米FDA諮問委員会、フェニレフリン含有市販薬に「効果なし」の判定

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/10/06

 

 米食品医薬品局(FDA)の独立諮問委員会である非処方箋薬諮問委員会は9月11〜12日に開いた会合で、鼻詰まり解消の有効成分として何十年にもわたり市販の経口風邪薬に配合されてきたフェニレフリンにその効果はないと結論付けた。同委員会のこの裁定を受け、FDAは、フェニレフリンを含有する経口充血除去薬の店頭からの撤去に向けて動く可能性がある。

 同委員会の患者代表であるJennifer Schwartzott氏は、「この経口薬は、もっと前に市場から撤去されるべきだったと思う。患者が必要とするのは、安全で効果的な治療薬だが、フェニレフリンがそれを満たしているとは思えない」と語ったとAP通信は報じている。

 フェニレフリンは1970年代から市販の風邪薬に配合されており、剤形には、内服用液剤、錠剤、点鼻薬がある(ただし、今回の審議対象に点鼻薬は含まれていない)。フェニレフリン含有薬剤は、メタンフェタミン乱用者の急増に対する措置として行われた2005年の法改正により、非常に効果的な充血除去薬であるプソイド(擬似)エフェドリンの販売が制限されたことを受け、注目を集めるようになった。FDAによると、フェニレフリン含有風邪薬の2022年の販売数は2億4200万個以上であったのに対し、プソイドエフェドリン含有風邪薬の販売数は約5100万個であったという。米バージニア州シャーロッツビルの内科医であるWilliam Fox氏は、「2000年代にプソイドエフェドリンの販売が制限されるようになって以降、フェニレフリンは最も入手しやすく、広範に使用される充血除去薬の一つとなった。フェニレフリンは、プソイドエフェドリンを薬剤師から入手するときのような煩雑な手続きを必要とせず、薬局で簡単に買える」と語る。

 しかし、近年の臨床試験や実験室での研究、エビデンスレビューの結果を受け、FDAはフェニレフリンの有効性に疑問を持つようになっていた。例えば、直近の臨床試験では、現在のフェニレフリンの推奨投与量では、アレルギー患者には効果がないことが示されている。こうした状況を受け、FDAはフェニレフリン承認の根拠とされた臨床試験の再評価を行った。その結果、当初の研究のデザインと実施方法に、方法論的、統計学的に重大な問題のあることが判明した。

 FDAは、フェニレフリンが有効に働かないのは、体内にうまく吸収されないため、その効果が限定的なことにあると見ている。高用量であれば効果が現れる可能性はあるが、その場合には著しい血圧上昇を招くリスクがある。そのためFDAは、鼻詰まり解消を目的とした高用量での使用を検討する余地はなさそうだとしている。

 消費者ヘルスケア製品協会(CHPA)は、FDAのこうした見解に異を唱えている。CHPAの規制・科学問題担当副会長のMarcia Howard氏は、「フェニレフリンの有効性を示す複数の臨床試験のデータと数十年にわたる市場経験を考慮し、われわれは、同薬剤の明確なベネフィットと公衆衛生における重要な役割を認識するようFDAの諮問委員会に対し強く求める」と委員会へ向けた声明で述べている。CHPAはまた、消費者に与え得る影響を考慮すべきことも、委員会に要請している。Howard氏は、「端的に言えば、風邪薬の選択肢や入手可能性の低下に起因する負担は、消費者とすでに多くの問題に直面している米国の医療制度に直接のしかかることになる。だからこそ、CHPAはFDAの非処方箋薬諮問委員会に対し、このような広範な影響を及ぼし得る決定を下す際には、消費者の実体験とニーズを考慮するよう促すのだ」と説明している。

 しかし、Fox氏によると、フェニレフリンの有効性を疑問視する研究結果は何年も前から存在しており、医師らはすでに、患者にフェニレフリンを勧めるのを控える傾向にあるという。同氏は、「風邪の症状には、プソイドエフェドリンおよびオキシメタゾリン点鼻薬が効果的だ。プソイドエフェドリンはほとんどの州で購入制限の対象となっており、薬局で購入することはできないが、有効な運転免許証があれば薬剤師から購入することができる」と話す。同氏はさらに、「特に高血圧の患者は、充血除去薬よりも抗ヒスタミン薬を試してみる方が良いかもしれない」と付け加えている。

[2023年9月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら