インスリン不使用2型糖尿病患者では血糖値自己測定の有用性に疑問符

血糖値を自己測定しても血糖コントロールは改善されない可能性が示唆された。イギリス・オックスフォード大学のAndrew Farmer氏らが無作為化オープン試験であるDiGEM(Diabetes Glycemic Education and Monitoring)スタディの結果としてBMJのサイトにて早期公表した(6月25日付オンライン版、本誌掲載は7月21日号)。
血糖値の自己測定を推奨している米国糖尿病学会(ADA)による2007年ガイドラインなどを見直す必要性が示唆された形となった。
1週間に2回血糖値を自己測定
本スタディでは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象に、通常の血糖コントロール(通常治療群:152例)と、1週間に2日、3回/日(空腹時×1、食事2時間前・食後2時間値のいずれか×2)の血糖自己測定がHbA1cに及ぼす影響が比較された。血糖自己測定群はさらに、血糖測定後に低血糖または高血糖が認められた時に医師とコンタクトをとる「単純自己測定群」(150例)と、血糖値に応じた対処法を指導される「積極的自己測定群」(151例)に無作為化されている。
対象患者の平均年齢は65.7歳、罹病期間中央値は3年間、HbA1c平均値は7.5%だった。
1年後のHbA1cに有意差なし
1次評価項目である1年後のHbA1c値は、しかし、3群間に有意差はなく、通常治療群7.49%、単純自己測定群7.28%、積極的自己測定群7.36%という結果だった(p=0.12)。試験開始時からの変化率で比較しても、3群間に有意差はなかった(p=0.38)。
本試験の対象のように、すでにかなり良好な血糖コントロールが得られているインスリン不使用の2型糖尿病患者では、コスト等を考えるとルーチンな血糖自己測定は推奨できない──と筆者らは結論している。
(宇津貴史:医学レポーター)
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