経口抗凝血薬+抗血小板薬の併用療法は重篤な出血を増加する

アテローム硬化型末梢動脈疾患は、心筋梗塞や脳卒中および心血管系に起因する死亡リスクの増加と関連しており、抗血小板薬がこのリスクを低下するが、経口抗凝血薬が心血管系合併症の予防においてどのような役割を果たすのかはわかっていない。
WAVE治験グループ(Warfarin Antiplatelet Vascular Evaluation Trial)が、両剤併用療法の効果を判定する無作為化試験を行い、NEJM誌7月19日号で報告した。
2,161例を併用療法群と単独療法群に無作為割り付け
試験は末梢動脈疾患患者2,161例をランダムに、抗血小板薬+経口抗凝血薬の併用療法群[目標国際標準比(INR)2.0~3.0]と、抗血小板薬単独療法群とに割り付け行われた。主要評価項目は心筋梗塞、脳卒中、心血管系に起因する死亡、副次評価項目は心筋梗塞、脳卒中、緊急介入が必要な末梢または冠動脈の重篤な虚血、そして心血管系に起因する死亡とした。平均フォローアップ期間は35ヵ月だった。
併用療法の合併症予防効果は認められず
主要評価項目の発現は、併用療法群12.2%(132/1,080例)、抗血小板薬単独療法群13.3%(144/1,081例)で、相対リスク比(RI)は0.92(95%信頼区間0.73-1.16、P = 0.48)。副次評価項目については、併用療法群15.9%(172/1,080例)、抗血小板薬単独療法群17.4%(188/1,081例)で、RI 0.91(95%信頼区間0.74-1.12、P = 0.37)であり、合併症予防における併用療法の効果は認められなかった。
一方で重篤な出血が、抗血小板薬単独療法群で1.2%(13/1,081例)だったのに対して、併用療法群では4.0%(43/1,080例)生じた(RI 3.41、95%信頼区間1.84-6.35、 P<0.001)。
研究グループは、「末梢動脈疾患患者における抗血小板薬と経口抗凝血薬の併用療法は、抗血小板薬単独療法より有効であることが確認できなかったばかりか、重篤な出血増加に関連することが明らかとなった」とまとめた。
(朝田哲明:医療ライター)
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