大腸がん肝転移へのベバシズマブを含む化学療法、予後予測はCTがRECISTより適切

提供元:ケアネット

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公開日:2009/12/15

 



大腸がん肝転移に対するベバシズマブ(商品名:アバスチン)を含む化学療法について、コンピュータ断層撮影(CT)による形態学的判定の方が、固形がん治療効果判定基準(RECIST)よりも、病理学的所見や生存率予測に適切であることがわかった。米国テキサス大学腫瘍外科のYun Shin Chun氏らが、50人超の大腸がん肝転移患者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月2日号で発表した。RECISTは、細胞毒性化学療法後の腫瘍縮小を判定するために作られたもので、ベバシズマブのような細胞分裂阻害薬の効果判定にも用いることができるのか疑問視されていた。

CT形態学的判定は生存率や病理学的所見に相関あり




Chun氏らは、2004~2007年にかけて、大腸がん肝転移患者50人の234ヵ所の腫瘍について、試験を行った(追跡期間最終日は2008年3月)。

被験者は、ベバシズマブを用いた化学療法を行った後、肝切除術を行った。また、化学療法実施の前後に、造影CTを行い、3人の放射線科医が形態学的判定を行った。

なお、検証コホートとして、肝切除術が不適切で、ベバシズマブを用いた化学療法を行った大腸がん肝転移82人についても調査を行った。

その結果、被験者を形態学的判定により3分類した場合の、形態学的反応「適正」群の腫瘍切除標本の残存腫瘍率中央値は20%(四分位範囲:10~30%)だった。次いで、形態学的反応「不完全」群が50%(同:30~60)、「無反応」群が70%(同:60~70、p<0.001)だった。

形態学的判定の結果は、生存率と相関も見られた。

RECISTの結果は生存率に相関なし




一方、RECISTの結果で3分類した場合は、「部分奏効(PR)」群の残存腫瘍率の中央値は30%(四分位範囲:10~60%)、「安定(SD)」群の同率中央値は50%(同:20~70)、「進行(PD)」群の同率中央値は70%(同:65~70、p=0.04)だった。

RECISTの結果は、試験コホートと検証コホート共に、生存率について相関は見られなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)