低・中所得国は男性喫煙率が高く、女性の開始年齢が若年化:30億人の解析

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/30

 

 低・中所得国は英米に比べ、男性の喫煙率が高く、女性の喫煙開始時期が男性と同じ年齢に若年化しつつあり、禁煙率も低いことが、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のGary A Giovino氏らGATS Collaborative Groupの調査で明らかとなった。現在、喫煙に起因する死亡率は高所得国が18%、中所得国が11%、低所得国は4%だが、喫煙率は高所得国で低下傾向にあるのに対し、低・中所得国では増加し死亡率も上昇している。WHOによれば、毎年約600万人が喫煙関連の原因で死亡しており、このままでは21世紀中に世界で約10億人が喫煙が原因で若年死するとされるが、低・中所得国の喫煙状況に関する信頼性の高いデータはないという。Lancet誌2012年8月18日号掲載の報告。

14の低・中所得国と英米のデータを解析
GATS Collaborative Groupは、低・中所得国における成人の喫煙パターンや喫煙関連因子を評価するために、横断的な国別の世帯調査である「世界成人喫煙調査(GATS)」のデータを用いて解析を行った。

2008年10月1日~2010年3月15日までに、14ヵ国(バングラデシュ、ブラジル、中国、エジプト、インド、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ロシア、タイ、トルコ、ウクライナ、ウルグアイ、ベトナム)の15歳以上を対象に世帯調査を行い、喫煙関連情報を収集した。

14ヵ国間の喫煙の重み付き点推定(weighted point estimate)と95%信頼区間(CI)を算出し、2008年の英国のGeneral Lifestyle Survey、2006~2007年の米国のTobacco Use Supplement to the Current Population Surveyのデータと比較した。

喫煙率は男性48.6%、女性11.3%、禁煙率は英米で高い
GATS参加国と英米を合わせた16ヵ国の約30億人が解析の対象となった。そのうち喫煙者は約8億5,200万人で、中国が3億100万人、インドが2億7,500万人を占めた。

GATS 14ヵ国の喫煙率は男性が48.6%(95%CI:47.6~49.6)、女性は11.3%(同:10.7~12.0)であった。そのうち、葉巻やパイプなどを除くタバコ製品の喫煙率は男性が40.7%(範囲:ブラジルの21.6%からロシアの60.2%)、女性は5.0%(同:エジプトの0.5%からポーランドの24.4%)だった。喫煙者の多く(82%)が既製のタバコ製品を好んだが、インドやバングラデシュでは無煙タバコや巻きタバコが一般的だった。

ほとんどの国では、調査時に55~64歳の女性は同年代の男性に比べ喫煙開始年齢が高かったが、25~34歳では男女間の喫煙開始時期に差はなかった。禁煙率(喫煙経験があるが調査時は喫煙していない者の割合)は中国、インド、エジプト、ロシア、バングラデシュで低く(5ヵ国全体で20%未満)、英国、米国、ブラジル、ウルグアイで高かった(5ヵ国全体で35%以上)。

著者は、「GATS参加14ヵ国は英米に比べ、男性の喫煙率が高く、女性の喫煙開始時期が若年化しており、禁煙率が低いことが示された」と結論し、「これらの知見は、喫煙関連の罹病率や死亡率を低下させるには、喫煙開始の予防や禁煙の促進に向けた努力が必要とのこれまでの見解を補強するもの」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 名郷 直樹( なごう なおき ) 氏

武蔵国分寺公園クリニック 名誉院長

J-CLEAR理事