抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/03/22 高齢入院患者においてしばしば問題となるせん妄は、死亡率の増加を招く。せん妄治療に関するエビデンスは蓄積されているものの、高リスク患者における薬理学的予防に関する報告は限られている。米国・メリーランド大学のPolina Teslyar氏らはせん妄の高リスク入院患者に対する抗精神病薬の予防投与の影響を検討するためメタ解析を行った。その結果、術後の高齢入院患者に対する抗精神病薬の予防投与はせん妄リスクの減少につながると報告した。Psychosomatics誌2013年3月号の報告。 Pubmed、PsychInfo、コクラン比較臨床試験およびデータベースによる文献検索(1950年1月~2012年4月)を行った。せん妄を予防するために抗精神病薬が投与された唯一のRCT試験が含まれた。検索で使用したキーワードは「delirium」「encephalopathy」「ICU psychosis」「prevention」「prophylaxis」であった。せん妄診断の検証方法を基準に含めた。データ分析にはStataのmetanコマンド解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・5試験(1,491例)が選択基準を満たした(ハロペリドール3試験、リスペリドン1試験、オランザピン1試験)。いずれの試験とも対象は術後の高齢入院患者であり、また異なる国で実施されていた。 ・せん妄の相対リスクはプラセボ群と比較し、抗精神病薬投与群で50%減少した(RR [95%CI]=0.51 [0.33~0.79]、異質性p<0.01、ランダム効果モデル)。 ・出版バイアスはファンネル・プロットにより検出されなかった。 関連医療ニュース ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い! ・がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… ・認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは? (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Teslyar P, et al. Psychosomatics. 2013 Mar; 54(2): 124-131. doi: 10.1016/ j.psym.2012.12.004. Epub 2013 Feb 4. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 既治療CLDN18.2陽性胃がん、CAR-T療法satri-celがPFS改善(CT041-ST-01)/Lancet(2025/06/10) III期dMMR大腸がん、術後補助療法にアテゾリズマブ上乗せでDFS改善(ATOMIC)/ASCO2025(2025/06/10) 進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025(2025/06/10) 思春期うつ病に最も効果的な抗うつ薬は?(2025/06/10) 糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1薬とSGLT2阻害薬に違いは?(2025/06/10) 既治療のEGFR exon20挿入変異NSCLCへのzipalertinib(REZILIENT1)/ASCO2025(2025/06/10) CDK4/6+AI治療後に進行したHR+/HER2-転移乳がん、ipatasertib+フルベストラントがPFS改善(CCTG/BCT MA.40/FINER)/ASCO2025(2025/06/10) コロナワクチン、デマ対策より「接種開始時期」が死亡者数に大きく影響か/東大(2025/06/10)
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