ERCP後、インドメタシン直腸投与で膵炎発症を有意に低下

提供元:ケアネット

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公開日:2012/04/25

 



内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)後にインドメタシンの直腸内投与をすることで、ERCP後膵炎の発生率を有意に低下することが、米国・ミシガン大学医療センターのB. Joseph Elmunzer氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、明らかにされた。ERCP後の急性膵炎は、米国では最も頻度の高い重大合併症で、毎年相当な罹患者と場合によっては死亡を伴うケースが発生しており、年間約1億5,000万ドルの保健医療費が投じらていると推計されているという。これまでの予備的研究で、ERCP後にNSAIDsを直腸投与することで膵炎の発生率を低下させる可能性があることが示唆されていた。NEJM誌2012年4月12日号掲載報告より。

高リスク患者にインドメタシンまたはプラセボを直腸投与




研究グループが対象としたのは、検証済み因子の患者関連リスク因子、手技関連リスク因子に基づいて判定されたERCP後高リスク患者で、2009年2月~2011年7月の間に602例が登録された。

被験者は、ERCP直後に直腸にインドメタシン(295例)またはプラセボ(307例)のいずれかを単回投与するよう割り付けられ追跡された。

主要評価項目は、ERCP後膵炎とし、新たな心窩部痛、処置後24時間の膵酵素が正常範囲上限の3倍以上上昇、2日間以上の入院と定義した。
インドメタシン投与群で膵炎発生率が有意に低下




602例の登録患者の大半(82%)で、臨床的にオッディ括約筋機能不全の疑いが認められた。

主要評価項目であるERCP後膵炎の発症は、インドメタシン群295例(9.2%)中27例、プラセボ群307例中52例(16.9%)で認められた(P=0.005)。

中等度から重度の膵臓炎は、インドメタシン群13例(4.4%)、プラセボ群27例(8.8%)であった(P=0.03)。

(朝田哲明:医療ライター)