冠動脈内への骨髄細胞移植、心筋梗塞後2~3週に施行では効果認められず

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2011/12/13

 

 心筋梗塞後の冠動脈内への骨髄単核球細胞(BMCs)移植について、プライマリ経皮的冠動脈介入(PCI)後2~3週での実施では、全体的にも局所的にも左室機能の改善はみられなかったことが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・アボット・ノースウェスタン病院のJay H. Traverse氏ら心血管細胞療法研究ネットワーク(CCTRN)らが、米国NHLBIから研究委託を受け、本手技の至適施行時期を明らかとするために行った。本報告はLate TIME試験の結果で、先に行ったTIME試験(ST上昇型心筋梗塞後1週間以内、3日後施行と7日後施行を比較)では左室機能改善の可能性が示されたが、早期に細胞移植を行える患者が少ないことから、実施時期を遅らせた場合の有効性を検討するために行われた。JAMA誌2011年11月16日(オンライン版2011年11月14日号)掲載報告より。

初発MIでLVEF≦45%、プライマリPCI成功の87例を対象に
 Late TIME試験は、2008年7月8日~2011年2月28日の間に2,201例がスクリーニングを受け、初発MIで左室機能障害が顕著(LVEF≦45%)、プライマリPCIに成功した87例[平均年齢57(SD 11)歳、男性83%]を無作為化して行われた。

 被験者は、2対1の割合で、総有核細胞150×10(6)の自己BMCを冠動脈注入する群と、プラセボを注入する群に割り付けられ、骨髄穿刺12時間以内に、採取自動培養された自己BMCの注入が行われた。

 主要アウトカムは、基線と6ヵ月時点とで比べた全体的な評価(LVEFの変化)と局所および境界域梗塞部位の評価[LV機能(局所壁運動)の変化]で、心臓MRIで測定して行われた。副次エンドポイントには、LV容積や梗塞サイズなどが含まれた。

半年間のLVEF変化、壁運動変化など、プラセボ群と有意差認められず
 結果、基線と6ヵ月時点との変化について両群間に、主要アウトカム、副次アウトカムとも有意な差はみられなかった。

 LVEF変化の平均差は、-3.00(95%信頼区間:-7.05~0.95、p=0.14)だった(BMC群48.7%から49.2%へ対プラセボ群45.3%から48.8%へ)。

 梗塞壁運動変化の平均差は、-0.70(同:-2.78~1.34、p=0.49)だった(BMC群6.2mmから6.5mmへ対プラセボ群4.9mmから5.9mmへ)。

 境界域梗塞壁運動変化の平均差は、-2.60(同:-6.03~0.77、p=0.13)だった(BMC群16.0mmから16.6mmへ対プラセボ群16.1mmから19.3mmへ)。
 LV容積や梗塞サイズについても、変化の差は有意ではなかった。

(医学ライター 武藤 まき)