朝型の人は拒食症のリスクが高い?

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2024/02/23

 

 夜更かしよりも早寝早起きの生活パターンになりやすい、いわゆる“朝型”の人は、神経性食欲不振症(拒食症)のリスクが高いことを示唆する研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院のHassan Dashti氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に1月4日掲載された。

 これまでに行われてきた観察研究から、拒食症と概日リズム(1日24時間周期の生理活動)や睡眠習慣との間に関連のあることが示されている。ただし、それらの因果関係の有無や環境因子の影響の程度などは、まだ十分に解明されていない。そこでDashti氏らは、双方向2サンプルメンデルランダム化解析という手法によって、これらの関係が遺伝的背景によって説明されるものか否かを検討した。解析には、マサチューセッツ総合病院のバイオバンク、および英国で行われている一般住民対象の大規模疫学研究「UKバイオバンク」などのデータが用いられた。

 解析の結果、拒食症の遺伝的傾向は、朝型のクロノタイプ(概日リズムの特徴)と関連していることが明らかになった〔β=0.039(95%信頼区間0.006~0.072)〕。また、朝型の遺伝的傾向は拒食症のリスクと関連していた〔β=0.178(同0.042~0.315)〕。つまり、朝型であることと拒食症のリスクとの間に、双方向の関連が認められた。研究ではさらに、不眠症の遺伝的傾向が拒食症リスクと関連していることも示された〔β=0.369(同0.073~0.666)〕。また、拒食症の多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score;PRS)が不眠症と関連していることも分かった〔オッズ比1.10(同1.03~1.17)〕。

 これらの結果についてDashti氏は、「われわれの研究結果は、これまでの観察研究で示されていた拒食症と不眠症との関連性を裏付けるものだ」と総括し、「拒食症以外の精神疾患である、うつ病、過食症、統合失調症などは、概して夜型のクロノタイプとの関連が示されているが、拒食症に関してはそうではないようだ」との考察を付け加えている。また研究チームは、「拒食症に関連する遺伝子と早寝早起きに関連する遺伝子の間に双方向の関連のあることが見いだされた。これは、拒食症の人は早起きの生活パターンになりやすく、早起きの人は拒食症のリスクが高いことを意味する可能性がある」とし、今回の研究結果が、拒食症の新たな治療法の開発につながることを期待している。

 拒食症は、精神疾患の中で物質使用障害(薬物依存)と並び、最も死亡率が高い疾患の一つと報告されている。また、研究者によると、拒食症の治療は困難で、寛解後の再発率も最大52%に上るという。論文の筆頭著者であるマサチューセッツ総合病院のHannah Wilcox氏は、「われわれの新しい発見の臨床的意味は、現時点では不明。しかし、われわれの研究結果は、概日リズムに基づいた治療法に関する将来の研究を先導し、拒食症の予防と治療を前進させる可能性を秘めている」と、同院発のリリースで述べている。

[2024年1月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら