高リスクの永続性心房細動患者へのdronedarone投与:PALLAS

提供元:ケアネット

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公開日:2012/01/11

 



カナダ・Hamilton Health SciencesのStuart J. Connolly氏らPALLAS試験グループによる検討の結果、高リスクの永続性心房細動患者に対する抗不整脈薬dronedaroneは、心不全および脳卒中の発生率、心血管系が原因の死亡率を上昇することが示され、「dronedaroneはこれら患者に用いるべきではないことが示された」と結論する報告が発表された。dronedaroneは、間欠性心房細動においては洞調律を回復し入院や死亡を減らすことが認められている。また、心拍数および血圧を下げ、抗アドレナリン作用により心室性不整脈を抑える可能性が示されていたことから、dronedaroneは高リスクの永続性心房細動患者の重大血管イベントを減らすとの仮説を立て試験を行ったのだが、実証はされなかった。NEJM誌2011年12月15日号(オンライン版2011年11月14日号)掲載報告より。

65歳以上の永続性心房細動患者をdronedarone群とプラセボ群に割り付け検討




試験は、6ヵ月以上の永続性心房細動の既往歴があり、重大な血管イベントのリスク因子を有する65歳以上の患者を、無作為にdronedarone群またはプラセボ群に割り付け行われた。

第一の共通主要アウトカムは、脳卒中、心筋梗塞、全身性塞栓症、心血管系の原因による死亡とした。第二の共通主要アウトカムは、心血管系の原因による緊急入院または死亡とした。
重大イベントはdronedarone群で有意に上昇




本研究は3,236例の患者を登録後、安全性の理由から中止された。

解析の結果、第一の共通主要アウトカムの発生は、dronedarone群43例に対し、プラセボ群は19例で、dronedarone群のハザード比は2.29(95%信頼区間:1.34~3.94、P=0.002)であった。

心血管系の原因による死亡は、dronedarone群21例、プラセボ群10例で発生し(ハザード比:2.11、95%信頼区間:1.00~4.49、P=0.046)、不整脈による死亡はそれぞれ13例と4例だった(同:3.26、1.06~10.00、P=0.03)。また脳卒中はdronedarone群23例、プラセボ群10例であり(同:2.32、1.11~4.88、P=0.02)、心不全による入院はdronedarone群43例、プラセボ群24例の発生であった(同:1.81、1.10~2.99、P=0.02)。

(朝田哲明:医療ライター)