慢性C型肝炎標準療法無効例への直接作用型抗ウイルス薬のベネフィット

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/01

 



慢性C型肝炎の標準療法であるインターフェロン併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン)が無効であった患者に対し、直接作用型抗ウイルス薬を追加投与することのベネフィットについて検討された予備的試験の結果、2つの抗ウイルス薬のみ投与でもウイルス持続陰性化(SVR)が得られることが示され、追加併用投与では高率のSVRが得られることが示された。米国・ミシガン大学医療センターのAnna S. Lok氏らによるオープンラベル第2a相無作為試験の予備的試験報告で、NEJM誌2012年1月19日号で発表された。

慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例を対象に予備的試験




研究グループは、12週間以上のペグインターフェロン+リバビリン併用療法が無効[HCV RNAが2 log(10)以上にならなかった]であった慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例の予備的コホートを対象とする試験を行った。

被験者は無作為に、2つの直接作用型抗ウイルス薬であるNS5A複製複合阻害薬daclatasvir(60mgを1日1回)とNS3プロテアーゼ阻害薬asunaprevirのみを投与する群(グループA、11例)と、これら2つの抗ウイルス薬を前治療に追加して併用投与する群(グループB、10例)に割り付けられ、24週間投与された。

主要エンドポイントは、治療期間終了後12週間のSVRを得られた患者の割合であった。
抗ウイルス薬投与群のみでもSVR達成、併用投与群では高いSVR達成




結果、抗ウイルス薬2剤のみ投与のA群において、12週時点でSVRを得ていたのは4例(36%)で、これらは24週時点でもSVRが認められた。4例を詳細な遺伝子型別にみると、HCV遺伝子型1a型9例中の2例と同1b型2例中の2例であった。

SVRが得られなかった遺伝子型1a型の7例のうち、6例は24週の治療期間中にウイルス再燃(VBT)をきたし、2つの抗ウイルス薬に対する耐性変異の発生がみつかった。残る1例は治療期間終了時点ではSVRが得られていたが、その後再発に至った。

一方、抗ウイルス薬2剤をインターフェロン併用療法に追加して投与したB群では、12週時点で全10例がSVRを得ており、9例は24週時点でもSVRを持続していた。

有害事象については、最も頻度が高かったのは両群ともに下痢であった。また、6例(A:4例、B:2例)に、アラニンアミノトランスフェラーゼが正常上限値の3倍超となる一過性の上昇が認めれた。

(武藤まき:医療ライター)

※ペグインターフェロン(商品名:ペガシス、ペグイントロン)+リバビリン(商品名:コベガス、レベトールほか)。本試験ではペガシス+コベガスで検討されている。