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双極性障害の個別化治療の意思決定に、EBI-BDツールが有用/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/25

 

 双極性障害は、平均余命の短縮や治療順守率の低さと関連しており、その一因として薬剤の忍容性の低さや患者の意思決定への関与が不十分であることが挙げられるが、共有意思決定の改善に寄与する、エビデンスに基づく意思決定支援ツールは限られているという。スペイン・バルセロナ大学のMichele De Prisco氏らは、U-REACH(living umbrella review, evaluation, analysis, and communication hub)計画の枠組みに基づいて開発されたEBI-BD(evidence based interventions for bipolar disorder)のツールが、双極性障害の個別化治療の意思決定に有益であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年8月11日号で報告された。

プラットフォーム構築のためのリビングアンブレラレビュー

 研究グループは、双極性障害における全年齢層および気分(mood)の各段階における治療戦略のエビデンスの確実性を系統的に評価し、共有意思決定を推進するためのオープンアクセス型ウェブプラットフォームを構築する目的で、利用可能なすべてのメタ解析のエビデンスを継続的に統合するリビングアンブレラレビュー(living umbrella review)を実施した(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成を受けた)。

 2024年11月19日の時点で医学データベースに登録された関連文献を検索した。対象は、薬物療法、栄養補助食品療法、心理社会的介入、脳刺激療法、概日リズムに基づく治療に関する無作為化比較試験のネットワークメタ解析またはペアワイズメタ解析を含む系統的レビューであった。

77研究の解析結果をウェブ上で公開

 77件の研究が選定基準を満たした(ネットワークメタ解析21件、ペアワイズメタ解析56件)。これには、116種の個別の治療法(薬物療法74種、脳刺激療法18種、栄養補助食品療法13種、心理社会的介入8種、概日リズムに基づく治療3種)が、単剤療法、増強療法(施行中の治療レジメンへの追加の介入)、併用療法(2つの異なる介入を同時に開始)として含まれ、さらに5つの対照介入が行われた。

 これらの研究は133項目のアウトカム(有効性アウトカム45項目、安全性アウトカム88項目)を評価しており、2,510件のメタ解析が行われた。GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluations)に基づくエビデンスの確実性は、「高」が236件、「中」が827件、「低」が986件、「非常に低」が461件だった。

 研究グループは、情報共有ハブとしてEBI-BDプラットフォームを開発し、選好に基づく評価ツール(12の介入と17の安全性アウトカム)を含め、解析結果のすべてを無料で公開している(https://ebibd-database.org)。

 今回の解析結果の一部を下記に示す。複数のアウトカム(主要、副次)に関して、プラセボまたは通常治療に比べ優れた有効性を示した介入は、病相によって異なった。

 著者は、「U-REACHフレームワークは、複雑なエビデンスを統合するだけでなく、臨床医による実践的な意思決定を推進し、EBI-BDプラットフォームに組み込まれたデジタルツールは、臨床医と患者間のエビデンスに基づく共有意思決定の支援に有用である」「このリビングレビューは、双極性障害の臨床ケアを継続的に改善するための基盤となり、新たなエビデンスが現れた際には迅速に適応することが可能である」としている。

・抑うつエピソードに有効な介入
 成人:cariprazine、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン(3つのアウトカムに関して有効)、divalproexまたはバルプロ酸、fluoxetine、ラモトリギン、lumateperone、オランザピンとfluoxetineの併用、ケタミン(増強療法)(2つのアウトカムに関して有効)。
 小児・青年:ルラシドン(2つのアウトカムに関して有効)、オランザピンとfluoxetineの併用(3つのアウトカムに関して有効)。

・躁病エピソードに有効な介入
 成人:アリピプラゾール、アセナピン、cariprazine、ハロペリドール、リチウム、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、タモキシフェン(3つのアウトカムに関して有効)、カルバマゼピン、divalproexまたはバルプロ酸、ziprasidone、クエチアピン(増強療法)、リスペリドン(増強療法)(2つのアウトカムに関して有効)。
 小児・青年:アリピプラゾール、アセナピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン(2つのアウトカムに関して有効)。

・維持期に有効な介入
 成人:集団心理教育(3つのアウトカムに関して有効)、アリピプラゾール(長時間作用型注射薬も含む)、アセナピン、divalproexまたはバルプロ酸、リチウム、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンの長時間作用型注射薬(2つのアウトカムに関して有効)。
 小児・青年:有効な介入はない。

・複数の病相を通じて有効な介入
 成人:divalproexまたはバルプロ酸、オランザピン(増強療法としても)、クエチアピン(増強療法としても)(以上、3つの病相で有効)、cariprazine(2つの病相[抑うつ、躁病]で有効)、認知行動療法(増強療法)、ラモトリギン(以上、2つの病相[抑うつ、維持期]で有効)、アリピプラゾール(増強療法および長時間作用型注射薬としても)、アセナピン、リチウム、パリペリドン、リスペリドン(増強療法および長時間作用型注射薬としても)(以上、2つの病相[躁病、維持期]で有効)。
 小児・青年:有効な介入はない。

(医学ライター 菅野 守)