日本では大腸がん検診の受診率向上が公衆衛生上の課題であり、2028年までに受診率60%を達成する目標が掲げられている。一方で、都道府県や性別による受診率の差が目標達成に及ぼす影響は十分に定量化されていない。そこで、一橋大学のHasan Jamil氏らは、2013~22年の全国データを用いて、2028年に大腸がん検診受診率が60%目標に到達する可能性を都道府県別に予測した。その結果、全国の受診率は2028年時点で60%に届かず、多くの都道府県で目標達成確率が低いと推定された。本研究結果は、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月27日号に掲載された。
本研究では、国民生活基礎調査から2013~22年の全47都道府県における40~69歳の大腸がん検診受診率を抽出した。性別で層別化したベイズ線形回帰モデルを、ロジット変換した受診率に適用し、2028年までの都道府県別受診率を予測した。2028年時点で受診率60%以上となる事後確率が80%以上の場合に、目標達成の可能性が高い都道府県と定義した。主な評価項目は、大腸がん検診受診率、2028年までに60%へ到達する確率、受診率の年間変化、目標達成年などとした。
主な結果は以下のとおり。
・2028年の全国受診率は51.9%(95%信用区間[CrI]:44.9~58.8)と予測され、60%目標を8.1ポイント下回る見込みであった。
・47都道府県中40都道府県(85%)では、2028年までに60%目標を達成する事後確率が20%未満であった。
・47都道府県中14都道府県では、2028年の受診率が50%未満にとどまると予測された。
・男女計で60%目標の達成確率が80%以上であったのは山形県のみで、達成確率は98.8%であった。
・男性では、山形県、山梨県、宮城県の3県で達成確率が80%以上であったのに対し、女性では80%以上に達したのは1県のみであった。
・男性の達成確率は47都道府県中41都道府県で女性を上回っていた。60%目標の達成確率における男女差の中央値は8.0ポイントであった。
・女性は男性と比較して、60%目標の達成時期が中央値で6年遅れると予測された。
本研究結果について著者らは、2013~22年の傾向に基づくと、日本における大腸がん検診受診率60%の達成は2042年になると予測され、2028年の目標から10年以上遅れる見込みであるとした。また、女性は男性より達成が遅れるとし、目標達成には都道府県ごと、かつ性別に配慮した介入を加速する必要があるとしている。
(ケアネット 杉崎 真名)