち未公表試験は171件、推定被験者数は約30万人
 その結果、調査対象となった585試験のうち、未公表だった試験は171件と、29%に上った。これら未公表試験の被験者数は、推定で29万9,763人だった。未公表試験終了から結果の最終検索までの期間中央値は60ヵ月だった。

 企業からの助成を受けた試験で結果が未公表だったのは、468件中150件(32%)であり、助成を受けていない試験の117件中21件(18%)に比べ有意に高率だった(p=0.003)。

 また、未公表試験171件のうち133件(78%)が、ClinicalTrials.gov上でもその結果が未公表だった。

 研究グループは、多くの試験結果が未公表であり、大勢の被験者がリスクを冒して試験に参加しながら、試験結果の公表という社会的利益が伴っていない、と問題を指摘している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

統計数理研究所 大学統計教員育成センター 特任教授

滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授

J-CLEAR評議員