小児・青年期に第2世代抗精神病薬服用、体重増やコレステロール・プロファイルを悪化

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/10

 

 小児・青年期の第2世代抗精神病薬の服用で、体重増加や、コレステロール・プロファイルの悪化が見られたという。米国Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らの試験で明らかになったもので、JAMA誌2009年10月28日号で発表した。同薬剤の心血管代謝に及ぼす影響について、小児・青年期を対象に行った試験はほとんど行われていない。

4種の薬剤すべてで、有意な体重増加

 試験は2001年12月~2007年9月に、ニューヨーク・クイーンズにある3次機能病院、大学病院および外来クリニック(患者圏450万人)において、第2世代抗精神病薬を服用する患者としたSATIETY試験参加者を対象のベースとした。

 そのうち4~19歳の505人について調査を行った。被験者の、試験開始前までの抗精神病薬の服用歴は、1週間以内だった。

 分析は、試験を完了した205人について行った。試験への参加を拒否した患者など15人を対照群として比較した。追跡期間の中央値は、10.8週間だった。

 その結果、体重増加はオランザピン(商品名:ジプレキサ、45人)群で8.5kg(95%信頼区間:7.4~9.7)、クエチアピン(商品名:セロクエル、36人)群で6.1kg(同:4.9~7.2)、リスペリドン(商品名:リスパダールなど、135人)群で5.3kg(同:4.8~5.9)、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ、41人)群で4.4kg(同:3.7~5.2)だったのに対し、対照群(15人)では0.2kg(同:-1.0~1.4)と有意な変化は見られなかった。

オランザピン群とクエチアピン群でコレステロール・プロファイル全般に悪化

 オランザピン群とクエチアピン群では、総コレステロール値の平均値増加幅はそれぞれ、15.6mg/dL(p<0.001)と9.1mg/dL(p=0.046)、トリグリセリド値は24.3mg/dL(p=0.002)と37.0mg/ dL(p=0.01)だった。また非HDL(高比重リポ蛋白)コレステロール値の平均値増加幅は、16.8mg/dL(p<0.001)と9.9mg/dL(p=0.03)、トリグリセリド/HDL比の同増加幅は0.6(p=0.002)と1.2(P=0.004)だった。

 リスペリドン群では、トリグリセリド値の平均値が9.7mg/dL(p=0.04)、有意に増加した。

 一方、アリピプラゾール群と対照群では、心血管代謝に関する数値に有意な変化は見られなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)